どうしても復讐してやりたい相手がいる場合、選択肢は二つ。
復讐を果たすか、我慢するか。
普通は我慢するわけです。
復讐してしまった時点で、警察に捕まりますから。
しかし、ムショ入り覚悟で復讐してやりたいという人もいることでしょう。
その場合、どうせなら、最高に狂ったリベンジを実行するべきです。
今回の記事が、そんな人たちのお役に立てれば幸いです。
〈originally posted on March 4, 2023〉
1 家族を殺した男と同じ部隊に入隊
現在のモルドバ共和国の首都キシナウで生まれたエリアフ・イツコヴィッツほど過酷な子供時代を過ごした人はそういません。
第二次世界大戦中、エリアフの家族は、まだ子供だった彼の目の前で、一人の男により全員命を奪われました。
幼いエリアフに絶望を与えた者の名は、「スタネスク」。
当時、強制収容所の看守をしていた男です。
そしてこの名前こそが、エリアフが復讐を果たすために有していた唯一の情報。
その後、辛うじて戦火を逃れたエリアフは、早速スタネスクという男を探し始めました。
しかし、たったこれだけの情報で、すぐに見つかるはずもありません。
有力な手がかりがつかめないまま10数年が過ぎたとき、遂に彼は、スタネスクがフランス外国人部隊にいることを突き止めます。
エリアフは、復讐すべき相手に近づくため、その部隊に入隊。
それからの彼は、スタネスクの信頼を勝ち取るべく、目覚ましい活躍を見せました。
その結果、彼はスタネスク直属の部隊に配属され、最も有能な兵士の一人になったのです。
ここまで来れば、エリアフの計画は達成目前。
あるとき、ベトナムのバクニン市付近をスタネスクが巡回している最中に、エリアフはスタネスクを射殺。
宿願だった復讐を果たしたのです。
エリアフは2015年に亡くなっていますが、その直前、自分の伝記を出版してほしいと親しい人に頼んだとされています。
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2 ムカツク隣人の家をブルドーザーで破壊
隣人とのトラブルは、誰もが一度は経験しているのではないでしょうか。
厄介な隣人がいると、その対処はかなり困難です。
対処法を間違ってしまうと、悪質な嫌がらせを受ける可能性もあります。
米国フロリダ州セントジョンズ郡在住のアナ・マリア・モレタ・フォルシュという女性は、その嫌がらせを異次元レベルにした人物。
2014年、彼女は、トレーラーハウスに住む隣人が、自分の車の中を荒らしたのではないかと疑うようになりました(おそらく被害妄想)。
仮にそれが真実だとすれば、何とかせねばならない。
普通の人なら、隣人に文句を言いに行くくらいで済ませるでしょう。
しかし彼女は違います。
隣人の家を破壊するしかないと考えたのです。
フォルシュは、隣人が出かけているすきに、その隣人になりすまして業者に電話。
トレーラーハウスと汚水処理タンクを解体してほしいと伝えました。
その後、到着した業者に対し、家には今誰もいないから、さっさとやっちゃって、と一言。
このとき、何故か彼女は隣人の家の鍵を持っていたとか。
業者は、何の疑念も抱くこと無く、ブルドーザーでトレーラーハウスを破壊し始めました。
自宅がバリバリと壊されている真っ最中に、隣人が帰宅。
家に帰ってきたら、目の前でその家が破壊されているのですから、隣人は驚いたことでしょう。
フォルシュは警察に逮捕されましたが、こんな女性に恨まれたら人生終わりです。
3 加害者のドライバーを小説に登場させる
復讐というのは、憎い相手に痛烈な一撃を食らわせる、という意味では一過性の現象です。
しかし、未来永劫、ずっと続いていく復讐もあるのです。
世界的に有名な作家スティーブン・キング氏は、1999年、青いミニバンにはねられました。
腰や脚の骨に重度のダメージを受け、肋骨なども骨折。
この事故は、運転手であるブライアン・スミスという男に非があるのですが、彼に対するキング氏の復讐はかなり独創的です。
『ダーク・タワー』という人気シリーズの小説に、ブライアン・スミスという同姓同名のキャラクターを登場させたのです。
ちなみにそのキャラは、「何に対しても無責任で、薬物中毒を抱えている」という設定。
しかも、本物のスミスと同様に、ロットワイラー犬を飼っており、青いミニバンを運転します。
キング氏を病院送りにしたスミス本人をモデルにしたのは明らかでしょう。
トドメとして、小説の中のスミスは、キング氏自身になぞらえたキャラクターを、ミニバンで轢き殺しそうになります。
キング氏の小説は、これから先もずっと、世界中で読まれ続けるのは間違いありません。
そう考えると、「ブライアン・スミスという男が人身事故を起こしそうになる」というエピソードもまた、多くの人の記憶に刻まれることになるのです。
偉大な小説家による復讐としては、実に粋なやり方かもしれません。
4 同じ墓地で眠らせないために全ての墓地を買い取る
米国アーカンソー州ホットスプリングス在住のルース・コーカー・バークスという女性は、1980年代後半、大勢のエイズ患者に対して献身的なケアをしたことで知られています。
当時はエイズ患者に対する誤解や偏見が強く、住居を移転せざるを得なくなる人も大勢いました。
そういった人たちの住む場所を探すなどして、彼女は患者たちにとって心の拠り所となっていたのです。
そんな良い人が、誰かに復讐などするのかと思いたくなりますが、復讐の鬼と化したのは彼女ではありません。
彼女の母、アリーンです。
アリーンは、兄と険悪な仲になったとき、普通では考えられない復習法を思いつきました。
彼女は、地元の墓地に残っていた262人分の墓石の区画を全て買い取ったのです。
こうすれば、アリーンの家族の墓地に、兄の墓石が作られることはありません。
憎い相手と同じ墓地で永眠するのは耐え難い。
そんな思いがアリーンの中にあったのでしょう。
しかし、そのためだけに、262人分の区画を買い占めるというのは、ちょっと常軌を逸しています。
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5 恐怖の戦車女子
鬼のような復讐を語る上で、絶対に避けて通れない人がいます。
旧ソ連に在住していたマリヤ・オクタブルスカヤという女性です。
第二次世界大戦が始まった直後、彼女の夫は戦地へ赴き、彼女自身はシベリアへと避難しました。
その2年後、マリヤは夫がナチス・ドイツによって殺された事実を知らされます。
このとき、彼女の中に生まれたのは、ナチスに対する怒涛の復讐心。
これは決して大げさな表現ではありません。
己の復讐を果たすために、自宅を含め、ありとあらゆる私財を全て売り払い、彼女は「T-34型戦車」を購入したのです。
彼女はそれを軍に寄付したのですが、その際、条件を一つ出しました。
マリヤ自身がその戦車に乗って戦場で戦うというのが条件です。
その後、数ヶ月の訓練を経て、彼女は本当にT-34で出撃しました。
周りの兵士たちは、彼女の戦闘能力にやや懐疑的だったそうなのですが、すぐに彼らはその考えを改めることとなります。
マリヤの搭乗する戦車は、ナチス・ドイツの機関銃や大砲などを次々と破壊しながら進撃。
自分の戦車が敵の砲撃を食らったら、すぐさま飛び降りて破損箇所を修理。
戦場での鬼神のごとき功績が認められ、マリヤは軍曹にまで昇格しました。
しかし、1944年1月、向かうところ敵なしだったマリヤが、遂にドイツ軍の攻撃に屈するときが来ます。
戦車を修理しているところを敵に狙われてしまったのです。
驚くべきは、彼女の最期。
自分の命が尽きるその瞬間まで、マリヤはT-34で敵に砲撃を浴びせ続けたとされています。