「ゴーストハンター」というと、マンガや映画の中だけの存在というイメージがありますが、これをれっきとした職業にしている人もいるのです。
と言っても、プロトンパックを背負い、レーザーを発射して幽霊を捕らえるなどといったことはしません。
そういう意味では少々ロマンに欠けるところはありますが、彼らの活躍のおかげで、心霊現象に悩まされている多くの人が救われているのです。
もちろん、職業として成り立つということは、しっかり稼げるということでもあります。
一体どれくらい稼げるのか。
そのようなお金の話も含め、今回は、誰もが出来るわけではないこの珍しい職業の実態をご紹介します。
〈originally posted on October 28,2018〉
1 ゴーストハンターに「転職」できる時代になった
イングランドのゲーツヘッドで、二人の子供と暮らすスザンヌ・ジル(46)という女性は、子供のころから霊感や第六感が強いという自覚がありました。
大学卒業後は大手銀行に就職し、書類に目を通す日々を過ごしていたのですが、その一方で、アルバイトとして時々ゴーストハンターの仕事をこなしていたのです。
今から15年前、一人のネイティブ・アメリカンの霊から受けたアドバイスをきっかけに、彼女の生活は大きく変わります。
その霊はレッド・クラウドという名で、彼女の人生をずっと見守っており、彼女が難しい決断を迫られたときにはいつでも助けてくれたとか。
クラウドの助言に従ってジル氏は銀行を辞め、ゴーストハンターとしてフルタイムで働くことに。
しかし、こんな仕事を始めたところで、果たして依頼人を継続的に獲得できるのか。
誰もがそう思いたくなりますが、この転職に関しても、クラウドのアドバイスは適切でした。
ゴーストハンターの仕事を始めたその日に、15件もの問い合わせの電話があったのです。
彼女の仕事内容は、映画の『ゴースト・バスターズ』そのもの。
家に幽霊が現れて困っているという家族からの依頼を受け、原因となっている幽霊を見つけ出し、それらを追い払うのです。
また彼女は、自身の霊感の強さを利用して、依頼人にとっての大切な人の霊を呼び、対話を実現するというサービスも行っています。
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2 成功すればそれなりに儲かる
ジル氏がゴーストハンターとしての使命に目覚めた理由の一つは、彼女自身が霊に襲われた経験を持っているから。
その時は、霊によって首を締められ、床の上を引きずり回されたそうです。
この体験がきっかけとなり、彼女は長期間の試行錯誤の末、取り憑かれた家から邪悪な霊を排除する術を会得。
その技術を使って、月に平均7軒の家で幽霊退治を行っています。
料金は良心的な価格におさえており、また、経済的な事情で支払うことが出来ない依頼人に対しては、無料にすることもあるのだとか。
ゴーストハンターとしての彼女の年収は、4万ポンド(約570万円)。
ところで、毎日幽霊を相手に仕事をしている彼女にとって、霊はどのような姿で見えるのか。
この点について、ジル氏本人の話によると、それらの霊は完全な人間の形をしていて、人間との唯一の違いは、体の周りがうっすらと光っていることだそうです。
3 何故か幽霊の出現を望む人もいる
通常、ゴーストハンターに仕事を依頼をするのは、自宅に出没する幽霊をどうにかしてほしい人たちです。
こういう人たちは、幽霊がいなくなれば、それで目的は達成できます。
しかし時には、幽霊がいるという「お墨付き」が欲しいだけという変わった依頼人もいるのです。
それは、例えばホテルのオーナーなど。
経営が傾きかけている場合、そのホテルに幽霊がいるなどという噂が広まれば、怖い体験をしたい客にとっては絶好の観光スポットになるのです。
また、個人でも、自分の家に幽霊がいるという証拠が欲しいと望む人もいます。
そういう人は、幽霊の存在を証明してくれるゴーストハンターが現れるまで、繰り返し調査を依頼することもあるのだとか。
4 ゴーストハンターには二つのタイプがある
ゴーストハンターとして活動している人たちは、その全てが先ほどのジル氏のように霊能力や第六感を持っているわけではありません。
科学的に心霊現象を調査し、その原因究明に努めた上で、依頼人に対して解決策を提示する人たちもいるのです。
彼らにとって、ゴーストハンティングは、現場で収録した映像や音声をじっくり確認するといった地味な作業の繰り返し。
派手なパフォーマンスをしがちな霊能力タイプとはかなり違います。
さらに、両者の間で大きく異なるもう一つの点は、料金。
科学タイプの人たちは、無償でゴーストハンティングを引き受けてくれることが多いのです。
ということは、幽霊退治では食べていけません。
そこで、ゴーストハンターとしての活動を知ってもらうための講演をして回ったり、大学で講義をしたり、本を出版したりして稼ぐのです。
そういう科学タイプのゴーストハンターにとって、霊能力タイプのゴーストハンターは、どちらかと言えば敬遠したい存在。
にも関わらず、両者が同じ現場で仕事をすることもあります。
それは、依頼人が一度に複数のゴーストハンターを呼ぶことがあるからなのです。
5 偽ゴーストハンターが多い
科学タイプ、霊能力タイプともに、偽のゴーストハンターが数多く存在します。
そういう輩は、奇怪な現象が頻発して困っているという家族のもとを訪ね、家に入るなり、
「邪悪な霊体が数体さまよっています」
「早めに霊を追い払わないと取り返しのつかない事態になります」
などと言ってその家族を怖がらせ、あとは適当に幽霊退治っぽい儀式をやって仕事完了。
どう考えても詐欺ですが、厄介なことに、幽霊という目に見えないものが絡んだ仕事なので、ゴーストハンターが偽物なのか本物なのかを判別するのは困難です。
6 優秀なゴーストハンターほど心霊現象に懐疑的
ゴーストハンターのチームから成る組織「A.G.H.O.S.T.」を2000年に立ち上げたロス・アリスン氏は、ゴーストを求めてフランスやスペイン、ルーマニア、メキシコなどを回り、日本にも来たことがあります。
そんなアリスン氏によると、優秀なゴーストハンターほど、心霊現象には懐疑的な態度を取るそうです。
例えば、心霊現象に関する相談の電話が、週に8本あったとして、アリスン氏が実際に本格的な調査をするのは、そのうちの2件くらいなのだとか。
依頼人に対して簡単なアンケートなどを実施することで、本当に幽霊が絡んだ案件なのかが分かるのです。
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7 ゴーストハンターでも恐れをなす場所とは
これまでにアリスン氏は、世界的に有名な「呪われた建物」をいくつも訪れています。
しかし、そういった場所で調査をしてみると、実際は霊的存在を全く感知できないケースも多いとか。
そんな彼が、ゴーストハンターとしての長い経験の中で、最も恐怖感を覚えた場所があります。
それは、アルカトラズ刑務所。
アリスン氏がこの刑務所に来たとき、死体安置所の写真を撮ろうとした瞬間、両肩を強い力で押さえつけられたのです。
彼は、てっきり他のメンバーの仕業だと思ったのですが、振り返ると、そこには誰もいませんでした。