誰だって、出来ることなら平穏な生活を送りたいものですが、そうはいかないのが人生。
平穏な生活の妨げになるものとして、すぐに思いつくのは、ストレスです。
学校や職場での人間関係や、次々と課せられるノルマ、予期せぬトラブルなど、ストレスが溜まっていく原因は日常生活にゴロゴロ転がっています。
さらに厄介なことに、そういったストレス以外にも、生きていくのを困難にさせる意外なモノがあるのです。
〈originally posted on July 28,2018〉
1 ありふれたオフィス
日本では、オフィスなどでそれぞれのデスクがパーティションで区切られていることは余りありません。
一方アメリカでは、各人の作業スペースが間仕切りで囲まれた、いわゆるキュービクル方式が伝統的に採用されていました。
ただし近年では、コスト削減のためにそういった間仕切りを使用しない企業も増えています。
お互いの顔が見える職場と、見えない職場。
前者の方が何となく開放感があり、他の人との意思疎通も図りやすいというプラスの面があるかも知れませんが、しかしストレスという観点から見ると、最悪の環境と言えるのです。
オーストラリアにあるクイーンズランド工科大学の研究機関が行ったリサーチによると、隣のデスクとの仕切りが無い場合、仕事の最中に感じるストレスは強くなり、血圧も上がり、さらには離職率も高くなるのだとか。
このような悪影響が出る原因は、自分の周りで仕事をしている人の挙動が、いちいち脳に情報として入ってくるからです。
他の人たちの話し声や、身振り手振りといった「雑音」に気を取られないようにしながら、目の前にある仕事をこなすのは、脳にとってはかなり大きなストレスになります。
さらに、常に誰かに見られているという感覚も、ストレス増加の一因です。
そしてこれらの事実は、周りのことなど気にならないと本人が思っていても同じこと。
毎月の残業時間がヤバイことになっているブラック企業は、せめて職場をキュービクル方式に変える必要がありそうです。
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2 大学生のスポーツ
スポーツで健康的な汗を流せば、心地よい疲れを感じるとともに、嫌なことも(一時的に)忘れてしまう。
スポーツって素晴らしい!
……もちろん、これは間違ってはいません。
ただ、どんな場合でもスポーツが健康に良いとは限らないのです。
アメリカのジョージタウン大学医療センターで、大学生を対象に、現役のアスリートと、既に引退した元アスリートとで、どちらがうつ状態になりやすいのかを調べました。
最初、研究者たちが予想していたのは、引退した元アスリートの方が、自分の好きなスポーツが出来ないことによる喪失感が大きいはず、ということでした。
ところが、調査の結果はその真逆。
現役のアスリートの方が、引退した人たちの2倍もうつ病になりやすい状態であることが分かったのです。
その原因としては、選手たちが感じる過大なプレッシャーが考えられます。
大学生という立場上、学業を疎かには出来ませんし、就職活動もあります。
その一方で、自分のチームを優勝に導くために全力を尽くさねばなりません。
大学生アスリートにはこれらのプレッシャーが重くのしかかり、その結果、強いストレスを感じるようになるわけです。
それを考えると、現役を引退した学生の方が幸せな毎日を送っているとしても何ら不思議ではありません。
3 テレビとゲーム
ストレスを解消するための手段として、お気に入りのテレビ番組を観たり、ゲームで遊んだりといったことをしている人もいるでしょう。
こういったものが何故ストレス解消になるのかというと、映像やゲームは、さほど労力を必要とせずに満足感や達成感を味わえるからだとされています。
ところが、イギリスのオックスフォード大学が発行する学術誌で発表された研究によると、テレビやゲームに接することでかえって状態を悪化させるタイプの人がいることが分かりました。
テレビやゲームが逆効果になってしまう人というのは、一言で言えば、精神的に疲弊しきっている人です。
そういう状態の人がテレビを観ても、ゲームで遊んでも、楽しさを味わうこともなく、ストレス発散にもならず、むしろ罪悪感を抱いてしまいがちなのだとか。
大好きな番組やゲームでストレスを発散しようとして、逆に気分が落ち込むようなら危険信号。
しばらくはそういったものから遠ざかる方が良さそうです。
4 ジャンクフードのドカ食い
仕事やプライベートのことでムシャクシャして、その気分を変えたいがために、カロリーなど気にせず食べたいものを存分に食べたことのある人は多いはず。
そういう時にガツガツ食べるものとしては、普段は健康面を考えて控えているようなジャンクフードがピッタリ。
砂糖が山ほど入った炭酸飲料を片手に、ポテチをわしづかみにして口に放り込むのは、最高のストレス発散。
……ではないのです、残念ながら。
ジャンクフードを食べる前と後とで、人の気分がどのように変化するのかを、アメリカのペンシルベニア州立大学が調べました。
すると、ストレスを抱えてネガティブな気分になっている人がジャンクフードを食べると、その気分がさらに悪化することが分かったのです。
それだけではありません。
ストレスを抱えているとき、人の体は、食べ物を消化吸収する機能が低下するので、その状態で高カロリーのものを食べまくるのは、胃腸にも大きな負担になります。
つまり、イライラしているときにジャンクフードを食べるのは、完全に逆効果。
ちなみに、この傾向は男性よりも女性の方が強く見られるそうです。
5 スマホをいじりがら寝落ち
夜中に眠りにつくとき、部屋の中をほぼ完全に真っ暗な状態にするのはそう簡単ではありません。
街灯の明かりがうっすらと窓から入り、家電製品などの主電源ランプが点灯しつづけ、とにかく、目を開ければどこに何があるのかは分かる程度の明るさの中で寝ている人がほとんどでしょう。
少しくらい明かりのある環境で寝ることなど何の害も無さそうですが、そうとは言い切れない事実をアメリカのオハイオ州立大学が発見しました。
ハムスターを使った実験において、薄明かりの中で寝たグループと、完全に真っ暗な中で寝たグループとでは、前者のハムスターの方が、脳にネガティブな影響のあることが判明したのです。
わずかな明かりであっても、それが原因で、睡眠時に脳内で分泌される「メラトニン」というホルモンの量を減少させ、それにより「海馬」に悪影響をもたらします。
これらの事実は、基本的には人間にも当てはまると考えられており、たとえ本人が十分に睡眠を取ったと感じていても、明かるい場所で寝るのを繰り返していると、免疫力の低下や高血圧などを招きかねません。
会社の残業で帰宅が深夜になり、部屋の電気を付けたままテレビやネットを見ながら寝落ちして、起きたら即出勤というような生活だけは避けるべきでしょう。
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6 最悪のタイミングで告白
こうして見てみると、我々の日常生活において、一見何の問題も無さそうなものがストレス要因になっていることが分かります。
もちろん、適度なストレスを感じることは決して悪いことではなく、注意が必要なのはあくまで過度のストレスです。
ただ、ストレスには、健康上の問題以外にも、人生の難易度を上げかねない厄介な面があります。
2012年、イギリスのニューキャッスル大学で、興味深い実験が行われました。
約80人の男性被験者を半分に分け、片方のグループを極度のストレスを感じる状況に追い込み、その直後、両方のグループに様々な体型をした10人の女性の写真を見せ、魅力的だと思う女性を選んでもらったのです。
すると、ストレス地獄を味わったグループは、そうでないグループよりも、体重の重い女性を魅力的だと感じる傾向の強いことが明らかに。
また、別の実験では、強いプレッシャーを与えられた男性は、体格の大きな女性に魅力を感じる傾向が強いという結果が出ました。
これはつまり、男性の場合、感じているストレスの度合いによって自分の好みのタイプが変わってしまう可能性があるということ。
この事実を女性の側から見るとどうなるのか。
例えば、ずっと想いを寄せている人に女性が告白する場合、相手の男性が何か大きなストレスやプレッシャーに悩んでいるのであれば、ぽっちゃり型の女性にとっては有利ですが、痩せ型の女性にとっては最悪のタイミングとなるかも知れません。