昨今、ニュースで「教師が逮捕された」と聞くと、その理由として誰もが真っ先に思い浮かべるのは、「盗撮」などのわいせつ行為ではないでしょうか。
この手の犯罪は一向に無くなる気配がありません。
神奈川県で、女子児童の盗撮画像を教師が所持し、しかもそれらをSNSで共有していたという報道は多くの人に衝撃を与えました。
しかし、おそらくこの手の犯罪行為は、日本にインターネットが普及し始めた頃から既にあったのでしょう。
それが最近になってようやく明るみに出てきているだけだと思います。
こういった犯罪行為が原因で懲戒免職になるのは当然ですが、教師がクビになる理由は勿論それだけではありません。
今回は、驚くべき理由でクビになった教員をご紹介します。
1 6才児から発砲されてクビ

2023年1月、米国ヴァージニア州で小学校教員として勤務していたアビー・ズワーナー氏(当時25歳)は、1年生の授業中、一人の生徒から銃を撃たれました。
生徒たちにテキストを読んでいる最中、ある男子児童(6才)がカバンから拳銃を取り出し、ズワーナー氏に向けて二回発砲したのです。
命に別状は無かったものの、彼女は手と胸を負傷。
病院での手術を余儀なくされました。
6才児といえば、時々、思い出したように銃をぶっ放したくなるお年頃(?)。
問題の生徒は普段から銃を持ち歩くなど危険な行動が目立ち、ズワーナー氏は学校側に何度もそのことを訴えていたのですが、ことごとく無視されたのだとか。
手術を終えた彼女は、今回の事態が起きた原因は学校にあるとして、訴えを提起しました。
これに対し学校側も徹底的に争う姿勢で裁判に臨むことに。
この数ヶ月後、ズワーナー氏は教員の職を失うことになるのですが、これに関しても両者は対立。
ズワーナー氏側は一方的に解雇されたと主張したのですが、学校側はあくまで彼女が自ら辞職したのだと主張。
こういう場合、どちらが真実を語っているのかは、自ずと明らかだという気がしますが……。
2 いじめられっ子を助けてクビ

いじめはどの時代にも、どの国にもあります。
むしろ、いじめの存在しない学校を見つける方が難しいでしょう。
2014年、米国アリゾナ州ファウンテン・ヒルズにある小学校でも、一人の男子児童がいじめに苦しんでいました。
彼は黒人で、差別的表現や、侮蔑的な言葉を毎日のように浴びせられていたのです。
そこで、彼の担任であるパム・アイスター氏が、彼をいじめていた5人組の生徒たちと対峙しました。
彼女はそのいじめグループに面と向かい、今後はその生徒を攻撃することは彼女を攻撃するに等しいこと、よって5対1ではなく5対2であること、いじめや侮蔑は絶対に許さないことなどを宣言したのです。
教師として当然の対処と言うべきでしょう。
ところが、教育委員会は彼女の行為を「脅迫的」であると認定し、その結果、同校に25年勤務していたアイスター氏は解雇されました。
この決定に対し、アイスター氏のみならず、いじめに遭っていた生徒の母親も大激怒。
教師としてなすべきことをした者が弱い立場に追いやられ、事なかれ主義を貫いた者が無難にその地位を守ることができるのは、どこの国でも同じなのかもしれません。
3 「採点不能」でクビ

生徒たちが提出した課題を採点するのも教師の重要な仕事の一つ。
しかし、その課題を提出しない生徒がいた場合、教師はどう対処すべきか。
まずは、改めて期限を設けた上で提出を促すべきでしょう。
それでも提出しない場合はどうか。
普通に考えれば、「採点不能(すなわち0点)」です。
採点する対象が無いわけですから。
ところが、米国フロリダ州にある学校で教鞭をとっていたダイアン・ティラードという女性教諭は、「採点不能」という態度を貫いたために、クビになりました。
彼女が勤める学校では、課題を採点する際、「50点未満の点数を付けてはならない」というルールがあったのです。
たとえそれが課題を全く提出していない生徒であっても同じ。
教師歴17年のティラード氏はどうしてもそれに納得できず、学校の方針に従いませんでした。
その結果待っていたのが、事実上のクビというわけ。
学校に勤務する最後の日、彼女は教室のホワイトボードに、不可解なルールを守らなかっただけで自分はクビになったのだというメッセージを書き残し、学校を去りました。
4 ダビデ像を生徒に見せてクビ

米国フロリダ州タラハシー市の学校で校長を務めていたホープ・カラスキーヤ氏は、校長に就任してからわずか数ヶ月で学校をクビになりました。
その驚くべき理由とは、美術の授業で生徒に『ダビデ像』の写真を見せたから。
ダビデ像と言えば、美術にどれだけ無関心でも知らない人はいないであろう、ミケランジェロ作の彫像です。
誰もが一度は目にしたことのある超有名な彫像の写真を生徒に見せたところ、保護者3名から学校に苦情が。
曰く、「ダビデ像はわいせつである」と。
そんなものを生徒に見せるとは何事か、というわけです。
この苦情が影響して、彼女はクビに。
そしてこのニュースに衝撃を受けたのが、イタリアの人々。
特に、ダビデ像があるフィレンツェ市の市長は、学校側の対応を「馬鹿げている」と切り捨てました。
イタリアの誇りというべきダビデ像をわいせつ物扱いされたわけですから、イタリアの人々にとっては何とも気分の悪い話です。
5 生徒に「アレ」を食べさせてクビ

2023年2月、米国インディアナ州ブラウンズバーグの小学校で、サラ・シーモアとデブラ・カナイプという二人の女性教諭が、生徒にとんでもないモノを食べさせてクビになりました。
事の発端は、障がいを持つ7歳の男子児童が、給食の時間に気分が悪くなり、嘔吐したこと。
それを見た二人の教師は、その生徒の両脇に立ち、スプーンを渡すと、今しがた嘔吐したものを食べるように命令。
その生徒は、仕方なく一部を食べたそうです。
彼女たちの行った行為は犯罪に該当するので、クビになっただけでなく、刑事事件として起訴されています。
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6 「ファイトクラブ」開催でクビ

2023年、米国テキサス州ダラスにあるキンブロー・ミドルスクールで、映画『ファイト・クラブ』さながらのバトルが繰り広げられていました。
ナタリー・ガルシアという教師が、クラスの生徒たちに、教室内で殴り合いの試合をさせていたのです。
しかも、生徒の誰かがスマホで撮影することのないように、事前に生徒たちからスマホを没収し、さらに、教室のドアに見張りを置くという用心深さ。
教師というのは、教室内で殴り合いが起きた場合、それを止める立場にあるわけですが、教師自ら殴り合いの場を提供していたのは驚きです。
こんな状況を放置しておけないと感じた一人の女子生徒が、ガルシアにバレないように殴り合いの様子を動画に記録。
そしてこの動画により「ファイトクラブ」の存在が明らかとなり、ガルシアは解雇されました。
さらに、生徒の身を危険に晒したとして、刑事責任も負うこととなったのです。
7 授業を20年間サボってクビ

学校の授業をサボるのは生徒の側だけではありません。
教師だって、ストレスとかストレスとかストレスで仕事をサボりたくなることもあるでしょう。
そんな「サボり教師」で殿堂入りを果たした女性教諭がイタリアにいます。
中学校で文学を教えていたその教師は、24年間の教師生活において実際に教壇に立ったのは4年間だけ。
それ以外の20年間は、仮病を使ったり、研修に参加するフリをしたりして、授業を全力で避けていたのです。
たまに学校に来ても、彼女の授業は途轍もなくいい加減。
やる気が無さすぎて教科書すら持参せず、生徒から借りることもあったとか。
おまけに、成績の付け方も超テキトー。
そんなわけで、生徒からの評判は最悪でした。
彼女の授業をボイコットする生徒も多かったとされています。
そんなぬるま湯どっぷりの教師生活を堪能していた彼女ですが、2023年6月、ついに学校側に悪事が発覚。
当然ながら、クビになりました。
それにしても、20年間もサボり続けた教師も教師ですが、それに気づかない学校も学校という気がします。