事故や遭難が発生したとき、無くてはならない存在と言えば、レスキュー隊。
救出作業が極めて困難と思われる状況で、見事に助け出すことに成功したときは、その様子を見守っている人たちを感動させます。
しかし、レスキューが常にそういったものになるとは限りません。
感動的なレスキューの話とは真逆のレスキューになることもあるのです。
〈originally posted on March 3,2020〉
1 トイレから足が抜けなくなった女性を「スプーン」で救出
2015年3月、中国の広西チワン族自治区で、ある女性の自宅から通報があり、消防隊員が急行したとことろ、そこには、トイレに足がはまって動けなくなった女性がいました。
そのトイレは、床に設置された、いわゆる落下式のトイレ。
床にぽっかり穴が空いているだけなので、注意していないと足がズボッとはまる危険があります。
その女性は、シャワーを浴びている最中、うっかり穴に足を突っ込んでしまい、膝から下が動かなくなっていました。
消防隊員は、まず便器を破壊することを試みたのですが、それが困難だと分かり、他の手段を模索し始めます。
そしてたどり着いた答えが、どこの家庭にもある、スプーンです。
隊員たちは、スプーンを使って、女性の足の周りにある土(のような何か)を取り除いていくことに。
地道な作業の結果、彼女はようやく便器から解放されました。
【スポンサーリンク】
2 動物専門レスキュー隊が、犬のぬいぐるみを救出
道を歩いているとき、怪我を負ってぐったりとしている動物を見かけたら、何とかしてやりたいと思うのが普通でしょう。
2013年11月、スコットランドのグラスゴーにあるヒリンドン・ロードで、停まっている車にもたれかかったまま動かないコリー(スコットランド原産の牧羊犬)を見つけた人が、動物専門のレスキュー隊に通報しました。
ところが、駆けつけたレスキュー隊員を待っていたのは、コリーはコリーでも、ぬいぐるみのコリー。
通報者のイタズラという可能性も無くはないですが、ぬいぐるみを見たレスキュー隊員は、通報するのも無理はないと感じたとか。
というのも、そのぬいぐるみはかなり大きく、外見もリアルで、ぱっと見た感じは本物そっくりだったのです。
ハロウィンから数日後の出来事だったので、そのために利用されたものかも知れません。
ちなみに、そのレスキュー隊員の話によると、何らかの「物体」を、生きている動物だと勘違いして通報してくる人は決して珍しくないのだそうです。
3 ブランコから降りられなくなった少女を4人がかりで救出
奇妙なレスキュー劇は、どういうわけかグラスゴーで多発しています。
決して、筆者が意図的にこの地域の事件ばかりを取り上げているのではありません。
2013年8月、グラスゴーの南東に位置するサウス・ラナークシャーで、10代の女の子が、公園のブランコから抜けられなくなりました。
そのブランコは、幼児向けの小さなもので、彼女は無理やりそれに乗ってしまい、身動きが取れなくなったのです。
間抜けと言えば間抜けな話ですが、どう頑張ってもブランコから降りられないので、レスキュー隊が呼ばれました。
女の子を逆さにし、4人の男性隊員が救出に当たって、ようやく彼女はブランコから降りられました。
意外なことに、ブランコに挟まった人のためにレスキュー隊が呼ばれることは、よくあることなのだそうです。
4 他人の飼い猫を、迷い猫と勘違いして「救出」
行方不明の猫を助けたと思ったら、窃盗犯になっていた。
2019年11月、これまたグラスゴーにあるプレストンパンズという町で、そんなことが起きました。
ソフィー・ジョンソンという女性の飼っている、猫の「レンティル」がいなくなり、彼女はフェイスブックで、見つけたら連絡して欲しいというメッセージを、猫の写真とともに投稿。
すると、すぐに返信があり、近くの新興住宅地で見たという情報が。
ソフィーの友人であるローレンとチャーリーが車でその場所に向かい、レンティルと思しき猫を見つけ、車に乗せます。
そして、猫の写真を撮り、「レンティル発見!」というメッセージを添えてソフィーに送信。
しかしそのとき、彼らに向かって何かを叫びながら走ってくるオバサンの姿が。
オバサンは、
「その猫、お隣さんの猫よ!」
と叫んでいたのです。
つまり、彼らは、赤の他人の猫を、車に乗せて連れ去ろうとしていたというわけ。
結局、迷い猫探しは、振り出しに戻りました。
5 誘拐事件の被害者としか思えない、単なるドジっ娘を救出
2019年3月、スペイン領のテネリフェ島にあるビーチで、地元住民の一人が、けたたましく鳴りつづけるクラクションの音に気づきました。
音の発生源に行ってみると、そこには一台の車が停まっており、運転席には女性の姿。
その女性は、普通の様子ではありませんでした。
ガムテープによって、両手と、首から上がハンドルに固定されており、微動だに出来ない状態。
クラクションが鳴り止まなかったのは、鼻がハンドル中央に当たっていたからです。
この異常な光景を目の当たりにしたその住民は、すぐに警察に通報。
その後、到着した警察官によって彼女は助け出されました。
明らかに誘拐事件を匂わせる状況なので、警察官が彼女から詳しい事情を聞いたのですが、その話に警察官は驚きました。
ハンドルに体を固定したのは、他ならぬ彼女自身だったのです。
彼女は、とあるベストセラー小説の1シーンを再現しようとして、ガムテープを使って自分自身を縛り付け、途中からどうにも出来なくなったのだとか。
何故そのシーンを自分で再現したくなったのかは不明ですが、何ともはた迷惑な話です。
【スポンサーリンク】
6 スケートボード・パークに佇む謎の少年を救出
最後にご紹介するのは、おそらくレスキュー史上最も不可解な事例です。
2016年1月、イギリスのとあるスケートボード・パークで、一人の少年が、外に出られなくなりました。
そのスケートボード・パークは、誰もが自由に利用できるように開放されており、スケボー用のエリアは、一般的な学校のスイミングプールと同じ位の広さ。
深さ約1.8メートルで、周囲から中央に向かって、傾斜が付いています。
レスキュー隊がパークに駆けつけると、一人の少年が、スケボーエリアでポツンと一軒家状態。
彼の他にはほとんど人の姿は見えず、数人の見物人がいるのみでした。
たった1.8メートルの高さですから、助走をつけて斜面を駆け上がれば、問題無く外に出られるはず。
しかし、どういうわけか、彼は自分で出ることが出来なかったのです。
結局、レスキュー隊が少年に命綱を放り投げ、彼を引っ張り上げました。
この奇妙なレスキュー劇に対し、ネット上では様々な意見が。
ある人は、真冬で斜面が凍っていたから、足が滑って上れなかったのではないかと予想。
別の人は、少年が、精神面で何らかの問題を抱えていた可能性がある、とコメント。
真相は分かりませんが、とりあえず、無事に救出できたので、良しとすべきなのでしょうか。