ニューヨークにあるコロンビア・ビジネス・スクールの研究によると、我々の大半は平均13個の秘密を持っているそうです。
それらのうち、絶対に誰にも言えない秘密は5個。
また、秘密が嘘や詐欺に関係したものである割合は60%で、裏切り行為に関したものである割合は47%だそうです。
さらに、自分がひた隠しにしている秘密について考えるとき、人は物理的に重い物を背負っているかのような態度になる傾向があるとか。
おそらく、何一つ秘密を抱えていない人間などまず存在しないでしょう。
ただ、その秘密は他人にとっては大した内容ではないことがほとんど。
しかし稀に、周りを驚かせる秘密を抱えて生きる人もいます。
今回は、そんな人たちのエピソードをご紹介します。
〈originally posted on July 27,2019〉
1 自分に息子がいることを50年間知らなかった父親
米国ミシガン州に住むトニー・トラパニには、50年連れ添った、ガートルードという妻がいました。
二人はずっと子供が欲しいと願っていたのですが、妻の不妊症のためにその夢は遂に叶わず。
彼女は2008年にこの世を去りました。
それから6年後、トニーは妻のキャビネットから一通の手紙を発見します。
宛名はトニーで、差出人はシャーリー・チャイルドレス。
消印を見ると、それは1959年3月に投函されたものでした。
このシャーリーという人物は、トニーがガートルードと結婚する前に付き合っていた女性。
手紙を読んでトニーは愕然とします。
シャーリーにはサミュエルという5歳の息子がおり、その父親は他ならぬトニーであると書かれてあったのです。
さらに彼女は、ぜひ一度サミュエルに会ってほしいとトニーに訴えかけていました。
恐らくはこの手紙、ガートルードが先に読んでしまい、自分に子供が出来ないことから彼女はその手紙を夫に隠していたのでしょう。
約50年もの間。
少なくともトニーはそう考えているようです。
その後、まだ見ぬ実の息子に会うため、トニーは家族に協力を求めました。
そして、フェイスブックを利用して情報を収集し続け、ようやくサミュエルを発見。
2015年、81歳のトニーは、61歳の息子サミュエルと、初めての対面を果たしました。
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2 夫が妻に隠し続けた「裏の顔」
英国ウィルトシャー出身のオードリー・フィリップス(85)は、1951年、彼女が10代のときにグリンという男性と出会い、結婚しました。
それから64年間、家庭的な夫のパートナーとして結婚生活を送り、今では2人の子供と5人の孫、3人のひ孫がいます。
2015年にグリンが亡くなり、彼の書斎を整理していたとき、オードリーは一つの書類を発見します。
その書類には、64年間も夫が隠していた驚くべき秘密が。
実はグリンは、イギリスの諜報機関のために活動するスパイでした。
それも、彼がまだ13歳の時から。
1944年、イギリスは、国内に潜伏するナチのスパイ達への防諜活動として、彼らに虚偽の情報を流す「オペレーション・ダブルクロス」を計画し、それを実行する優秀な人材をイギリス中で探していました。
見たものを正確に覚える、いわゆる写真的記憶に長けていたグリンは、「キャプテン」と呼ばれる人物に才能を見い出され、約20名のうちの1人に選ばれたのです。
それから彼の生活は一変し、スパイとしての訓練を受けると同時に、実際に種々の任務をこなすようになります。
彼に与えられた最初の大きな任務は、刑務所内の狭いパイプを這い進み、ドイツ兵捕虜に会ってメッセージを伝えること。
第二次世界大戦の終結後もスパイとしての活動は続きました。
流石はスパイというべきか、64年間の結婚生活の中で、夫が誰にも言えない仕事をこなしていたことに、妻のオードリーは全く気づかなかったとか。
グリンが遺した文書の中には、彼自身が抱えていた苦悩も綴られており、83歳で亡くなるまで70年も秘密とともに生きる人生の過酷さを伝えています。