皆さんは、テレビのCMを見ていて、
「お、この商品いいな。ぜひ買おう」
と思った経験はありますでしょうか。
僕はほとんどありません。
自分が欲しいと思うジャンルの商品は、たいていネットで情報を収集済みなので、テレビCMから新たに得られる情報がほぼ皆無だからです。
しかし逆に、テレビCMを観てしまったがために、その商品・サービスは絶対に購入するまいと決めることはよくあります。
今回は、僕にとって完全に逆効果だったCMをご紹介しましょう。
1 PayPay
PayPayのCMと言えば……。
ペイペイ!ペイペイ!
ペイペイ!ペイペイ!
ペイペイ!ペイペイ!
はいはい、分かったから。
落ち着け、ちょっと落ち着けって。
ペイペイのCMであることはもう理解したから、いったん冷静になろう。
ていうか……。
やかましいわ!!
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
PayPayのCMってなんであんなに「暴力的」なんでしょうか。
視聴者の脳内に無理やり「PayPay」というワードをねじ込まないと気が済まないかのような滑稽なテンション。
販売戦略でも強引な手法が大好きなソフトバンクの特徴がCMにもよく現れているという感じですね。
あのウザすぎるCMを何度も観せられた結果、僕は生涯PayPayだけは利用するまいと心に誓ったのです。
2 ライザップ
もう何の説明の必要も無いでしょう。
ライザップのCMです。
嘔吐しそうなほど気持ちの悪いBGMとともに、体型のビフォーアフターを観せられるという、例のやつです。
テレビを観ていてライザップのCMが始まったら、コンマ7秒くらいでチャンネルを変えます。
地味に反射神経が鍛えられます。
このCMは、映像的にもサウンド的にも不快感がずば抜けているのですが、特に不愉快なのが、演出が極端すぎる点。
ネガティブオーラ全開で瘴気すら漏れ出しているかのようなブヨブヨ体型の「ビフォー」と、人生の成功者オーラをまとった輝かしい「アフター」とのギャップが尋常ではありません。
あまりにも作為的すぎて、「あ~、はいはい、痩せた痩せた。痩せたね~」と呆れてしまうほど。
どれだけ肥満に悩んでいたとしても、ライザップにだけは永久に行きません。
3 ファブリーズ
かなり昔の話ですが、僕はファブリーズを日常的に購入していました。
シュッと一吹きするだけで衣類の除菌・消臭ができるのは本当に便利で、もはや必需品でした。
しかし、ファブリーズのテレビCMを観る機会が増えるに連れ、「もうこの商品は二度と買うまい」と決めたのです。
ファブリーズのCM(の一部)は、男性蔑視的な要素が強いことで有名です。
仕事から帰った夫をまるでゴキブリのように扱ってファブリーズの必要性を強調する妻。
エレベーター内で若い男性社員をまるで汚物のように扱う女性社員たち。
男という生き物がいかに臭くて汚くてバイキン塗れかということを世に印象付けるためにCMプランナーがその才能すべてを注ぎ込んでいるかのようなCMの数々です。
仮に、男性と女性の立場が逆転したCM内容だったとしたら、それこそメーカーに苦情が殺到して炎上どころの騒ぎではなかったでしょう。
この国には「男性蔑視」という概念が存在しないと思えるほどに世間は男性差別に無頓着なので、上記のCMも、せいぜいネット上でごくごく一部の人たちが批判するだけにとどまっています。
こういった経緯から、僕はファブリーズを買うのを止め、代わりに「リセッシュ」信者となったのです。
〈性差別要素ゼロのCM〉
余談ですが、「男性は臭くて汚い生き物」というメッセージを強調しすぎることは、男性蔑視であると同時に、女性差別にもなりうるような気がします。
「男性は臭くて汚い」という印象を増強させるほど、相対的に「女性は良い匂いがしてキレイな存在」というイメージを強めることになりかねません。
そしてそのことが、女性に対する社会的プレッシャーになるわけです。
女性が汗臭いなんてありえない。
女性の体はどこもかしこも無菌。
この世で臭いのは男だけであり、加齢臭なんて女性には無縁。
まあ、ちょっと極端ですけれど、しかし暗にこのような認識を社会に刷り込むことで、
「男性=不潔 女性=清潔」
というガチガチに凝り固まった役割分担が出来上がります。
ファブリーズのメインターゲットは女性ですから、女性に媚び媚びのCMを作るのは理解できるのですが、だからといって男性をゴミクズ同然に扱う必要はないでしょう。
ちなみに、ファブリーズのメーカーであるP&Gといえば、ファブリーズ防カビ剤「お風呂に置くだけで黒カビを防ぐ」という商品(既に販売終了)に合理的根拠が無いとして、つい先日、消費者庁から再発防止の措置命令が出されたばかり。
ファブリーズのみならず、P&G製品全般に嫌気が差しました。