今回は、ほんの少しの行動力と決断力で救えた人を見捨てた者たちの話をご紹介します。
目の前で命の危険に晒されている人がいる場合、その人を助けるかどうかは難しい問題です。
確実に助けられる保証はありませんし、自分が命を落とす可能性も否定できません。
よって、助けなかったからという理由で、その人を非難することもできないでしょう。
しかし、そうは言えない場合もあります。
以下にご紹介するのは、どれも何らかの行動を起こすべきではなかったのか、と思いたくなるような事例です。
〈originally posted on October 12,2015〉
1 溺れかけている子供を見捨てた者
イギリス北西部のマンチェスターで起きた事故。
ベサニー・リヨンという10歳の女の子が川で溺れかけているのを、兄のジョードン君が発見。
彼はすぐさま川に飛び込み、妹を助け出そうとしたのですが、逆に彼自身が溺れそうになる事態に。
兄妹の家族がそれを知り、誰かに助けを求めようとしたちょうどその時、2人の「PCSO」のメンバーが近くを巡回していたのです。
「PCSO(Police Community Support Officers)」というのは、イングランドやウェールズで活動する准警察組織で、民間人からの志願によって選ばれ、地域の治安維持に貢献することを任務としています。
しかし、その2人が現場に到着したとき、彼らの口から実に意外な言葉が飛び出しました。
「自分たちの手には負えないので警察を呼んでください」
そして、警察が来るまでの間、見るに見かねた2人の一般市民が川に飛び込み、妹の方を何とか助け出したものの、警察が到着した時には兄のジョードン君はもう助からない状態となっていました。
2 薬を求める家族を見捨てた者
という14歳の女の子が、クリスマスに家族とレストランで食事をしている最中、突然、喉が締め付けられるような痛みを感じて激しく苦しみ始めました。
実は、彼女は「ナッツアレルギー」があったのですが、ピーナッツを含んだソースに気づかず、そのまま口にしてしまったのです。
さらに運の悪いことに、普段はこのような過敏症を抑える薬を携帯しているのですが、この日は所持していませんでした。
彼女の家族はすぐにレストランを飛び出し、近くの薬局に駆け込みます。
そこで、店員にエマの陥っている極めて危険な状況を丁寧に説明し、目的の薬を買おうとしたのですが…。
驚くことに、その店員は薬の販売を断固として拒否。
理由は、
「医師の処方箋が無いと売ることは出来ない」
というもの。
そして、店員は、代わりに救急車を呼ぶようにアドバイスしたのでした。
エマが倒れて重篤な状態に陥ってからも、その態度には全く変化無し。
その後、救急車が到着したものの、その時点で既にエマの状態は手遅れとなっていました。
3 命の恩人を見捨てた者
中国の孫水河の側で、犬の散歩をしていたドゥオン・ジンジエさんは、川で溺れそうになっている女の子を家族が助けようとし、その家族もまた溺れかけている現場に出くわしました。
彼は、通りすがりの2人の男性と共にその家族を助けに川へ飛び込み、無事に全員の救出に成功。
ここで終わっていれば何の問題も無かったのですが、しかしこの後、今度はドゥオンさんが川の流れに足を取られ、流されてしまったのです。
そして信じがたいことに、今しがた救助されたその家族は、この状況を把握していながら、荷物をまとめてさっさと帰ろうとしていました。
周りにいた人が引きとめようとすると、彼らは一言、
「あの人とは別に何の関係も無いから」
と言い放ったとか。
その後、ドゥオンさんが川から引き上げられた時には、既に息を引き取っていたのでした。
4 車に取り残された人を見捨てた者
さんは、イングランド南西部のサマセットで、友人の運転する車に乗り、3人でドライブを楽しんでいました。
しかし、運転していた男性の不注意で車が車道を外れ、道路脇の水路の中へと突入。
ソーントンさん以外の二人は辛うじて車から脱出したものの、ソーントンさんは意識を失った状態で車に取り残されてしまいました。
二人はすぐに付近の家から救急車を呼んだのですが、駆け付けた救急医療士はソーントンさんの救助を拒否。
その理由は、
「水位を考えると、水に飛び込んで救助活動を行うのは危険だから」
というもの。
しばらくしてから到着した警察官のレズリー・デイさんが水路に飛び込み、何とか彼を引っ張り上げたものの、既に帰らぬ人となっていました。
5 昼休みだったので見捨てた者
妊娠6ヶ月のユーティシャ・レニックスさんはコーヒーショップで働いていたのですが、ある日、仕事中に突然意識を失って倒れました。
そこにたまたま、2人の救急救命士が昼食をとりに来ていたので、店のスタッフが助けを求めたところ、耳を疑うような返事が…。
「すぐに救急車を呼んでください」
そう言って彼らはランチを手に店を出て行ったのです。
その後、レニックスさんとお腹の中の子供は搬送先の病院で死亡が確認されました。
日本を含む多くの国で、人命を救助することが法令等で定められている者がその義務を怠り、それが原因で人が亡くなれば犯罪になります。
しかし、アメリカにはそのような法律が無く、この2人の救急救命士は結局その後、無罪放免となったのでした。