「Amazon Vine 先取りプログラム」というものをご存知でしょうか。
このプログラムを利用して出品された商品を、Vineメンバーは無料で注文することができるのです。
「無料」とは言っても、Vineメンバーにはその商品のレビューを書くことが求められます。
これにより、出品者側にとっては新商品のレビューが早く集まるというメリットがあるわけです。
どういう人がVineメンバーに選ばれるのか、その基準は明確ではないのですが、少なくともAmazonに何度もレビューを投稿していなければ選ばれません。
で、僕はそのメンバーに数ヶ月前に選ばれました。
決してメンバー加入を狙っていたわけではなく、そんなに頻繁にレビューを投稿した覚えも無いので、選ばれたときは「え、なんで?」と驚きましたが、選ばれたからには徹底的に活用してやろうと決意。
それから数ヶ月、いろいろと気づいたことがあるので、この記事でまとめてみようと思います。
序論 Amazon Vineへようこそ
Vineメンバーに選ばれると、Amazonからその旨の通知が突然届きます。
メンバーには等級があり、最初はシルバーのステータス、そして一定条件を満たすとゴールドに昇格。
メンバーは、メンバー専用のページに掲載された商品の中から任意の商品を注文できます(代金、送料は無料)。
ただし、ステータスがシルバーの場合は一日3個、ゴールドなら8個までという制限に加え、シルバーは合計金額の制限もあり。
ロハでもらえるなんて羨ましい!と思う人もいるかも知れませんが、そこには数々の落とし穴もあるのです。
1 「一日3個注文」は非現実的
先述のとおり、Vineメンバーになれば、その日から一日3個まで商品を注文できます。
しかし、実際に毎日3個も注文するのはかなり非現実的。
そんなことを続けていれば、Amazonから特大段ボールが怒涛のごとく送られる日々を送ることになります。
段ボールの処分だけでもけっこう骨が折れることでしょう。
さらに、家の中はどんどん物で溢れてくる。
Vineの商品は圧倒的に中国製が多いので、あっちを見てもこっちを見ても中国製品だらけ。
当然、不要な物も増えてきます。
要らない物は売ればいいじゃん、と思うかも知れませんが、Vineの規約では、Vineによって入手した商品を譲渡・転売することは禁止。
よって、不要な物は自分で処分するしかありません。
2 本当に欲しい物が手に入ることは滅多にない
Vineメンバー専用のページには、常時約4000点を超えるアイテムがあります。
しかし、その多くは極めて限られた用途にしか使えない物なのです。
例えば、特定の機種専用のスマホケース、特定の掃除機のゴミパック、特定の電動シェーバーの替刃など。
中には、一見しただけでは何に使うものなのかよく分からないアイテムもけっこうあります。
つまり、誰もが欲しいと思うようなアイテムは全体のごく一部。
大半の商品は、「タダでも要らない……」というものなのです。
3 本当に欲しい物は一瞬で消える
前述のように、欲しいアイテムに遭遇するチャンスはなかなか訪れないのですが、それでも根気よくVineのページをチェックしていると、「これは!」と思う物に出会うことがあります。
ところが、そういったアイテムは大抵誰もが欲しがる物なので、ものの数秒で商品リストから消え去るのです。
出品されているアイテムには限定数があり、注文は早い者勝ちなので、モタモタしているとあっという間に注文が限定数に達して注文不可となるからです。
逆に、人気の無い商品はいつまでもリストに居座り続けます。
ちなみに、人気の無い商品の筆頭は「胸を小さく見せるブラ」。
これは本当に人気が無いです。
一度リストに現れると、一ヶ月くらいは残っています。
4 女性の方が断然有利
Vineのメンバー向けに出品されているアイテムは様々なカテゴリーに分かれていますが、特に人気が高いのが「ファッション」のカテゴリー。
ただ、このカテゴリー内で出品されるのは、多くの場合、女性向けの商品です。
男性向けの物はかなり少なめ。
よって、女性のメンバーであれば、このカテゴリーの商品で高い恩恵を受けられるのですが、男性の場合はそれほどでもないのです。
男性の場合、Vineメンバーに選ばれても、女性メンバーほどのお得感はありません。
5 レビューを書き続ける毎日
Vineメンバーは、商品を受け取ったらそれで終わり、というわけではありません。
商品のレビューを書かねばならないのです。
Amazonに投稿したレビューのクオリティが認められてVineに招待されたわけですから、提供された商品に対してレビューを書くことが期待されているのは、ある意味当然と言えるでしょう。
レビューを投稿するのは義務ではありませんが、注文した商品数に比べ、レビュー投稿数があまりにも少ない状態が続くとAmazonから警告が来ます。
端的に言うと、「このままだとVineとオサラバになっちまうよ」という警告。
それが嫌なら、レビューを書くしかありません。
しかし、注文数が異常なほど多い人の場合、レビューを投稿するだけでもかなり大変でしょう。
ファミ通のクロスレビューのような一言コメントでも許されるのならラクですが、多くのVineメンバーはそれなりの長さの文章に加え、写真や動画も投稿しています。
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6 「ガチ勢」の存在
誰もが欲しい物がすぐにリストから消えてしまうのは先述のとおり。
しかも残念ながら、新商品が追加されたときにAmazonが通知してくれるようなサービスは今のところ無し。
よって、なるべく自分が欲しい物を入手したいのなら、しょっちゅうVineの商品ページをチェックする以外に有効な方法はありません。
ところで、しばらくVineを利用していて気付いたのですが、Vineメンバーの中には間違いなく「ガチ勢」がいます。
この場合の「ガチ勢」とは、
暇さえあればVineページをチェックし、さらに家にいる間はPCやスマホに張り付いてVineページのリロードを何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返し、良さげな新商品が現れた瞬間に速攻で注文する。
そういう人たちです。
ごく普通の生活を送っている人は、こういったガチ勢には永久に勝てません。
目ぼしい商品は全てガチ勢が掻っさらっていくので、後はおこぼれに預かるだけです。
ちなみに、ガチ勢が虎視眈々と狙うカテゴリーが一つあります。
それは「食品・飲料」のカテゴリー。
僕は今までこのカテゴリーの商品をゲットできたことがありません。
とにかく、新商品が追加されたら「コンマ数秒」で無くなります。
それがたとえ300円程度のスナック菓子であろうと一瞬で消えるのです。
7 ガチ勢に対抗するのは無謀
良い商品を根こそぎ持っていってしまうガチ勢に対抗するにはどうすればよいのか。
答えは単純明快です。
四六時中Vineページをチェックする生活を送ればいいだけ。
しかしそうなると、普段はSNSをチェックするような時間が、ほぼ全てVineチェックの時間に置き換わります。
スキマ時間さえあればVineの新商品を確認するので、最悪の場合、人付き合いも悪くなるでしょう。
さらに、そこまでしたところで欲しい物が何も無かったという場合、完全なる時間の浪費。
「虚しさ」だけをゲットする羽目になります。
8 Vineメンバーを忌み嫌う人々
「Vineメンバーはタダで 商品を貰っているから、下駄を履かせてレビューを書いている」
このような認識から、Vineメンバーによるレビューは信用できないと考える人がいます。
しかしこれは大きな誤解。
Vineメンバーに期待されているのは、あくまで正直な感想であって、意図的に高評価をすることではありません。
実際、Vineメンバーのレビューを見ていると、星一つや二つを付けて酷評しているものもよく目にします。
出品者からすれば、せっかくVineを利用して売上を伸ばそうとしているのに、低評価のレビューが付くのは不満かも知れませんが、そういうリスクもVineにはあるということです。
また、タダで商品を貰っているという理由で、Vineメンバーを忌み嫌う人たちも恐らくいるでしょう。
しかし、本当に自分が欲しい物を次々とゲット出来ているのはガチ勢だけであり、その他のメンバーに関しては、それほど美味しい思いをしてはいません。
9 ゴミ商品を急いでポチる人々
以前、高反発マットレスが出品されていたことがあります。
価格は約8000円。
ちょうどマットレスが欲しいところだったので、「これは!」と思ったのですが、念の為に商品説明とレビュー欄にサッと目を通しました。
スコアは星4.8で、高評価レビューばかり。
「よし!注文だ!」と思ったものの、時すでに遅し。
リストから商品は消えていました。
呑気にレビュー欄なんか見ている間に先を越されていたのです。
チクショー!と思いつつ、なんとなく気になって数少ない低評価のレビューを読んでみると、意外な感想が。
「高反発なんてウソ。お尻が沈み込む」
「品質管理が最悪」
「買うだけ無駄。ゴミ」
星4.8なのに何故こういった酷評があるのか。
謎を解くために、Amazonレビューのサクラ度を確認できる「サクラチェッカー」で調べてみました。
すると、「危険度90%」の表示。
つまり、この商品のレビューはそのほとんどがヤラセであり、実際のスコアは星1.3。
少数派の酷評レビューの方が真実だったというわけ。
ゴミ同然のマットレスを送られるというのはちょっとした悪夢。
大型の商品を速攻でポチることには、このようなリスクもあるのです。
10 レビューへのダメ出し
Vineで出品されている物以外のアイテムであれば、よほど変なレビューを書かない限り、Amazon側からレビューのダメ出しが来ることはありません。
しかし、Vineの商品となると話は別。
何項目ものガイドラインにしっかりと則った内容でないとレビューが掲載されません。
つまり、通常のレビューよりも審査が厳しいのです。
例えば、
★★★★★
配達が早くて助かりました!
★★★★☆
キレイに梱包されてました。グッドです!
★☆☆☆☆
段ボール箱が少し潰れてた。
最悪。
こんなレビューは確実にアウト。
あくまで商品そのもののクオリティについてのレビューでなければならないのです。
ところで、Vineメンバーのレビューの中には、時折、極端に短いレビューがあるのですが、そういったものがガイドラインに引っかかるのか否かはよく分かりません。
一つだけ言えるのは、短すぎるレビューしか書かない人は、Vineで注文し過ぎて、レビューを書くのがかなり面倒になっている可能性が高いということです。
結論 Amazon Vine はいいことばかりではない
タダで商品が手に入るところから、Vineメンバーはお得なステータスであると思われがちです。
確かに僕自身、Vineメンバーになってから数ヶ月間、様々なジャンルの商品を注文し、中には「お、これは便利!」と思うものもいくつかありました。
ただ、「これが無いと困る」というほど必要性の高い物はほとんどありません。
無くても困らないが、あったらそれなりに便利、という物ばかりです。
まあ、それでも無料で頂いたわけですから、お得な面があるのは否定できません。
しかし、今現在Vineメンバーでない人が、メンバーになるために頑張ってレビューを投稿し続けるほどの価値があるのかといえば、ちょっと微妙。
これまで述べたように、Vineプログラムには数々の落とし穴もありますから、決していいことばかりではありません。
大して欲しくない物をゲットし、そのレビューを書くのと、本当に欲しい物だけを必要な時に購入するのと、一体どちらが良いのか。
これは、その人の価値観によりますね……。