ある調査によると、現在、日本国民の約7割が、「選択的夫婦別姓」に賛成なのだとか。
また、別姓にできないことが原因で結婚を諦めた人も、わずかながらいるそうです。
海外からは「時代遅れも甚だしい」と揶揄され、世界的にも極めて珍しいこの古臭い制度を、政府が頑なに死守する理由が、筆者にはよく分かりません。
日本で選択的夫婦別姓が実現する頃には、人類の一部が火星に移住しているかも知れないなどと考えるのは、さすがに大袈裟でしょうか。
海外の結婚ではこういった問題が無いわけですが、しかし、海外にも、結婚にまつわる問題はあります。
その一つは、強制結婚。
多くの場合、まだ10代前半の女性が、親の意向に従って、好きでもない相手と結婚せざるを得ない状況に追い込まれます。
こういったことが行われる国や地域は、国民の経済力や、宗教的な要素、教育制度などに問題を抱えていることが多いのですが、意外なことに、アメリカも、強制結婚と無縁ではありません。
アメリカでは、一部の州においては、一定の条件さえ満たせば、年齢を問わず婚姻が認められるのです。
例えば、2000年から2010年にかけて、テネシー州では、10歳の女の子による婚姻が3例あります。
また、ある統計によれば、2016年の時点で、フロリダ州では、数日間に1人の割合で、16歳以下の人が自己の意思に反して結婚していたとか。
今回は、強制結婚についての知られざる真実をご紹介します。
〈originally posted on November 26,2020〉
1 強制結婚の成立を、寸前で警察官が阻止
2017年12月19日、パキスタンのシンド州にあるキプロ村で、一組の男女の結婚が成立しようとしていました。
夫は50歳。
そして妻は、なんと10歳です。
もちろん、この結婚に、彼女の意思は反映されていません。
その女の子の家庭は、父親が病気のために極貧生活を送っていたのですが、ある男が、日本円にして約75万円をその家族に援助するのと引き換えに、10歳の娘との婚姻を要求したのです。
常識的に考えれば、そんな要求など、親が即座に突っぱねるところでしょう。
しかし、女の子の母親は、我が家を売却せねばならないほど困窮していたため、娘とその男との結婚を承諾。
そして、12月19日、今まさに、二人の婚姻がなされようとしているとき、タレコミによってこのことを知った警察官がやって来ました。
警察官は、この婚姻に関わった者たちをその場で逮捕しましたが、夫となる予定だった男は逃走。
パキスタンでは、子供を婚姻させようとする行為は違法であり、有罪になれば2年以上3年以下の懲役が待っています。
しかし、ユニセフの推計によると、同国において、15歳未満で結婚している女性は3%、18歳未満だと21%に上ると見られているのです。
2 自分を襲った犯人と結婚させられた女性
女性に対して性的暴行を働いた者は、それ相応の刑事罰を受けて当然ですが、しかし、この常識が通用しなかった国があります。
それは、モロッコ。
2011年、モロッコで、16歳の女性が、街の通りで性的暴行の被害に遭う事件が発生しました。
彼女の家族は、犯人の男に対する厳罰を裁判所に要求。
ところが、裁判官は、その女性と犯人との結婚、という狂った結論を支持したのです。
実は、モロッコには、性的暴行を加えた犯人と、被害者の女性とが結婚すると、その犯人はお咎め無しになる、という法律が存在しました。
このことに加え、同国の一部の地域に残る古い貞操観念が災いし、その女性は、事実上、強制的に犯人と結婚させられる羽目になったのです。
自分を襲った張本人と結婚生活を送らねばならないというのは、悪夢以外のなにものでもないでしょう。
翌年、彼女は、自ら命を絶ってしまいました。
この悲惨な事件に憤慨した市民団体が、抗議デモを起こし、その結果、上記の法律は廃止されています。
3 人生初の結婚相手が野良犬
強制的に結婚させられるのは、女性ばかりではありません。
2016年、インド東部のある村では、7歳の男の子が、自分の家族によって無理矢理結婚させられました。
野良犬と……。
ちなみに、雌犬です。
7歳で強制結婚というのも常軌を逸していますが、よりによって、結婚相手が犬。
一体何故こんなことが起きたのか。
男の子の両親の話によると、きっかけは、占いでした。
占星術で、彼が将来結婚する相手が、早死にするという結果が出たのです。
そこで、とにかく何でもいいから結婚させてしまえ、と考えた両親が、そこら辺を歩いている野良犬を結婚相手にしたというわけ。
これは、決して、単なる悪ふざけではありません。
不幸な運命から男の子を救うために、親戚が一同に会し、盛大な結婚式が行われたのです。
この結婚式には、宗教的な意味合いが強いのですが、それにしても、人生初の結婚相手が野良犬というのは、唐突に花婿にされた男の子にとって、忌まわしい記憶として残らないのでしょうか……。
4 強制結婚から逃れ、夢を実現させた女性
したくもない結婚による夫婦生活は、まさに地獄。
その地獄からの脱出に成功したのが、キャット・ディマーチェリア・デュボワという女性です。
イングランド北部の街、ティーサイドの出身である彼女は、祖母が決めた結婚から逃れるため、家を飛び出した結果、17歳という若さでホームレスに。
ストリートやシェルターなどを転々として、何年もの月日が流れていきました。
女性向けのシェルターで彼女が出会ったのは、DVや強制結婚の被害者ばかり。
そんな生活を続けているうちに、彼女は自殺願望が増大していったとか。
しかし、その一方で、法律家になるという夢を諦めきれなかったキャットは、とある法律事務所の求人広告を見て、ダメもとで応募。
面接当日、彼女は、知人に借りた白のブラウスと、2.5ポンド(約350円)で買ったスカートだけを身に付け、面接会場を訪れました。
当然ですが、彼女以外の応募者は皆、きっちりとした服装。
見た目の印象や経歴などを考えれば、彼女は確実に不利。
ところが、キャットの内面に、何か光るものを感じ取ったその事務所は、彼女を従業員として採用したのです。
このとき25歳だったキャットの運気は、ここから爆上がりしていきます。
あるコンテストに応募したところ、高級アパートの所有権が当選。
これで、寝袋ともおさらばです。
さらに、2017年には運命の男性と出会い、昨年の8月に結婚しました。
現在、キャットは、仕事を続ける傍ら、法律家になるための勉強を続けているそうです。