よくこれで訴える気になったな……と驚かずにはいられないおバカな訴訟の数々。
この手の訴訟は、やはり「訴訟大国」と呼ばれるアメリカにおいて顕著に見られるようです。
では、実際にどんな裁判があったのか。
今回は、特に奇妙なものをご紹介しましょう。
〈originally posted on April 10,2018〉
1 ビールを飲んだのに美女が現れないッ!!
1991年、ミシガン州在住のリチャード・オウバートンは人気ビール「バドライト」のメーカーであるアンハイザー・ブッシュを訴えました。
その理由が驚きです。
彼は、バドライトのテレビCMの中で、バドライトのトラックに乗っている二人の男が美女と戯れている映像を見て、
「俺もバドライトを飲めば美女とイチャイチャできるのか!!」
とテンションが上がってバドライトを飲みまくったものの、美女と付き合える気配が全く無いので頭にきたというわけです。
虚偽のCMによって精神的苦痛を味わい、ビール代として10万ドルも費やしたことの賠償を求めて訴訟を起こしたのですが、当然のごとくこの請求は棄却されました。
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2 俺自身を訴えてやるッ!!
1995年、ヴァージニア州で、泥酔状態で窃盗などの罪を犯し、有罪判決を食らって服役していたロバート・リー・ブロックは、常人では考えられない訴訟を起こしました。
何と彼は、自分自身を訴えたのです。
酒を飲んで犯罪に手を出してしまい、それにより自分の「市民権」や「信条」といったものを侵害したことについて、自分自身を訴え、500万ドルを請求したのです。
正気か?
と言いたくなりますが、実はこの男、500万ドルの賠償金が認められれば、その支払いを州に肩代わりさせようと目論んでいたようなのです。
しかし、こんな無茶苦茶な訴訟はさすがにアメリカでも認められませんでした。
3 怖すぎるにもほどがあるッ!!
2000年、クレアンティ・ピーターズはテーマパークのユニバーサル・スタジオを訴え、15000ドルの賠償金を求めました。
その理由がちょっと可愛いです。
「ハロウィン・ホラー・ナイト」というお化け屋敷が余りにも怖すぎたため、精神的苦痛を感じたということで訴訟を起こしたのです。
4 セキュリティが甘すぎだろッ!!
病院に侵入し、ベッドで寝ている女性患者を暴行したとして懲役10年の刑に服していたエドワード・ブルワーは、2002年にその病院を訴え、200万ドルの賠償金を請求しました。
その驚くべき理由は、病院のセキュリティが甘すぎたから、自分が犯行に及ぶのを阻止できなかったわけで、犯罪が起きた責任の一端は病院側にあるというもの。
これに対し、裁判所は、病院には院内で行われうる犯罪を阻止すべき法的責任までは無いという当たり前すぎる判決を下しました。
5 ジョーダンじゃねえッ!!
2006年、アラン・ヘッカードという男性は、「バスケットボールの神様」とも言われるマイケル・ジョーダンと、ナイキの創設者であるフィル・ナイトを訴え、8億3200万ドルを請求しました。
彼はマイケル・ジョーダンと顔がソックリだったため、どこへ行ってもマイケル・ジョーダンと間違われ、精神的苦痛を負ったとして訴訟を起こしたのです。
しかし、さすがに無茶な訴訟だと悟ったのか、彼はその年に訴えを取り下げました。
6 就職できないんですけど!!
ニューヨーク州ブロンクスにあるモンロー大学を卒業したトリーナ・トンプソン(27)は、自分が就職先を見つけられないでいるのは大学側の責任であるとして、学士号を取得するのに要した費用7万ドルについて返還訴訟をおこしました。
彼女はまた、不毛に終わった3ヶ月の就職活動がもたらしたストレスの代償として2000ドルも合わせて要求しました。
これを受けて大学側は、
「このご時世で、就職を完全に保障してくれる大学などありはしない」
と、これまた当たり前すぎるコメントを発表したのでした……。
番外編 トンデモ訴訟といえばこの人…
日本でも多くのメディアで取り上げられた有名な裁判なのでご存知の方も多いでしょうが、トンデモ訴訟で忘れてはならないのが、ステラ・リーベックさん。
当時79歳だった彼女は、マクドナルドで買ったホットコーヒーを車の助手席でうっかり自分のヒザにこぼしてしまい、大やけどを負ったのです。
その後、2年に及ぶ治療費として2万ドル(約240万円)をマクドナルドに請求したのですが、それに対しマクドナルドが提供したのがたったの800ドル。
それで、裁判で決着を付けようということになったのです。
その結果、陪審員たちによって法外な額の賠償金が認定されたのですが、結局、マクドナルド側とリーベックさん側とで和解が成立し、実際に支払われたのは60万ドルに満たない額だったようです。
この騒動はアメリカ国内でもセンセーショナルに取り上げられ、毎年、最もおバカな訴訟には「ステラ・アウォード」なる賞まで送られることになったほど。
リーベックさん自身は、治療費さえもらえればよいと考えて訴訟を起こしただけなのですが、この裁判がメディアで伝えられてからは様々な中傷に遭い、辛い思いをしたそうです。
彼女は2004年に91歳でこの世を去りました。
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