現代のテクノロジーを考えると、大昔の人々は、さぞかし不便な生活を強いられていたのだろう、と思ってしまいます。
しかし、そうとは言い切れないテクノロジーもあるのです。
どう考えても、現代のテクノロジーの産物だと思われるモノが、実は大昔から存在していた。
ある物の発明が、よく調べてみると、一般的に信じられているよりも遥か昔になされていた。
こういった例は、けっこうあります。
中には、紀元前から既に使われていた技術もあるのです。
今回は、意外と長い歴史を持つ技術の数々をご紹介。
〈originally posted on November 9,2015〉
1 火炎放射器
世界で最初の火炎放射器は、1901年にリチャード・フィールダーによって「武器」として発明され、第一次世界大戦で初めて使用されたと言われています。
しかし、その1300年以上も前に、ビザンツ帝国で、「グリーク・ファイア」と呼ばれる、水上でも使用できる火器が開発されていました。
主に海上戦で、敵の船を炎上させる目的で使われていたようです。
制作には石油と硫黄が材料として使用されたと考えられていますが、具体的な製造過程などは、いまだに謎なのだそうです。
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2 整形手術
現代の整形手術の基礎は、1917年にハロルド・ギリーズによって作られたとされています。
彼は、第一次世界大戦で、顔面に重度の火傷を負った男性に対して、「皮膚移植手術」を成功させたのです。
ところが、整形手術の歴史をさらに遡ると、何と紀元前3000年にまで戻ります。
世界で最も古い医学書の一つである『エドウィン・スミス・パピルス』によると、古代エジプト人は既に「鼻」の整形手術を日常的に行っていたようなのです。
施術の対象となったのは主に窃盗犯。
刑罰によって削がれてしまった鼻を元に戻すのが目的だったと見られています。
3 自動販売機
世界初の自動販売機は、19世紀末に葉書と本を販売するものとして登場しました。
しかし、今から約2000年前の古代ギリシャには、コインを投入して「あるモノ」が出てくる機械が存在していました。
その「あるモノ」とは、聖水。
仕組みは実に単純で、上からコインを入れると、機械の内部で蛇口のレバーがコインの重みで少しの間押し下げられ、一定量の聖水が出るのです。
では、何故「聖水」が自販機で売られていたのかというと、自分が払った代金以上の量を取っていく人が多かったからだとか。
4 目覚まし時計
一般的には、目覚まし時計は、1787年にリヴァイ・ハッチンズが発明したということになっています。
その世界最初の目覚まし時計は、毎日午前4時になるとアラーム音が鳴るという簡素なものでした。
ところが、紀元前440年頃、古代ギリシャの哲学者であるプラトンは、自分が行う講義の時間に間に合うように、「水」を利用した一種の目覚まし時計を利用していたそうです。
それは、水が容器に溜まっていき、一定量を超えると音が鳴るような仕組みのものでした。
5 自動ドア
自動ドアは、1954年にアメリカ人のディー・ホートンとルー・ヒューイットが、風の強い日に回転ドアが使いづらくなる問題を解消すべく開発したとされています。
しかし、上には上がいるもので、紀元前50年に、アレクサンドロスのヘロンが、寺院のための自動ドアを既に発明していました。
ドアのそばに設置された祭壇に火を灯すと、それにつながった装置の内圧が上がり、その力を利用してドアをスライドさせていたようです。
6 電池
電池の歴史は、まず18世紀のイタリアの物理学者、ルイージ・ガルヴァーニが、死んだカエルを使った実験で「動物電気」を発見し、その後、アレッサンドロ・ボルタが1799年に、銅と亜鉛を用いた「ボルタ電池」を完成させたと説明されるのが一般的です。
ところが、この常識を塗り替えるかもしれないことが起きました。
1938年、考古学者によって、バグダッド(バグダード)で一風変わった土器が発見されたのです。
その土器の中には銅で出来た筒と、金属の棒が入っており、一部の学者からは、これは恐らく世界で最初の「電池」ではないかと言われています。
もしその考えが正しければ、何と紀元前200年には人類は既に電池を利用していたということになるのです。
しかし、イラクの考古学者、エリザベス・ストーン博士はその可能性を真っ向から否定。
そこで、果たしてこの原始的な仕組みの電池が本当に電池として機能するのかを確かめるべく、2005年、ディスカバリーチャンネルの人気番組である「怪しい伝説(Mythbusters)」が、発見された土器と同じ構造の電池を作成してみたところ……。
約4ボルトの電気を発生させるのに成功。
ここで、わずか4ボルトの電気が一体何の役に立つのかと思われた方もいるでしょう。
しかし、4ボルトあれば、コインや宝石類に「電気メッキ」を施すのに十分なのです。
7 コンピュータ
純粋に計算機と呼べる世界初のコンピュータは、1834年に数学者のチャールズ・バベッジが開発しました。
幅3メートルもある巨大な機械で、重さは5トンもあったとか。
しかし、これよりも遥か昔に作られた、コンピュータの原型と思しき物があるのです。
1901年に沈没船から回収された「アンティキティラ島の機械」は、約3000年前に作られた「世界最古の計算機」と言われています。
歯車がいくつも咬み合って文字盤の中に収められた外観をしています。
発見から100年以上もの間、科学者たちは、大昔に何故このように複雑な機械が作られたのかという謎の解明に躍起になりました。
一説によれば、これは古代ギリシャ人が生み出した、アナログのコンピュータではないかと言われています。
その目的は、天体の様子、日食やオリンピックの時期などを把握したりするため。
この機械と同じレベルの複雑さを備えた機械は、約1500年間は作られることが無かったそうです。
8 ロボット
世界初の全自動で動くロボットは、1948年にウィリアム・グレイ・ウォルターによって発明されました。
亀のような形をしたロボットで、内蔵バッテリーの容量が少なくなってくると、自分で充電器の位置を変えることが出来たそうです。
しかし、ロボットの歴史をさらに遡ると、今から約2000年前の古代ギリシャで、先程も登場したアレクサンドロスのヘロンが発明していました。
それは、蒸気で動く小さな人形で、簡単な寸劇を行って観客を楽しませる目的で使われていたようです。
単純な作業をこなすように設定することもできたとか。
部品としては、滑車やシリンダーなどを組み合わせていたそうです。
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