2016年に行われた統計によると、イギリス国内では2013年からの3年間で、約5万人が試験中のカンニングを発見されました。
イギリスの大学は留学先として世界的に人気が高いですが、カンニングを行う割合が高いのは、海外(特にEU諸国以外)からの留学生で、イギリス人学生の4倍も高いのだとか。
やはり、言葉の壁が影響しているのかもしれません。
ちなみに、上記の統計期間内でカンニング件数が最も多かった大学は、ケント州にあるケント大学。
2000人近くの学生が不正行為を行っていました。
〈originally posted on July 22,2019〉
1 見えないインクでカンニング
絶対にバレないカンニングというのは、おそらく存在しないでしょう。
一見するとバレないようなものでも、結局は試験官に見つけられる運命にあります。
2017年、ロンドンの大学で法律を専攻しているとある女子学生が、画期的(?)な方法でカンニングを試みました。
指定されたテキストのみ持ち込みが許可されている試験を受ける際、彼女はそのテキストに、24ページにわたって、カンニングのための情報を書き込んだのです。
見えないインクで。
そのインクは、紫外線のライトを当てると見えるようになる特殊なインク。
彼女は試験中、ペン型の特殊なライトを使ってページに光を当て、カンニングをしつつ問題を解いていました。
なるほど、うまいこと考えたな、と思いたくなりますが、この方法は呆気なくバレて、彼女は単位を失っています。
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2 試験問題の奪取作戦
大学の定期試験を突破するために、普通は寝る間を惜しんで勉強するわけですが、寝る間を惜しんで試験問題を盗む学生もいます。
2017年、米国ケンタッキー大学に通っていたヘンリー・リンチ2世(当時21歳)がその人です。
彼は、友人と二人で深夜2時に大学の校舎にやって来ると、通気口から内部へ侵入。
ある部屋に降り立つと、扉をブロックし、目的の物を探し始めます。
そして、試験問題と思しき用紙の束を入手。
後はこのままずらかるだけ……。
そう思った矢先、何者かが外から部屋の扉を開けようとする音が。
彼らがいる部屋は、ジョン・ケインという準講師の部屋だったのですが、夜中まで仕事をしていたケインが、夜食を摂ったあとで戻ってきたのです。
扉が開かないことを不審に思った彼が「警察に通報するぞ」と叫んだことで、リンチたちは計画を断念。
彼らは扉を開けてダッシュで逃げました。
しかし、遅かれ早かれバレると悟ったリンチとその友人は、後に大学側に全てを白状しています。
3 カンニングが凄すぎて助かった女子学生
大学で学生がカンニングなどの不正行為を行った場合、どういう処分が下されるかは各大学によって異なりますが、その年度の取得済み単位を全て失う(つまり留年確定)といった厳しい措置がなされるのが普通です。
しかし、その常識を覆した学生がウクライナにいます。
今年、キエフ大学に通う一人の女子学生が、歴史の試験を受ける際にカンニング・ペーパーを持ち込みました。
小さなメモ用紙程度のものかと思いきや、なんと全長1.8mの紙。
彼女はその紙に、試験範囲である1861年から1918年までのヨーロッパとアメリカの歴史について、重要事項をびっしり書き込んでいました。
しかし試験開始後、政治学を教えるエフゲニー・マグダ教授によってカンニング・ペーパーを発見されてしまいます。
通常であれば、彼女はその場で退室を命じられ、それ以上試験を受けることは出来ません。
ところがマグダ教授は、恐ろしく長いカンニング・ペーパーを作ったその生徒の努力に感銘を受けたのです。
不正を発見したのが試験開始の直後だったこともあり、彼はカンニング・ペーパーを没収するだけにとどめ、彼女の試験続行を許可しました。
気になる試験結果は、合格。
おそらく彼女は、長大なカンニング・ペーパーを作るうちに、重要論点を覚えてしまっていたのでしょう。
4 カンニングを勧める校長
カンニングをするのは生徒だけとは限りません。
イングランドのチャタムにあるフェニックス・ジュニア・アカデミーでカンニングを生徒に勧めていたのは、なんと校長。
2015年、同校の校長だったアリソン・スミスは、生徒たちの成績を少しでも良くするため、試験の前に問題用紙を入手し、その内容を生徒たちと一緒に確認していたのです。
その他にも、成績の振るわない生徒にだけ特別な配慮をするように、他の教師に働きかけてもいました。
とにかく、成績を上げるためなら不正な手段だろうと何でもありという教師です。
しかしながら、このことがバレると、スミスは校長の地位を剥奪され、永久に同校の授業を担当できなくなってしまいました。
さらに、彼女がカンニングを半ば強要した生徒については、試験の結果が全て無効とされてしまうことに。
生徒のためを思ってやったことなのでしょうが、逆に生徒を窮地に追い込む結果となりました。
5 「アカン!カンニング!」のポスターがカンニング誘発
学校側としては、カンニングが行われてからそれを発見するよりも、出来れば未然に防ぎたいという思いが強いでしょう。
2014年、イギリスのプリマス大学で、試験会場となる教室の壁に、カンニングの禁止を訴えるポスターが貼られました。
そのポスターは、数学の公式などを書き込んだ手のひらの写真で、このような不正行為は止めましょうというメッセージを伝えていたのです。
しかし、写真をじっくり見てみると、手のひらに書かれた公式はフェイクではなく、全て本物の公式。
おまけに、それらの公式は見事に試験範囲に出てくる公式でした。
これに気づいた一部の学生が学校側に苦情を言ったことで、そのポスターは撤去されることに。
カンニング防止のためのポスターが、カンニングに役立っていたというのは、何ともお粗末な話です。
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6 建物の壁をよじ登る親たち
カンニングはこっそりとやるものだという常識を覆した人たちがいるのが、インドです。
インドのビハール州ハジプルでは、毎年3月に約140万人が受験する試験があります。
この試験が始まるやいなや、受験者の親や友人らがその試験問題を入手し、問題を解きます。
そして、試験会場となっている建物によじ登り、解答が書かれた紙を窓から投げ入れるのです。
ここまでくると、もうカンニングというよりお祭りというべきでしょう。
この地域では試験中のカンニングは珍しくなく、教科書やノートをこっそり持ち込むなどは日常茶飯事。
それが原因で、毎年400名ほどの学生が停学・退学処分になるとか。
さらに、カンニングを行った学生は、稀に罰金・懲役などの刑を食らうこともあるそうです。