普通の人間にはついていけない奇抜すぎる芸術作品の数々をご紹介します。
アートの世界というのは、常人には理解できないことが珍しくありません。
むしろ、簡単に理解できるようなら、それは「アート」とは呼べないのかも知れません。
一見しただけでは、分けがわからない。
それそがアートなのでしょう(……多分)。
〈originally posted on March 13,2017〉
1 自分の血液で造った彫像
イギリス出身の視覚芸術家であるマーク・クインが、1991年から5年ごとに制作している作品に『セルフ』という名の彫像があります。
自分の頭部をかたどった彫像ですが、普通とは大きく異るのが、人間の血液を固めて作られているという点。
5ヶ月以上をかけて自分の身体から採取した、約4.5リットルの血液を型に流し込み、それを固めて完成させているのです。
最初に制作されたものは、13000ポンド(約180万円)で売れました。
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2 色々と生々しいベッド
イギリス人アーティストのトレイシー・エミンは、1998年に『マイ・ベッド』という作品を発表しました。
その名前から想像できるとおり、これは彼女が実際に使っていたベッドを芸術作品として再現したもの。
ただし、そのベッドは、トレイシーが正常な精神状態にあるときのものではありません。
彼女はかつて、人間関係の悩みから重度の「うつ状態」に陥り、ベッドからほとんど出ない生活を送っていた時期があります。
食事は全く摂らず、口に入れるものはアルコールのみ。
そんな状態が数日間つづいてから改めて自分のベッドの酷い有様を見たとき、彼女はそれを「作品」として発表することを思いついたそうです。
『マイ・ベッド』は、そのときの状態を忠実に再現しているのです。
ベッドの周りには生活ゴミが散らばっており、ベッドシーツも汚れています。
非常に斬新な作品ですが、一部の批評家は、
「小汚いベッドを作品にすることなど誰にでもできる」
と酷評。
これに対しトレイシーは、
「誰にでもできるかもしれないが、今まで誰もやったことは無い」
と反撃しました。
ちなみに、この作品は15万ドルで買い取られています。
3 ニューヨークのゴミ
フリーランスの芸術家であるジャスティン・ジニャックは、ただのゴミを芸術品のレベルに引き上げることに成功しました。
2001年、彼は、ニューヨークの街に落ちているゴミを自分で拾い集め、それを立方体の透明ケースに入れて販売しはじめたのです。
『ニューヨークのゴミ』という直球勝負の名前を付けたその商品は、これまでに30を超える国々で1300個以上が売れたとか。
1個あたり50ドルですが、ヤンキースタジアムでワールドシリーズが行われるときなど、特別なイベントの際には1個100ドルの「限定版」も販売されます。
4 (ただの)ほんのり赤い鏡
ゲルハルト・リヒターというドイツ人の視覚芸術家は、現在最も稼いでいるアーティストの一人に数えられています。
そんな彼がこれまで制作した作品の中で、ひときわ異彩を放っているのが、『鏡』というタイトルのもの。
その名のとおり、見た目はただの鏡です。
普通の鏡が、薄い赤色に着色されているだけで、そこに何らかの絵が隠されているわけでも何でもありません。
何時間見つめていようが、ただの鏡。
にも関わらず、この作品は驚きの75万ドルで売れました。
5 自分の脂肪で作ったミートボール
チリ出身でデンマーク在住のアーティストであるマルコ・エヴァリスティは、2007年、かなり奇抜な作品を発表しました。
一見するとそれはただのミートボールなのですが、普通では考えられない物が材料として使われています。
それは、脂肪吸引によって取り出した、自分の脂肪です。
彼はそれを、作品として展示するだけでは飽き足らず、自らが主催するディナー・パーティーで、パスタのトッピングとして使用しました。
エヴァリスティによると、この「特性ミートボール」は、本質的にはスーパーで売られているものと何ら変わらず、不快に感じる必要など無いとのこと。
彼としては、我々が当たり前のように行っている食生活や消費活動を、通常とは異なる視点からとらえるという狙いがあったようです。
6 自分のウンコ
イタリア人芸術家のピエロ・マンゾーニが29歳の若さで亡くなったとき、最後にとんでもない作品が残されていたことが分かりました。
それは、彼自身のウンコです。
1961年、マンゾーニは何ヶ月もかけて自分のウンコを小さな缶詰にしていきました。
その数はなんと90個。
それぞれの缶詰に入っている茶色い物体は約30グラムです。
缶の側面には作品のタイトルとして、「アーティストのうんこ」を意味する表現がイタリア語・英語・フランス語・ドイツ語で書かれていたとか。
2008年、オークションで、84番目の缶が約15万ドルで落札されています。
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7 目に見えない何か
2011年、エイミー・デイヴィソンという女性が、「目に見えないアート」を1万ドルで購入したことが話題となりました。
『新鮮な空気』と題されたその芸術作品は、目で見て、手で触れられるような形では存在していません。
言わば、「新鮮な空気」というアイデア自体が作品なのです。
このアートの購入者には、作品についての説明が書かれたカードが渡されただけで、他には何もありません。
それにしても、デイヴィソンは1万ドルも出してまで、なぜ何も形の無い作品を買ったのか。
本人によれば、目に見えないものを売るというコンセプトに共感するものがあったからだとか。
ソーシャルメディアが発達して、誰もが気軽に自分の作品を発表できる時代においては、アーティストが生き残っていくためにこういった手段も重要だと彼女は考えたのです。