病気や怪我が原因で、何らかの治療を受けるのは、誰でも、ある程度は緊張するものだ。
万が一、予想外の事態が生じたら、と不安に思う人もいるだろう。
しかし、現代では、そういった心配は、多くの場合杞憂に終わる。
では、大昔の治療ではどうだったのか。
今回は、今の常識では考えられないモノが、治療に使われていたという恐ろしい話をご紹介。
〈originally posted on December 31,2014〉
1 恐怖の浣腸剤
19世紀のヨーロッパで広く使われていた浣腸剤には、驚くべき材料が使われていた。
その材料とは、食塩水、重曹、石けん、コーヒー、カモミール、ハチミツなどである。
一体何の医学的根拠があって、コーヒーやハチミツを混ぜていたのかが謎だ。
ちなみに、この浣腸剤、フランスのルイ14世のお気に入り(?)で、死ぬまでに2千回以上は使用していたらしい。
2 カビの生えたパン
パンにカビが生えてしまったら、普通は捨てるしかないわけだが、かつてはある治療薬として使われていた。
鎮痛剤である。
昔の中国やローマ、エジプトでは、傷口にカビの生えたパンを押し当てることで、感染症を防ぐと考えられていたのだ。
これは、カビの中の菌が、感染症を引き起こす微生物を殺すからである。
しかし、1928年にペニシリンが発見されてからは、カビの生えたパンが使われることは無くなった。
3 カタツムリの粘液(と犬のアレ)
カタツムリの出す粘液は、喉の痛みや咳に対する治療薬として、何世紀にもわたって使われていたらしい。
効果を実感した人の中には、耳の痛みにも効くはずだと考えて、粘液を耳に直接流し込む人までいたそうだ。
また、犬のウンコが喉の治療薬の成分として使われた時代もあった。
カタツムリはまだ良いとして、ウンコはどう考えてもヤバイ気がするが。
4 タバコの煙
タバコをまったく吸わない自分にとっては、タバコは百害あって一利無しの存在なのだが、19世紀後半から20世紀にかけて、タバコの煙はある病気に効くと信じられていた。
喘息である。
タバコの煙を吸い込むことで、喘息が治ると真剣に考えられていた時代があったのには驚きだ。
もちろん、何の治療効果も無い。
それどころか、副流煙を吸い込むことは、直接タバコを吸うよりも害が大きい面もある。
5 ミイラの粉
12世紀にアラビア人が、エジプトを含む北アフリカを征服したとき、エジプトに散在する「ミイラ」を挽いて得られた粉を「アスピリン」などの代用として利用していたとされている。
その使用範囲はかなり広く、頭痛、胃潰瘍から筋肉痛にまで使われていたそうである。
6 羊の肝臓
現代では、患者に対する治療法を決定するのにレントゲン写真が使われるが、古代メソポタミア文明では、「羊の肝臓」が使われていた。
これは、羊の肝臓があらゆる生命の源であると捉えられていたため。
医師は、その肝臓を使って患者に対する最適な治療法を決定していたそうだ。
一種の悪魔的な儀式のようなものだったと思われる。
7 水銀
誰もが学校の理科で習うように、水銀は有毒である。
ところが、19世紀において、水銀は非常にポピュラーな薬の一つだった。
その効能に至っては、梅毒、結核、鬱、偏頭痛など、極めて広い範囲の病気に効果があるとされていた。
あのエイブラハム・リンカーンも、自身のうつ病治療のために、水銀が主成分の錠剤を服用していたらしい。
しかし、1861年に、自分の気性の荒さの原因が、その錠剤であると気づき、使用を中止。
2010年には、リンカーンが実際に服用していた錠剤が発見され、その成分や効果が分析されている。
その結果、不眠症や認識能力低下を招く危険性が見いだされたという。
8 ネズミの死骸
ネズミの死骸というと、もうそれだけでデンジャラスさが全開だ。
ところが、古代エジプトの人々は、この危険極まりないものを他の材料と混ぜ、ペースト状にして薬として使っていた。
そして、それを何の薬として使っていたかというと…。
歯痛である。
痛みの原因となっている部分にたっぷりと、その特製ペーストを塗りつけていたのだ。
結果として、歯痛が治らないだけでなく、ネズミの死骸が原因で他の病気に感染し、死亡する人もいたらしい。
9 人肉
ネズミの次は人間である。
人間の「肉」が、実際に薬として使われていた時代がある。
古代のローマやエジプトでは、筋肉のけいれん、頭痛、胃潰瘍などの薬として、人間の肉、血液、骨などを含んだ薬が処方されていた。
特に、ローマにおいては、偉大なグラディエーターの血は「てんかん」に効果があると信じられていたらしい。
それに目を付けた商人が、グラディエーターの血液を売りさばいて一財産をなしたほどだったという。
10 焼きごて
焼きごてなどといったものを人間に使用すると聞くと、それはもう拷問以外は考えられないが、驚くべきことに、これも治療として使われていた。
治療の対象となったのは、「痔」である。
痔に対して有効な治療法が確立されていなかった時代、患部に焼きごてを当てることによって、痔を除去していたのだそうだ。