誰もが死んだと思っていた人が実は生きていた…。
そう聞くと、ゾンビか何かを連想するかもしれませんが、ゾンビの話ではありません。
もっと、リアリティのある話です。
生きている人間が死んだと思われること自体、普通ではあまり考えにくいのですが、実際にあった事例を調べてみると、その背景には様々なドラマが隠れています。
今回は、そういった事例をご紹介しましょう。
〈originally posted on October 14,2015〉
1 二人のビル・ヘンリー
は、1952年から1962年までメジャーリーグの計6つの球団でリリーフ投手として活躍していました。
80歳の誕生日を目前に控えた2007年9月某日、彼の奥さんに球界の関係者から1本の電話が。
それは、ビル・ヘンリーが亡くなったことへの弔意を伝える電話だったのです。
すぐ側で、平然と座っている夫が死んだことになっている、という事実に奥さんは愕然としました。
この奇妙な出来事の真相は、以下のとおり。
この少し前に、フロリダ州のレイクランドで「ビル・ヘンリー」という同姓同名の人が心臓発作で亡くなったのですが、彼は自分の顔が野球選手だったビル・ヘンリーに似ていることから、何十年もの間、周りの人に、自分は元メジャーリーガーのビル・ヘンリーだと言い続けていたのです。
ビル・ヘンリー(野球選手)の親族はほとんどが他界していたこともあって、そのビル・ヘンリー(一般人)が偽物であると証明できる人もいませんでした。
よって、周りの人は皆、彼のことを元メジャーリーガーだと信じきっていて、さらには彼の奥さんまでもがそれを疑わずにいました。
その結果、元メジャーリーガーのビル・ヘンリーは、会ったこともない人物が亡くなったことで、自分が死んだことにされてしまったのです。
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2 大きな勘違いをしていた男
1989年、フロリダ州に住むベニー・ウィントという男性が、フィアンセとの結婚式前日に、海へサーフィンに行くと言って家を出たまま行方が知れなくなりました。
そのフィアンセは、半狂乱になって彼を探していたそうですが、ライフガードやボート、ヘリコプターまで導入した捜索も虚しく、彼は遂に発見出来ませんでした。
その後、ベニーは溺死したものと思われ、その生存は絶望視されていたのです。
ところが…。
それから約20年も経ってから、彼は意外な形で発見されました。
彼が消えた海岸から400kmほど離れたアラバマ州の街で、一台の車がナンバープレートのライトを点灯させていなかったため、警察官に止められた時のこと。
その車のドライバーこそがベニーだったのですが、彼は警察官に偽名を伝えてしまったことから素性を追及され、それをきっかけに全てを白状することに。
実はこのベニー・ウィントという男、ドラッグの取引をしていたため、自分が警察から指名手配されていると勘違いし、サーフィンに行くと言って出かけた日に、そのままアラバマ州へと逃亡していたのです。
彼は名前を「ウィリアム・スウィート」に変え、そこで結婚して子供と一緒に生活していました。
結局、この男は逮捕を免れたい一心で、自分の死亡を偽装しようとしたのです。
3 人骨と化した妻
今から100年以上も前の1908年に起きた事件。
米国テネシー州のブラウント郡で農業を営んでいたビル・ウィルソンは、ある日奥さんから離婚話を切り出されます。
それから程なくして、彼女と1歳7ヶ月の娘が突然姿を消して行方不明に。
その4年後、ビルの父親が住んでいる家の近くで、人骨が発見されます。
やがて、この人骨はビルの奥さんと娘のもので、彼が二人を殺したのではないかというウワサが広まり、ビルは裁判にかけられることに。
その結果、彼は第1級殺人で有罪となり、終身刑が言い渡されました。
しかし、彼が服役してから2年が過ぎたとき、人骨と化したはずの奥さんと娘が、インディアナ州のビンセンズという街で暮らしていることが発覚。
しかも、彼女はそこで再婚し、新たな人生を送っていました。
その後、彼女がブラウント郡に戻って、自分が生きていることを証明したことで、ビルはようやく釈放されたのです。
4 半世紀の間消えていた妻
カナダのブリティッシュコロンビア州にあるサレーという街で、夫のマーヴィンと2人の子どもと暮らしていたルーシー・ジョンソン(26歳)は、1961年に突如姿を消してしまいます。
そして奇妙なことに、夫のマーヴィンは妻の蒸発について、4年間も警察には黙っていたのです。
それが原因で、彼は警察からルーシーの殺害を疑われ、尋問を受けた上に、自宅の庭を掘り起こされました。
しかし、結局、殺害を伺わせるような証拠は全く何も無し。
その後、1990年にマーヴィンは亡くなり、この「ルーシー失踪事件」は未解決事件となることに。
ルーシーは既に死んでいる可能性が高いと思われていましたが、地元の警察が2013年の7月、再びこの事件に光を当てようと、一般市民に情報提供を呼びかけました。
すると、カナダのユーコン準州に住む女性から情報が寄せられたのですが、驚くことに彼女はルーシー本人の娘だったのです。
彼女の話では、母親のルーシーは健在で、新たな家庭を築いて生活しているとのこと。
およそ50年もの間行方が知れなかったルーシー自身の話によると、実は、彼女は自らの意思で家を出たのではなく、暴力的な夫のマーヴィンによって追い出されていたのでした。
つまり、ルーシーが50年間も姿を消していた原因を作ったのは、彼女の夫だったというわけなのです。
5 アーカンソーの亡霊
最後にご紹介するのは、アメリカの犯罪史上でもかなり奇怪な事件で、「アーカンソーの亡霊」とも呼ばれている有名なものです。
1929年3月、米国アーカンソー州のセント・ジェームズという小さな町にいた、コニー・フランクリンという男性が突然姿を消してしまいます。
恋人だったティラ・ルミナーが警察に語った話によれば、彼女はコニーと一緒にいる所を5人組の暴漢に襲われ、コニーは惨殺された上で燃やされて、彼女自身も性的暴行を受けたとのこと。
事件現場には、コニーの所持品と思われる血の付いた帽子と、骨の断片が落ちていました。
その後、事件に関与した疑いのある5人が逮捕され、裁判にかけられることに。
しかし、その裁判の直前になって、近くの農場で「コニー・フランクリン」と名乗る男性が働いていることが判明。
その男性の説明によると、彼は恋人のティラに結婚を申し込んだものの断られ、その直後に町を去ったとのこと。
警察が捜査を進めると、コニー・フランクリンと名乗るその男性の本名は「マリオン・フランクリン・ロジャース」だと分かり、彼には既に妻子もいました。
さらに、彼は入院していた精神病院を抜け出し、その後ティラと出会っていたということも明らかに。
後に行われた裁判は、殺人事件の被害者本人が、自分が殺された事件の証人として出廷するという実に奇妙なものとなりました。
さらにこの裁判をややこしくさせたのが、ティラ。
彼女は、出廷しているその男性は、自分の知っているコニーではないと主張したのです。
果たして、この事件で殺害されたのは一体何者なのか。
そもそも誰も殺されてはいないのか。
結局、逮捕された5人が誰かを殺害したという決定的証拠が無いことから彼らは釈放され、一応この事件は解決ということになりました。
しかしながら、この奇妙な事件に関わった者の中に、確実に「ウソ」を言っている人物がいるわけですが、それについては今も謎に包まれたままです……。
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