平穏な日常生活を突如として脅かす、黒くてギラギラした小さな生物。
どこからともなく現れて、驚異的な高速移動で人間たちを翻弄し、時にその羽根を使って宙を舞う。
奴らの名は、ゴキブリ。
「御器噛(ごきかぶり)」の音が変化したものだとされています。
なるほど、台所に出てきて食器を噛むから、御器噛。
誰が付けた名前なのかは存じませんが、見た目に勝るとも劣らぬ嫌悪感を催す響きです。
人間に忌み嫌われるゴキブリたちは、所詮、ゴキジェットなどの殺虫剤で屠られる運命。
その意味では、それほど恐れる存在では無いでしょう。
しかし、ごく稀に、きゃつらめが原因で驚くべき事態へと発展することもあるのです。
〈originally posted on April 27,2021〉
1 ゴキブリを殺そうとしたら、自分の足に弾丸直撃
2019年、米国ミシガン州デトロイトに住む50歳の男性が、自宅でゴキブリを発見。
あいにく、手近に殺虫剤は無し。
そこで彼は、そばに置いてあったスニーカーを、ゴキブリ目掛けて叩きつけました。
ところが、全くもって運の悪いことに、そのスニーカーの中には、ピストルが忍ばせてあったのです。
スニーカーが床にぶち当たった瞬間、ピストルが外へ飛び出し、暴発。
弾丸は、その男性の足に直撃しました。
その後、彼は病院で手当てを受け、大事には至らなかったとか。
ただ、問題のゴキブリが死んだのかどうかは、定かではないそうです……。
2 ゴキブリを殺そうとしたら、トイレを爆破
2015年、台湾で清掃会社に勤めるある女性が、とあるオフィスビルでトイレ掃除をしていたときのこと。
床をカサカサと移動するゴキブリを見つけた彼女は、すかさず足で踏みつけました。
この時点で既にゴキの息の根は止まっていたはずですが、確実に仕留めるべく、彼女はティッシュペーパーでゴキを包み、強く握り潰します。
これでもまだ納得がいかず、トドメにそのティッシュの塊に火を付け、今しがた掃除したばかりの便器の中へと放り込みました。
しかし、複数の洗浄剤を混ぜて清掃を行っていた結果、便器の中は、一種の「火気厳禁」状態になっていたのです。
そんな場所に火を投げ入れたため、激しい音とともに爆発。
便器の上半分が吹き飛びました。
爆音に驚いた社員たちが、一斉に廊下へ飛び出します。
爆発の原因が、テロ行為などではなく、行き過ぎたゴキブリ駆除だと知った彼らは、ひとまずは安心したとか。
それにしても、足で踏んでも、握りつぶしても、ゴキブリが死んだと思えなかったこの女性の気持ちは、何となく共感が持てます。
3 頭蓋骨の中にゴキブリが侵入した女性
家にいるとき、ゴキブリに出現されると最も困る時間帯は、間違いなく寝ているときです。
睡眠中、我々は全くの無防備ですから、ゴキが体の上を這っていても、気づきません。
これは、場合によっては恐ろしい事態を招きます。
例えば、鼻の穴の中に、ゴキブリがシュルルっと入ってきてしまったら……。
そんなこと起きるわけがないと思うかもしれませんが、これが、実際にあったのです。
2017年、インドのインジャムバッカムに住む家政婦の女性(当寺42歳)が、夜中、寝ていると、右の鼻の穴に、「何か」が入り込んだ感覚がありました。
彼女は、寝ぼけ眼で鼻の辺りを手で払いのけると、後は特に気にせず、そのまま熟睡。
このとき、その「何か」は、彼女の鼻の穴から内部へと侵入していたのです。
言うまでもなく、その「何か」とは、ゴキブリ。
そうとは知らない彼女は、目覚めてから、自分の顔の内部に、虫のような生物が入り込んだことにだけは気づきました。
それが動く度、目が焼けるような痛みを感じたとか。
後日、病院で治療を受けた際、彼女は、ようやくその虫の正体がゴキブリであることを知ったのです。
ゴキブリが鎮座していたのは、彼女の頭蓋骨の内部、大脳に程近い、両目の中間。
手術によって、無事にゴキブリは取り出されましたが、自分の頭蓋骨の中にゴキブリが侵入するという体験だけは、勘弁してほしいものです。
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4 ゴキブリが出る度に引っ越す夫婦(18回目で離婚)
インド中央部のマディヤ・プラーデシュ州在住のあるカップルは、2017年に結婚し、夢のマイホームも手に入れ、ラブラブな新婚生活を送っていました。
ところが、ある日、キッチンから突然、妻の叫び声が。
ご近所さんも驚くほどの大声を出した原因は、一匹のゴキブリ。
こういう場合、夫がそのゴキブリを始末すれば、それで問題解決でしょう。
しかし、この奥さん、重度のゴキブリ恐怖症だったため、これで一件落着とはなりませんでした。
彼女は、恐怖のあまりキッチンに足を踏み入れることすら出来なくなり、夫に引っ越しを要求。
夫は彼女を気遣い、仕方なく新たな場所へと引っ越すことに。
そんな彼らにとって不運だったのは、マディヤ・プラーデシュ州は、高温多湿であり、ゴキブリにとっては格好の棲息地であること。
案の定、転居先でもゴキは出現しました。
そしてまた、耳をつんざく、妻の叫び声。
当然ながら、彼らは引っ越します。
そして、またゴキブリ。
また叫び声。
また引っ越し……。
無限ループかに思われたこの引っ越しが、18回目になったとき、さすがに夫はこの狂った日常に疲れ果てました。
彼は、妻に何かしら心の問題があるのではと疑い、専門家に相談して治療を試みたのです。
これに対し、妻は、ゴキブリに恐怖するのは至って正常な反応だと主張し、猛反発。
一切の治療を許否しました。
このままでは埒が明かないと感じた夫は、遂に、弁護士を雇って離婚訴訟を起こしたのです。
インドにKINCHOの「コンバット」が売っているのかどうかは知りませんが、もし「コンバット」があれば、この夫婦は離婚せずに済んだかも知れません……。