映画といえばやはりアメリカ!
そしてアメリカといえば……。
人種差別問題。
もちろん、どこの国にも差別問題はつきまといますが、様々な人種から構成されるアメリカほど差別が深刻化・常態化している国はそう多くはないでしょう。
黒人に対する差別はもちろん、アジア人に対する差別意識も根強く、時にはそれが映画の中にも現れます。
なお、以下に挙げた作品は特に断りの無いかぎり全てアメリカ映画です。
〈originally posted on January 28,2016〉
1 スターウォーズ・エピソードI ファントムメナス
ジョージ・ルーカス監督が、かなりのブランクを経て1999年に完成させたスターウォーズ4作目。
つい最近、最新作であるエピソード7が公開されたのでこの作品をチェックした方も多いでしょう。
そして、この映画の中にも差別的な要素はしっかりと含まれています。
鉤鼻で金に汚いワトーや、鼻のペッタンコなネモイディアンといったエイリアンは、それぞれユダヤ人や日本人の典型的な悪いイメージを表しているとされています。
公開直後、これらの人種差別的な要素について非難の声が強まり、ルーカス監督はTVに出演して弁明を余儀なくされました。
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2 ダンボ
1941年に公開されたディズニー作品で、空飛ぶゾウが主役の子供向けアニメ。
「オイオイ、ディズニー映画で差別なんてあるわけないだろ」
と思われるかもしれませんが、これもれっきとした差別映画です。
この映画に登場する真っ黒なカラスの声は白人男性が演じているのですが、無理に黒人の声を真似て誇張した演技をしている点が極めて差別的とされ、公開されてからの批判の声は相当に大きいものでした。
3 ティファニーで朝食を
1961年に公開されたオードリー・ヘップバーン主演の映画で、自分の信念に従って自由に生きる強い女性を描いていました。
この映画の中で、ミッキー・ルーニーの演じた「ユニオシ」という名の日本人は、「黄色い顔に黒縁の丸メガネをかけた出っ歯の男」という、当時のアメリカ人が描く最高度に侮蔑的な日本人像を体現していました。
映画公開から半世紀経っても超差別的映画であるという評価に変わりはなく、2011年にニューヨークで公的資金を使ってこの映画の上映会が計画されたとき、アジア系アメリカ人の団体が抗議行動を起こしています。
4 風と共に去りぬ
1939年に公開されたヴィクター・フレミング監督作品で、南北戦争期における白人貴族社会を描いた名作。
アカデミー作品賞・監督賞などを受賞し、日本では宝塚歌劇のミュージカル作品としても有名です。
しかし、輝かしい賞を受賞している一方で、奴隷制度を美化した上で南軍のアメリカ人兵士を英雄扱いする映画であると評論家から痛烈に批判されました。
5 ザ・トイ
1982に公開されたリチャード・プライヤー主演のコメディ映画。
白人の大金持ちが、幼い息子の世話をさせるために黒人男性を「買う」というのがストーリーの導入部です。
「買う」と表現しましたが、本当に巨大な木箱に入った黒人が荷物として家に届けられます。
1619年から1865年にかけて、多くのアフリカ人が裕福なアメリカ人の家庭へ売られていた事実を考えると、このコメディ映画を見て笑えるのは恐らくアメリカの白人くらいでしょう。
これだけ直球の差別映画でありながら、この作品は4700万ドルもの興行収入を達成しています。
6 インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説
1984年に公開された『インディ・ジョーンズ』シリーズの2作目。
考古学者のジョーンズ博士がインドへ渡ると、そこには貧困で絶望的な状況にある現地人や、汚い策略で博士を毒殺しようとするアジア人に加え、ブードゥーを行うヒンドゥー人などといった呆れるほど偏見に満ちたキャラクターたちが登場します。
もともとこの映画の撮影は全てインド国内で行われる予定でしたが、スピルバーグ監督の脚本があまりにインド社会を侮辱していることにインド政府が激怒して、撮影を許可しなかったと言われています。
ちなみに、インドではこの映画の公開自体が禁止されているそうです。
7 ヤコペッティの残酷大陸
1971年に公開されたイタリア映画で、アメリカの奴隷制度をドキュメンタリー風に映像化した作品。
奴隷として悲惨な生活を送っていた黒人の姿が生々しく描かれています。
映画の方向性としては、そのような差別を非難する立場をとっているわけですが、しかしこの作品の問題点はその撮影過程にありました。
出演しているアフリカ人はすべて一般人なのですが、経済的に苦しい彼らは、わずかな出演料のために屈辱的なシーンへの参加を半ば強制されていたそうです。
8 ミスター・ソウルマン
1986年公開のコメディ映画。
ハーバード大学法科大学院という名門に合格したものの学費のアテが無い主人公が、黒人にのみ適用される奨学金を受けるべく顔を黒く塗って黒人に扮するところから物語が始まります。
大変わかりやすい形で黒人をバカにしたこの映画が公開されると、ロサンゼルスでは大規模な抗議行動が行われたそうです。
しかし、この抗議にも関わらず映画は興行的に成功を収め、2700万ドルを稼ぎ出しました。
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