当サイトでは、変わった恐怖症をこれまで色々とご紹介してきました。
ただ、実際に恐怖症を抱えている人たちが、どのような日常生活を送るのかについては、ほとんど触れていません。
そこで今回は、恐怖症がもたらす異常な日常を、具体的な事例でもって垣間見ようと思います。
高所恐怖症の場合、普段の生活にそれほど大きな支障は無いでしょう。
自ら進んで高い所に行かなければ、特に問題はありません。
しかし、聞いたことがないような珍しい恐怖症の場合、ノーマルな日々を送るのはそう簡単ではないのです。
〈originally posted on November 17,2018〉
1 ケーキ恐怖症
コンビニで不動の人気を誇るスイーツの一つと言えば、やはりケーキでしょう。
仕事で頑張った自分へのご褒美として買って帰る人も多いはず。
ケーキのような甘い物は、特に女性に人気といったイメージがありますが、世の中にはケーキに恐怖心を抱く女性もいます。
「恐怖心」とは言っても、カロリーの摂りすぎが怖いという意味ではありません。
イングランドのウェスト・ヨークシャー州フェザーストーン出身のレイチェル・リー(29)は、「ケーキ恐怖症」に苦しむ珍しい女性です。
普段はショップの店員として働いている彼女は、9歳のときにデコレーションケーキを食べて気分が悪くなり、それ以来、ケーキを見ただけでパニック発作に襲われます。
酷い場合には、気を失ってしまうことも。
誰かがケーキを持って自分の方へ近づいてきて、横を通り過ぎただけで、彼女は体の震えが止まらなくなり、恐ろしさのあまりその場で全身が硬直します。
ケーキを焼いているときに漂ってくる匂いも駄目なので、メニューとしてケーキを出しているカフェに入店するのも無理。
通りを歩いていて、前方にケーキ屋やパン屋が視界に入ったら、走って店の前を通過します。
レイチェルにとって、グルメ番組などで出演者がケーキを頬張っている映像を見るのは、どんなホラー映画よりも怖いのだとか。
ちなみに、彼女が最も恐怖するケーキは、「ビクトリア・スポンジケーキ」。
19世紀にビクトリア女王が好んで食べたとされるこのケーキは、ジャムとクリームをスポンジで挟んだものが数段積み上げられているのが特徴。
一言でいえば、ケーキのビッグマックです。
過去に専門家に相談したものの、非常に珍しい恐怖症なので、根本的な解決には至らなかったそうです。
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2 階段恐怖症
イングランドのリンカンシャー出身の作家、リチャード・O・スミスは、子供の頃から高い場所が苦手でした。
高所恐怖症は、恐怖症の中ではそれほど珍しいものではありません。
ただ、彼が恐怖心を抱いていたのは、高い場所だけではなく、「階段」でもあったのです。
リチャードは、3歳のときに階段から転げ落ちて以来、階段に対して、何となく嫌な感じを覚えるようになりました。
そのこと自体を彼はあまり深刻に捉えていなかったのですが、8歳のとき、学校の遠足で城を訪れた際に、この恐怖症の真の恐ろしさを自覚させられることに。
城を見るのが大好きだった彼は、他の生徒たちと一緒に城内を散策しようと階段の前まで来た瞬間、動けなくなったのです。
階段に足を乗せようとしても、足はびくともしません。
異変に気づいた担任がリチャードに事情を聞きます。
このとき彼は、自分が階段というものを全く上れなくなっていることに気づきました。
そのことを自覚してからの彼の生活は、まさに苦悩の日々。
周りの生徒からは嘲笑され、出席できない授業も増えていきました。
恋人ができそうなチャンスは何度か訪れましたが、相手の女の子が階段を上ると彼は置いてきぼり。
なかなか恋愛には発展しなかったのです。
そんなリチャードが、この恐怖症の治療を本格的に受けたのは、なんと40代になってから。
つまり彼は、40年以上もの間、階段が上れない生活を送っていたのです。
ちなみに、奥さんのキャサリンにも恐怖症のことは隠していたので、彼女はなかなかこの事実に気づかなかったとか。
高所恐怖症と階段(急斜面)恐怖症とを同時に抱えていたリチャードは、世界中の専門家からのセラピーを受けたことで、今ではこの恐怖症を克服しています。
3 ケチャップ恐怖症
を(映画ではなく)実際に目にすれば、たいていの人は恐怖心を抱くでしょう。
では、トマトケチャップならどうか。
ドバっとケチャップが容器から吹き出ているのを見て恐怖する人はいるのか。
もちろんいます。
数年前までニューカッスル大学の学生だったローレン・ドッドという女性がその人。
ケチャップを見た瞬間、彼女は恐怖におののいて吐き気を催します。
周りの友人は全く理解してくれないようですが、彼女にとってケチャップは、悪夢以外の何物でもないのです。
学生寮にいた頃、他の寮生がキッチンでケチャップを使用した料理を始めると、彼女はすぐさま建物の外に退避していました。
ローレンによれば、数あるケチャップの中でも、ハインツというメーカーのものが最恐なのだとか。
ところで、ケチャップ以外の調味料・ソースはどうなのかというと、それらについては全く大丈夫なのです。
彼女自身、このような恐怖症に悩まされることになったきっかけは、分からないそうです。
4 新聞恐怖症
介護施設で調理の仕事をしているダイアン・フリーラヴという女性は、新聞恐怖症です。
今の世の中、嫌な事件ばかりなので新聞を読むと憂鬱になる、ということではなく、新聞そのものが恐怖の対象です。
彼女は、新聞を素手で触ることが出来ません。
また、そばに新聞が置いてあるだけでも不安になり、テレビで新聞が映っていると、すぐに視線を反らします。
新聞を持った人に接近されただけで悪寒が走り、万が一、体の一部が新聞に触れてしまうと鳥肌が立つのです。
現在53歳で、3人の子供がいるダイアンは、もう30年近くもこの恐怖症と付き合っています。
一体何がきっかけでこんな奇妙な症状が始まったのか。
彼女自身の推測によると、おそらくは幼少期の「ある体験」が原因ではないかとのこと。
彼女は子供の頃、母親が新聞で父親の頭をよくバシバシ叩いているのを見ていました。
両親は、決して夫婦喧嘩をしていたわけではなく、単にふざけているだけだったのですが、その光景を日常的に目にしていた彼女は、新聞という物それ自体に対し、何とも言えない不安を覚えるようになっていったのです。
5 音嫌悪症候群
1970年代に活躍したヘヴィメタル・バンド「ブラック・サバス」のボーカルを務め、現在は多方面で才能を発揮しているオジー・オズボーン。
その娘であるケリーは、少々厄介な恐怖症を持っています。
それは、他人が物を食べるときの音。
ムシャムシャ、クチャクチャ、バリボリ、ガリガリ……。
そういった音に彼女は耐えられないのです。
確かに、自分のすぐ近くで大きな音を立てて食事をされると、誰でも多少は不快になるでしょう。
しかし彼女の場合、不快になるというよりは、気がおかしくなるのです。
その結果、ケリーは、音を立てて物を食べている人の所に行って、その食べ物を取り上げます。
しかも、この行動はほとんど発作的に起きるので、彼女も自分が何をやっているのか、その瞬間は把握できないのだとか。
この恐怖症があると、デートの際、二人でレストランで食事をすると、悲惨な結末が待っています。
専門家によると、ケリーの症状は、「音嫌悪症候群(ミソフォニア)」の一種であるとのこと。
これは、他人が発する音を極度に嫌う結果、過剰に反応してしまう症状です。
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6 嘔吐恐怖症
から、人生を狂わされた女性がいます。
ジリアン・キャンベルトン(66)は、5歳のときに急性胃腸炎を患い、嘔吐を繰り返す経験をしてから、嘔吐に対する恐怖心が増大していきました。
その結果彼女は、二度と病気にかからないように、自分の健康面や衛生面について尋常でないほど神経を使うようになります。
小学校時代は、雑菌・ばい菌を恐れて周りの生徒に警戒し、さらに、病気の子が教室にいると分かると、即座に家までダッシュで帰っていました。
大人になってからは、人が多く集まるような場所は極力避け、海外旅行にも一切行かず。
食事に関しては、外食や店屋物だと食中毒の危険性があることを恐れ、家で簡素な料理をするだけ。
病原菌を持った人と接触してしまったと感じたら、家に引きこもり、長いときで2週間もほとんど食べ物を口にしません。
ジリアンには子供がいますが、子供が何らかの病気にかかってしまったら、育児放棄して部屋に引きこもり状態。
その場合、子供の世話は、すべて夫が担当していました。
ジリアンの人生は、一言で言えば、「絶対に病気にかからないための人生」です。
この異常なライフスタイルを堅持したことで、彼女は60年以上まったく病気にかかっていません。
もちろん、そのことは彼女にとって喜ぶべき事実でも何でもないのです。
この不便極まりない生活は、ジリアンから多くのものを奪いました。
巨額の資金を費やして、様々な専門家に助けを求めたものの、効果は無し。
彼女にとってこの恐怖症は、
とのことです。