日本人の平均寿命の長さを考えると、我々のほとんどは、自分の認知症のリスクを真剣に考えねばならない日が必ずやって来ます。
若い世代にとっては、認知症なんてまだまだ先の話、と思ってしまいがちですが、若い頃からの習慣が、じわりじわりと認知症のリスクを高めている可能性もあります。
そこで今回は、そんなリスクを高めるコトの中から、ちょっと意外なものをご紹介します。
なお、以下の記事は、全て過去5年以内に発表された研究等の内容に基づいています。
(アイキャッチ画像:geralt/Pixabay)
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1 辛い料理を毎日食べる
Alexas_Fotos/Pixabay
今のような寒い時期は特に、スパイシーな食べ物で体を温めたいという人が多いのではないでしょうか。
しかし、毎日にように辛いものを食べるのは少し危険かも知れません。
南オーストラリア大学とカタール大学が、55歳以上の男女4582人を対象にした、15年以上におよぶデータを基に研究したところ、スパイシーな食べ物を毎日摂ることは、認知症のリスクを高めることが分かりました。
特に、高齢者でチリソースや唐辛子を普段から多く摂取する人は、記憶力や認識能力の低下するリスクがさらに高くなります。
これらの能力低下は、痩せ型の人について特に当てはまるのだとか。
唐辛子は、体重を減らしたり、血圧を抑えたりするのに効果的であるとされていますが、意外な落とし穴があったということになります。
ただし、スパイシーな食べ物が認知症のリスクを高めるメカニズムについてはまだ詳しく分かっていないそうです。
2 うたた寝が多い
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ワシントン大学のブレンダン・ルーシー教授の研究によると、昼間にうたた寝をする回数が多い人は、将来的に認知症を発症する確率が高いそうです。
うたた寝をよくする人は、一言で言えば夜の眠りの質が悪いのです。
そのため、脳内で記憶が形成されるノンレム睡眠(徐波睡眠)の時間が短くなります。
ノンレム睡眠という深い眠りが十分に得られていない人は、認知症の一因とされる「タウタンパク質」が脳内で増加し、さらに、「変異タンパク質」が神経細胞を破壊しやすくなるのです。
ルーシー教授によると、睡眠の質と認知症の関係を利用すれば、うたた寝の時間・回数を高齢者に聞くことで、その人の認知症リスクがある程度予測できる可能性があるのだとか。
また、認知症リスクにとって重要なのは、あくまで睡眠の質であって時間ではありません。
例えば、夜の睡眠とうたた寝とを合計して8時間以上寝ている人よりも、夜の6時間の睡眠だけでしっかり深い眠りが得られている人の方が、認知症リスクは低いのです。
3 交通量の多い道路の近くに住んでいる
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600万人以上のカナダ人を対象にした、11年にわたるデータによって行われた研究によれば、交通量の多い道路のそば(道路から50m以内)に住んでいる人は、そうでない人(道路から300m以上離れている)に比べ、認知症のリスクが7%高いそうです。
さらに、ずっと都会暮らしをしている人で、なおかつ車の多い道路に自宅が近い場合は、上記の数値は12%になります。
この原因の一つとして考えられているのは、大気汚染。
イギリスのキングス・カレッジ・ロンドンの研究チームによれば、二酸化窒素やオゾン、PM2.5などに日常的に接する生活をしていると、脳の認識能力などに悪影響を与えるのです。
汚れた空気が体に悪いのは常識ですが、認知症とも関連性があるということになります。
そして、自動車以外で空気を汚すものといえば……。
4 タバコを吸う
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年齢を重ねるにつれて、人間の大脳皮質は薄くなっていきます。
大脳皮質は、物事の計画や決定、問題解決などの高度な機能を司る部位ですから、老いによってその体積が減るのとともに、様々な能力が低下するのは避けられません。
特に喫煙者は、非喫煙者よりその低下の度合いが激しい可能性があります。
タバコを吸うことは、大脳皮質が薄くなるのを早めることが、イギリスのジェイムズ・グッドウィン教授らの研究で明らかになっています。
ということは、先述の「高度な機能」が衰えるのも早いということ。
このことは、認知症のリスクを高めることにもつながります。
つまりタバコは、肺ガンの原因となるだけではないのです。
ただし、喫煙者であっても、タバコを止めることで認知症のリスクを低減させることは可能だとされています。
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