ブログは、誰でも気軽に情報・意見を発信できる媒体です。
「はてなブログ」などの無料ブログサービスを利用すれば、特別な費用はかかりません。
スマホさえあれば十分でしょう。
ただし、簡単に記事を投稿できるからこそ、予期せぬ罠に陥る危険性も。
今回は、そういう罠にはまったブロガーの実例を挙げながら、ブログを書く上で、マネしてはいけない人々をご紹介します。
〈originally posted on November 4,2020〉
1 批判的なレビューを書いたために刑務所行きになったブロガー
ブロガーが自ら色々な飲食店を回って、食レポを書いているブログは、年齢や性別を問わず強い人気があります。
そういった記事の多くは、それぞれのメニューについて、具体的に何がどう美味しかったのかを伝える、肯定的な内容です。
もちろん、場合によっては、味に期待しながら食べたものの、余り好きになれなかった、ということもあるでしょう。
しかし、お店の名前を記事に含めるなら、露骨な批判は避けるべきです。
2008年7月、台湾中部の台中市で、主婦ブロガーとして活動していたリューさんは、ある飲食店を訪れたところ、出された料理のあまりの塩辛さに憤慨しました。
そこで、早速そのメニューの「辛口」レビューをネットに掲載。
その中で彼女は、料理のありえないほどの塩辛さを批判し、さらに、店内をゴキブリが爆走しており、衛生面でも問題があることを指摘したのです。
これに対して怒りを顕にしたのが、店のオーナーであるヤン氏。
彼は、反撃として、リューさんを名誉毀損で告訴。
裁判の結果、彼女は、禁錮30日と、2年間の保護観察を言い渡されました。
しかも、トドメとして、日本円で約58万円の罰金も。
ヤン氏の話によると、彼女のレビューが公開されてから、店の売上が目に見えて落ちたそうなので、彼女は、食レポのブロガーとしてかなりの影響力を持っていたのでしょう。
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2 オープン前の店をレビューしてしまったブロガー
食レポを書く上で、絶対に守らねばならないこと。
それは、実際に自分が食べたものだけをレビューすること。
当然と言えば当然なのですが、この基本的なルールを忘れてしまうと、ブロガー失格でしょう。
2013年7月、あるフランス人ブロガーが、「ロワゾー・デ・デュック」というレストランについて、次のような内容のレビューを投稿しました。
この店は、かなり過大評価されている。
皿の上の料理はどれも、見せかけだけで中身に乏しい。
唯一、「中身」がちゃんとしていたのは、請求書が乗っかったプレートだけだ。
何という辛辣さ。
そして、嫌らしい皮肉。
このブロガー、そのレストランに何か恨みがあったのかも知れませんが、いずれにしても、このレビューを投稿したことで、彼のブロガー人生に大きな汚点を残すことになりました。
その理由は、レストラン側の次の反論を見れば明らか。
「まだ存在していない皿の上に、豪華な料理を盛り付けるのは難しい」
実は、彼がレビューを投稿した時、そのレストランは、まだオープンの5日前だったのです。
営業を開始してもいない店のレビューということは、どう考えても、それは虚偽のレビュー。
この2年後、そのブロガーは、レストランに対し、損害賠償として日本円で約100万円を支払う羽目になりました。
3 世界遺産で不謹慎な写真を撮る旅ブロガー
食レポ系のブログと並んで人気なのが、旅ブログです。
人気のあるブロガーの旅ブログは、読んでいるだけで、自分もその場所を訪れたような気分が味わえます。
基本的に、旅ブログは、食レポと違って、何かを批判的に書くという機会は少ないでしょう。
しかし、そこにはやはり、守るべきルールがあります。
2019年11月、あるスペイン人の旅ブロガーが、アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館を訪れたときのこと。
彼は、世界遺産でもある第二強制収容所へと続く鉄道引込線と、いわゆる「死の門」とを撮影した写真を投稿しました。
このとき、彼は、おもちゃのアヒルを写り込ませていたのです。
このブロガーは、もともと、世界各地の観光スポットを訪れては、必ずおもちゃのアヒルを含めて写真を撮っていました。
言わば、アヒルが彼のトレードマーク。
普通の観光地であれば、特に問題は無いでしょう。
しかし、この博物館の歴史的意義を考えれば、不謹慎にも程があります。
案の定、多くの人から批判的な意見が寄せられ、同博物館の公式ツイッター・アカウントも、彼の行為に疑問を投げかけました。
ちなみに、ホロコーストの象徴とも言えるこの引込線では、線路の上で、平均台のようにバランスを取る、といった不適切な行為をする観光客も時々見られるとか。
そういった観光客について、同博物館は、
「この地が、100万人以上の人々が殺された場所であることを思い出して、彼らに敬意を表してほしい」
とコメントしています。
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4 殺人者のブログ
最後にご紹介するのは、普通の人にはマネのできないブロガーの話。
2016年7月某日、米国アラバマ州アセンズ在住のステファニー・スミス(当時28歳)は、4歳の娘を失いました。
彼女が警察に語ったところによると、娘のゼイディーは、寝ているときに、ベッドと壁の間に挟まって身動きが取れなくなってしまい、スミスがそれに気づいたときには、もう息をしていなかったとのこと。
ゼイディーはすぐに病院へ運ばれましたが、そこで死亡が確認されました。
検死が行われたものの、具体的な死因については特定されていません。
その後、スミスは、「娘のいない生活:悲しみの旅路」と題したウェブサイトを立ち上げ、亡き娘への想いをブログという形で綴るようになりました。
ある投稿では、娘の墓石の前に立つと、怖くなると同時に、自分の一部が抜け落ちた感覚に襲われる、というような、愛娘を失った心境を述懐。
しかし、2017年4月、それまでとは大きく内容の異なる投稿がありました。
その中でスミスは、彼女自身が娘を殺したのではないか、という世間の声があることに触れ、それに対して強く反論。
ところが、その数日後、彼女は警察署へ自ら出頭し、自分がゼイディーを殺したことを告白したのです。
本人の話によると、精神治療薬の服用を止めたのが原因で、自制心を失い、娘を窒息死させてしまったとのこと。
自分が殺害していながら、あくまで事故死を装って、娘のことを記事にしていた事実は、多くの読者を驚かせたはず。
もちろん、彼女が投稿した記事の内容すべてが嘘であるとは限らず、恐らくは、正直な気持ちも含まれているでしょう。
とは言え、ずっと読者を裏切り続けていたことに違いはありません。
スミスの裁判は、今年の始めに行われる予定でしたが、コロナウイルスの影響のため、延期されました。