テレビCMでもおなじみの「Amazon Echo」。
アレクサという非常に賢いソフトウェアが搭載されており、「アレクサ」と呼びかけてから指示を出すことで、様々なことをさせられます。
「アレクサ、電気点けて……と思ったけど、自分で点けた方が早いな」
「アレクサ、牛乳を注文しといて……と思ったけど、帰りにコンビニで買ってくるわ」
「アレクサ、明日の天気は……雨だってテレビで言ってたな」
このように、アレクサのおかげで我々の生活は快適なものに生まれ変わります。
アレクサの便利さに慣れてしまうと、もうこのスマートデバイス無しには生きていけません。
それくらい凄いのです。
あまりにも凄いので、時には信じがたい事件を起こすこともあります。
〈originally posted on August 30,2019〉
1 ユーザーを「マヌケ」呼ばわりするお茶目なアレクサ
サウスウェールズ在住のマイケル・スレイド(29)という男性は、あるとき、Echo Dotに話しかけ、アマゾンプライムを解約したいと伝えました。
その後、カスタマーサービスのスタッフとのやり取りがあり、プライム会員を解約。
ここまでは何の問題も無かったのですが、その翌日から、Echo Dotに奇妙な現象が発生しました。
彼が「アレクサ、何か音楽をかけて」などと言うと、
「これがあなたのプレイリストです。マヌケ」
という返事。
これを聞いた瞬間、彼は自分の耳を疑いました。
アレクサにバカ扱いされたスレイドがアマゾンに苦情を言ったところ、アマゾン側もこのような現象は聞いたことが無いとのこと。
アマゾンの説明によれば、ソフトウェア的に考えて、アレクサが利用者を罵ること自体は可能なのだそうです。
ただし、ユーザー側でEcho Dotに何らかのカスタマイズをしないとこういうことは起こり得ないのだとか。
しかし、スレイド自身はそんなカスタマイズをした覚えはなく、彼の家族も含めてその方法すら知りません。
となると、アレクサが「マヌケ」と言い始めた原因は一体何なのか。
プライム会員を解約したことで、アレクサが機嫌を損ねたのか。
それは定かではないですが、アマゾンはお詫びとして、255ポンド(約33000円)分のギフトカードと、1年間のプライム会員特典をスレイドに提供しました。
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2 婦女暴行の瞬間を録音していたアレクサ
アレクサをフル活用している人は、必然的にこのデバイスにしょっちゅう話しかけることになります。
これに関して少し気になる点が一つ。
デフォルト設定では、本体に録音された発話内容はネット経由でアマゾンに送信され、人間のスタッフが確認し、アレクサの機能向上のために利用されるのです。
アマゾンによる「盗み聞き」とも受け取れるこの事実は、今年の4月にブルームバーグが明らかにしました。
アマゾン側の主張によると、スタッフが確認するのはあくまでアレクサへの「命令」だけで、それ以外の日常会話などは含まれません。
また、ユーザー個人の特定につながる情報が共有されることもないので、プライバシー上の問題は無いとのこと。
ただ、この音声チェック作業をしていた元アマゾンスタッフの話だと、「命令」と「日常会話」とを厳密に区別するのはほとんど不可能らしいのです。
また、スタッフが聞いた音声の中には、シャワー中の鼻歌や、男女の夜のアレ的な音声もあったとか。
さらに驚きなのは、アレクサによって記録された音声をチェックしているとき、女性が男から性的暴行を受けているのを聞いたスタッフがいること。
そのスタッフが、警察に連絡するか否かを上司に相談したところ、それは我々の仕事ではないと言われ、結局、特に何らかの措置を取ることはありませんでした。
アマゾンによると、スタッフは毎日1千件近い録音を聞くそうなので、怖い犯罪を匂わせる音声を聞いてしまい、トラウマになる人もいるのかも知れません。
3 ペットのオウムでも使いこなせるアレクサ
2017年のある日、ロンドン在住のコリアンヌ・プレトリウスという女性は、メールをチェックしていて、「ご注文を承りました」というアマゾンからの通知に気づきました。
それ自体はごく普通のことですが、しかし彼女は何も注文していなかったのです。
夫や子供に聞いても、知らないとの返事。
では一体どこの誰が注文したのか。
あらゆる可能性を考えたすえ、コリアンヌはあることに気づきました。
彼女は「バディ」という名のオウムを飼っているのですが、日曜日に数時間ほど外出した際、帰宅するとバディが彼女の声を真似て「アレクサ!」と言っていたのです。
そのことを思い出した彼女は、アレクサに「最後に注文したのは何?」と問いかけたところ、「ギフト用のボックス」という返答が。
つまり、コリアンヌがいない間に、バディはアレクサを使って自分で注文していたのです。
後日、自宅に配達された10ポンドのギフト・ボックスは、もちろんバディに与えられました。
このように、オウムがアレクサを操作してしまう例は他にもあります。
米国フロリダ州オーランドでは、ペトラという名のオウムが、アレクサを使って部屋の照明を点けたり消したりするのが昨年話題になりました。
飼い主の声を真似るのが上手い優秀なオウムを飼っている人は、妙な物を注文されないように気をつけるべきかも知れません。
4 近所迷惑な「住人」と化すアレクサ
真夜中に、同じアパートの住人が、大音量で音楽をかけ始めたらどうするべきか。
まず確実に言えることは、その隣人は頭がおかしいということ。
そんな奴を直接注意しに行くのは少々勇気がいります。
2017年11月、ドイツのピンネベルクにあるアパートで、実際にそんなことが起きました。
夜中の2時ごろ、オリバー・ハバーストローという男性の部屋から、爆音に近い大音量で音楽が聞こえてきたのです。
そのアパートの他の住人たちは、騒音に耐えられず警察に通報。
すぐに警察が到着し、問題の部屋のドアをノックしてみましたが、応答は無し。
さらに、鍵を壊して中に入ったものの、住人は不在。
実はこのとき、オリバーは友人と出かけていたのです。
夜中にいきなり住人の安眠を妨害した犯人は、やはりアレクサでした。
しかし、オリバーは外出先からスマホでEchoの操作を行ったりはしていません。
そうなると、可能性として考えられるのは、Echoが何らかのノイズを拾って誤作動したか、あるいはアパートの他の住人のスマホ操作に反応したか。
いずれにしても、アレクサの気まぐれのせいで、オリバーは鍵の交換代金を支払い、アパート中の住人から「頭のおかしい奴」だと疑われるはめになりました。
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5 通報して被害者を救ったアレクサ
2017年7月2日、米国ニューメキシコ州ベルナリオ郡で、エデュアルド・バロス(28)という男が家で彼女と過ごしているとき、彼女のスマホのメール履歴から、急に浮気を疑い始めました。
嫉妬心の塊のようなバロスは、ブチ切れてどんどん危険なテンションになっていきます。
「お前はどこにも行かせない。お前は俺が殺す」
そう言い放つとバロスは銃を振り回しながら彼女に暴行。
その最中、「お前、保安官に電話したのか?」と尋ねたのですが、この一言が自分の首を締めることに。
部屋にはEchoが設置されており、アレクサはこの発言の「保安官に電話」の部分だけを認識し、それを命令と判断してベルナリオ郡保安官事務所に電話したのです。
その後、保安官が到着してバロスはその場で逮捕。
彼女の方は軽傷で済み、彼女の子供も無事でした。
この逮捕劇の後、テレビ局の取材を受けた保安官は、アレクサについて、
「この素晴らしいテクノロジーが、一人の女性とその子供を、極めて危険な状況から救ったのは間違いない」
とコメント。
近い将来、「アレクサ、殺されそうだから何とかして!」と言って、本当に何とかなる日が来るかも知れません。