我々が恐怖心を抱く対象には、色々なものがあります。
ゴキブリが苦手、という人は多いでしょうし、幽霊が怖い、というのもいたって普通。
しかし、何の変哲もないモノに恐怖する人がいるとしたら。
自動車やATMなど、今の常識ではごく普通のモノが、かつて真面目に恐れられていたという奇妙な話をご紹介します。
人間が何かに恐怖心を抱くのはごく自然なことですが、これからご紹介するのは全て、少し不可解な理由で恐れられていたというものばかりです。
〈originally posted on October 29,2015〉
1 列車
馬車で移動するのが当たり前だった時代に、初めて蒸気機関車が登場した直後は、医師たちの間から列車に乗ることによる健康被害が本気で心配されていました。
馬車の3倍以上もの速度で移動することに人間の体は耐え切れず、精神に異常を来す可能性があるとまで言われていたのです。
驚くことに、列車に乗っている場合だけではなく、走っている列車を見続けるだけでも健康を害すると主張されていました。
その結果、全てのレールの両脇に、高さ2メートルの塀を設けるべき、という提案が真剣になされていたとか。
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2 ファービー
は、1998年にアメリカで誕生した人形で、最大の特徴は、予めプログラムされた単語を組み合わせて、人間が喋るのを真似て音声を発するという点。
この人形を恐れていたのが何と、
「アメリカ国家安全保障局(NSA)」
なのです。
当時のファービーにインプットされていた単語はわずか100語程度でしたが、ファービーが「スパイ」として利用されることを真面目に恐れたNSAは、オフィス内にファービーを持ち込むことを禁止し、全てのエージェントに対し、ファービーに警戒するように通達を出しました。
また、ファービーには周りの会話を録音する機能があって、機密事項をどこかで突然喋り出すのではないか、という恐れも抱いていたようです。
しかし、ファービーに備えられた機能は、あくまで聞こえた会話をオウム返しのように真似るだけ。
つまり、NSAは全く無用の心配をしていたというわけなのです。
3 小説
かつてアメリカでは、小説そのものを敵視する人たちがいました。
彼らは小説を、「愚かで無価値なもの」であると切り捨て、時には阿片などのドラッグに例えることもあったのです。
中でも、彼らが最も恐れたのは、恋愛小説。
恋愛小説は、人間の心を駄目にして、殻に閉じこもらせると考えられていました。
また、恋愛小説を読んで男女の関係に幻想を抱いた女性が、そのまま結婚してしまうことを問題視する向きもあったようです。
4 電話
に世界で初めて登場した電話は、多くの人々を困惑させました。
というのも、そもそも電話が一体何の目的で使われるのかを把握していない人が圧倒的に多かったためです。
ちなみに、電話の販売会社は最初、電話はあくまでビジネスに使用するもの、という宣伝をしていたようです。
電話の用途がようやく一般人に浸透し始めたとき、それと同時に電話に対する警戒心も増大し始めました。
電話の普及によって、他人との付き合い方が激変してしまうのではないか、あるいは、人々のモラルが崩壊してしまうのではないか、といった不安感があったのです。
その結果、寝巻きを着たまま電話をするのはタブー、とか、電話で人を誘うのは御法度、などといった奇妙なルールまで生まれたとか。
また、プライバシーに対する不安もありました。
公衆電話を使う際には通行人に会話を聞かれることを恐れ、自宅で電話をする時には、電話回線を通して隣近所の家に会話が漏れることを恐れていたのです。
5 ATM
ATMとしての最低限の機能を備えた機械は、今から50年以上前にアメリカで誕生しました。
今となっては、ATMの無い生活なんて不便極まりない、と考える人が多いでしょうが、その当時は全く歓迎されない代物でした。
人々が最も恐れたのは、そんな謎めいた機械に自分の大事な現金を入れてしまったら、どこかへ消えてしまうのではないか、とういうことだったのです。
その結果、ATMの内部に小型カメラが設置され、現金が格納される瞬間を写真に撮ってから、それを客にレシートの一部として手渡すということが実際に行われていたそうです。
結局、ATMを進んで利用していたのは、行員と直接会話をするのを避けたいギャンブラーや娼婦が多かったようです。
6 女性の自転車利用
のアメリカでは、女性が自転車に乗ることは奨励されていませんでした。
その驚きの(というか、滑稽な)理由は、女性が自転車に乗るようになると、そのうち自分で何でもこなせるようになって、完全な「自由」を手にするのではないかと恐れられたため。
女性を自転車から遠ざけるべく、女性が自転車に乗るとうつ病になるとか、心臓病を患うとか、どう考えても何の根拠も無いことがまことしやかに言われていました。
さらに、何としても自転車に乗らせないための「奥の手」として、女性が自転車に乗ると、
「自転車顔」
という症状になると言われていたのです。
この症状にかかると、アゴや唇の周りの筋肉が硬直すると同時に、シワが増えてやつれて見え、目が飛び出しそうなほどむき出しになる、などとトンデモナイ説明がなされていました。
それにしても、女性の自転車利用を認めたくないばかりに、ここまでしていたのは驚きです。
7 自動車
自転車の次は自動車です。
1920年代においては、自動車は10代の若者たちの信仰心を削ぎ、犯罪を増加させると考えられていました。
また、大学生が自動車を手に入れたら勉強などしなくなるという不安から、アメリカでは1927年までにトップクラスの大学17校が自動車通学を禁止していました。
さらに、恋人どうしが車の中で行為に及ぶことの増加も問題視され、実際1950年代においては若い女性の間で、エッチの場所に車の中を選ぶ人が約半数を占めていたとか。
これを受けて、フォード・モーターの創設者であるヘンリー・フォードは、車中でのそういった行為を無くすべく、一部の車種のシートを短めに設計したと言われています。
8 ツイスター
アメリカ人の発明家、レイン・グヤーが1960年代に開発した「ツイスター」は、発売当初まったく売れなかったそうです。
というのも、1960年代のアメリカでは、公の場で男女が互いに体を寄せ合うなど、ダンスを踊るときくらいだとされていたので、体を絡ませ合うようにして遊ぶツイスターなど論外だったのです。
ツイスターを販売していた会社のライバル社は、ツイスターに「いかがわしいグッズ」というレッテルを張り、一般消費者の中にも、これを子供が使用していいのかを真剣に疑う人が多かったとか。
こうして、完全にいかがわしいグッズとしてのイメージが付いてしまったのですが、あるTV番組で、男性司会者がゲストの女優とツイスターで大いに盛り上がり、その様子が別段いやらしくも何とも無かったことから、ツイスターは「汚名返上」となったのです。
その番組が放送された翌日、ツイスターを買い求める人たちの行列が出来たのだとか。
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