「覚悟しとけよコロプラァァァァ!!!」
「かかって来いや任天堂ォォォォ!!!」
正直言って僕自身は、任天堂とコロプラとの間の特許訴訟にはあまり関心がありません。
特許侵害を指摘されているゲーム(『白猫プロジェクト』)をやったことが無いというのもありますが、この争いに決着がつくのは相当先の話だと思われるからです。
数年後、最高裁までもつれ込んだのに、結局和解が成立して、特許侵害の有無は曖昧に……ということになるかも知れません。
何れにせよ、コロプラ側は、裁判の結果に関わらずサービスは継続すると宣言しているので、恐らくユーザーに大きな影響は無いでしょう。
今回の件に限らず、ビデオゲームは意外な所に特許が潜んでいるので注意が必要です。
例えば、3Dレーシングゲームにおいて、プレイヤーの視点を自在に変更できたり、画面端に可動式ミニマップ(プレイヤーのシンボルを中心にしてコースマップが移動・回転する)が表示されたりする機能はゲーム好きにはお馴染みでしょう。
これは、ゲームクリエイターの鈴木裕氏がセガで『バーチャレーシング』を制作中に発明したもので、特許が取得されています。
『マリオカート』でもコースのミニマップは表示されますが、あれを回転させたりすれば、任天堂はこの特許を侵害することになりかねません。
こうして見ると、特許を侵害しないというのは、ある意味非常に厄介な問題です。
あのWindowsでさえ、初代の「Windows 1.0」は、その名前の割に、複数のウィンドウを重ねて表示することが出来ませんでした。
これは、「ウィンドウを重ねて表示する」ということ自体について、アップル社が特許を持っていかたらです。
マイクロソフトは、「Windows 2.0」をリリースする際、ウィンドウを重ねられるように改善したのですが、きっちりアップルに訴えられています。
〈originally posted on January 16,2018〉
1 オレオ
2枚のクッキーの間にクリームを挟んだお菓子として世界的に有名なのは、間違いなくオレオです。
アメリカでは、オレオはサンドイッチ・クッキーの代名詞となっているくらいです。
しかし、このタイプのクッキーとして初めて世に登場したのはオレオではありません。
サンシャイン・ビスケットというメーカーが1908年に販売した「ハイドロックス」です。
何だか洗剤みたいな名前ですが、当時としては革新的なクッキーでした。
そして、発売されるや否や飛ぶように売れていたこの商品を、ドス黒い思惑で虎視眈々と狙っていたのが、ナショナル・ビスケットという会社(現ナビスコの前身)。
ハイドロックスのデビューから4年後、同社は、誰がどう見てもハイドロックスにしか見えないクッキーを「オレオ」として販売し始めます。
ナショナル・ビスケットは、会社の規模ではサンシャイン・ビスケットを大きく上回っていたので、盤石な流通経路と巨額の広告費でもって、いとも簡単にハイドロックスを圧倒していきました。
サンシャイン側はこれに対抗し、「類似品に騙されないで!」「オリジナルのサンドイッチ・クッキー!」などといった言葉を広告に盛り込むようになります。
しかし、小さなメーカーが闘う相手としては、ナショナル・ビスケットはあまりに強大でした。
次第に世間は、オレオこそがオリジナルであり、ハイドロックスはパクリ商品であると認識するようになっていったのです。
その後、サンシャイン・ビスケットは別の会社に買収され、ハイドロックスの生産も1999年に中止となりました。
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2 アングリーバード
言わずと知れた超人気モバイルゲーム。
フィンランドの会社が開発し、2009年に登場してからこれまでに全世界で25億回以上もダウンロードされています。
ゲームの遊び方は至って単純。
衝撃を与えると崩れる建物に、数匹のブタが陣取っているので、スリングショット(ぱちんこ)で鳥をぶっ放し、建物を破壊しつつブタを全滅させればクリア。
あまり知られていませんが、このゲームが発売される8ヶ月前に『クラッシュ・ザ・キャッスル』という無料ブラウザゲームが公開されていました。
ゲームの遊び方は至って単純。
衝撃を与えると崩れる城に、数人の敵が陣取っているので、トレバシェット(投石機)で弾をぶっ放し、城を破壊しつつ人間を皆殺しにすればクリア。
おや、何かさっきのと似ているぞ、と思われたなら、それは気のせいではありません。
もろパクリです。
しかし、ゲームシステムは酷似しているのに、アングリーバードの方は映画化もされるなど様々な方面へ進出して莫大な利益をもたらし、一方『クラッシュ・ザ・キャッスル』はほとんど知られぬまま。
両者の大きな違いといえば、前者ではコミカルなキャラクターが多数登場するのに対し、後者では、人間が血を流して断末魔を発しながら死んでいくところでしょう。
3 紙袋
であっても、特許と無縁ではありません。
19世紀を代表する発明家として歴史に名を残すマーガレット・ナイトは、紙袋に関して、今日では当たり前となっているあることを閃きました。
紙袋の製造工場で働いているとき、底を平らにすることで紙袋の容量を増やせることに彼女は気づいたのです。
そして早速、簡単に底を平らにできる紙袋の自動製造機の設計に取り掛かりました。
ところが、試作機を作っているとき、機械工のチャールズ・アノンという男が彼女のアイデアを盗み、自分の発明としてその機械の特許を取得。
まだ男性ばかりが特許を出願していた時代に、彼女は積極的に様々な特許を取得していましたから、これを見逃すはずはありません。
アノンを相手取って訴訟を起こし、最終的に自分が発明者であることを証明しました。
ナイトの発明はその後の紙袋製造に革命をもたらし、根底にある技術は今もなお使われています。
4 相対性理論
アインシュタインを世紀の天才たらしめているのは、一般的にはやはり「相対性理論」でしょう。
たった一人でこの理論を完成させたのだとすれば確かに「天才」ですが、果たして本当に一人で成し遂げたのか。
それを疑いたくなる事実があります。
実は、相対性原理についての論文をアインシュタインよりも先に発表したのは、フランスの数学者アンリ・ポアンカレなのです。
しかもアインシュタインは、学者仲間と結成したグループ(オリンピア・アカデミー)で、様々な研究テーマについて議論をしていたのですが、ポアンカレが取り組んでいる研究もよく俎上に載せられていました。
そうなると、相対性理論はアインシュタインの完全なオリジナルとは言えない可能性が出てきます。
ポアンカレは30冊の著書と500本以上もの論文を発表していますが、アインシュタインが発表した相対性理論の論文には、ポアンカレの研究についての言及が全くありません。
これは……かなり不自然。
ただ、相対性原理に関する両者の説明方法は異なるので、アインシュタインがアイデアを盗んだわけではない、と歴史学者の多くは捉えているようです。
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5 レゴ・ブロック
小学生がスマホゲームにハマるような時代であっても、小さな子供が喜ぶおもちゃの定番と言えば、ブロックです。
家やビルから車、飛行機まで、想像力を働かせてどんな物を作ることも出来て、また、何度でも作り直せるような玩具は他に無いでしょう。
こんな画期的な商品を開発したレゴは偉大だ……。
そう思ってしまいそうですが、これを発明したのはレゴではありません。
世界初のブロックは、1939年、児童心理学者でもあったヒラリー・ペイジによって考案され、「キディ・クラフト」というブランド名で発売されたのです。
それから8年後の1947年には、おもちゃショーでペイジ自らブロックを使ったデモンストレーションを行い、ミニチュアの建物や公園などを作って見せました。
同じ年、レゴ社の創設者であるオリ・クリスチャンセンが、業者からプラスチック射出成形機を購入する際、たまたまキディ・クラフトのブロックをサンプル品として提供され、初めて手に取ったのです。
その瞬間、「他人の物は俺の物」というジャイアン的な思考が、クリスチャンセンの脳内を爆走しました。
レゴ社はすぐさま、キディ・クラフトのブロックと全く同じ商品を「レゴ・ブロック」として販売し、おもちゃ業界の覇権を握ったのです。
一方、ペイジの会社はレゴ・ブロックに押されて経営が悪化の一途を辿ります。
そして1957年、多くの子供に笑顔をもたらす偉大な発明をしたペイジは、自ら命を絶ちました。