刑期を終える頃には人類が火星に移住していそうなほど、長い懲役刑を食らった囚人たちをご紹介します。
日本ではあり得ない話ですが、海外では、凶悪犯に対して数百年や数千年の懲役刑が科されることがあります。
刑務所内で100年以上も生きられる囚人などありえないことを考えると、こういった常識はずれの刑期には何の意味があるのか。
これは、被告人がまさに「常識はずれ」の罪を犯したということを示す目的があるとされています。
いかに重い罪であるかを刑期が象徴しているのです。
また、アメリカでは「10の終身刑」といった具合に、複数の終身刑が科されることもあります。
懲役数百年はまだ理解できるが、複数の終身刑とは何ぞや……と思われた方もいるでしょう。
「猫に九生あり」という諺がありますが、凶悪犯はしょせん生身の人間なわけで、何度も終身刑を乗り切るなど不可能です。
この奇妙な刑罰の背景には主に2つの理由があるようです(但し、州によって多少異なります)。
1つは、仮釈放が認められるまでの期間を伸ばすため。
終身刑を食らっても、一定期間が経過すれば仮釈放が認められる権利を得るので、その意味で、終身刑は実質的に有期懲役と似ています。
しかし、終身刑が複数科されると、それに応じて仮釈放までに必要な期間も伸びるので、死ぬまで刑務所から出られない可能性が高くなるのです。
もう1つは、終身刑を確実に維持するため。
複数の罪状の全てについて終身刑が下された場合、そのうちの一つが後に再審によって覆されても、残りの終身刑は存続するというわけです。
〈originally posted on October 15,2016〉
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1 懲役1035年+終身刑×35
1996年、イギリスのダンブレイン小学校で銃乱射事件が発生し、16人の生徒と1人の教師が犠牲になりました。
同年4月28日、この事件に影響されたと思われる事件がオーストラリアのポート・アーサーで発生。
マーティン・ブライアントという男の凶行よって、35人が犠牲になり、23人が負傷しました。
事件を起こす前のブライアントは社会的に孤立しており、辛うじてつながりのあった人に対して、
と語っていたとか。
しかし、犯行の具体的な動機に関しては明らかになっていません。
後の裁判で彼に下された刑は、懲役1035年と35の終身刑。
この事件をきっかけにオーストラリアでは銃の規制が強化され、国が市民から銃を買い取る制度も確立しました。
2 懲役3318年+終身刑×12
2012年7月20日、米国コロラド州のとある映画館で、ジェイムズ・イーガン・ホームズという男が銃を乱射し、12人を殺害、70人に怪我を負わせました。
また、警察が家宅捜索を行うのを見越して、自分が住むアパートにはお手製の爆弾を使ってトラップを仕掛けていたのです。
ホームズはすぐに逮捕され、拘置所に入れられることに。
過去に犯罪歴は無く、精神的に不安定だったことから刑事責任能力が問題となりましたが、2015年8月24日、ホームズには懲役3318年と12の終身刑が言い渡されました。
3 懲役1万年+終身刑×2
1976年のハロウィンの日、ダドリン・ウェイン・カイザーという男が、関係が破綻してしまった自分の妻、およびその母親を自宅で殺害しました。
さらに、たまたま家にいた無関係の大学生をも犠牲に。
後に行われた裁判では、開廷から1時間と経たずして死刑判決が下されました。
しかし、事件の起きたアラバマ州において死刑は違憲であるとの判断がなされたため、再審が行われることに。
その裁判で、カイザーには改めて懲役1万年と2つの終身刑が科せられることとなったのです。
4 懲役3万年
チャールズ・スコット・ロビンソンという男は、6人の子供に性的虐待を加えた容疑で逮捕され、1994年に裁判が始まりました。
その中で、ロビンソンには被害者一人について5000年の懲役が妥当と判断され、しかもそれらの刑期は同時ではなく連続して進行するものと定められたのです。
つまり、単純計算で30000年の懲役刑が科されました。
ロビンソンは現在アメリカ国内で最も刑期の長い囚人となっています。
5 懲役43000年
2004年3月11日早朝、スペインのマドリッドで大規模な列車爆破事件が発生。
これにより、192人が死亡、2000人以上が負傷。
犯行に関わったグループは逮捕され、アル・カイダ(アルカイーダ)によるテロの可能性も指摘されましたが、直接的な関連は確認されていません。
2007年、首謀者であるオットマン・エル・ガノーリとジャマール・ザウガムにはそれぞれ43000年の懲役刑が宣告されました。
ちなみにスペインでは、一人を殺害した場合の一般的な処断刑は懲役40年となっています。
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6 懲役141078年
世界で最も収監者数が多いのはアメリカです。
人口では圧倒的に中国の方が多いのに、その中国をも凌ぐというのはある意味すごいですね。
しかし、歴史上最も長い懲役刑を科された囚人がいるのは、アメリカではなくタイなのです。
1989年、チャモイ・スィピァソという女性が宣告された刑期は、何と141078年でした。
彼女は、いわゆるネズミ講(無限連鎖講)の仕組みを利用して16000人から金を騙し取り、その総額は日本円で2億を超えていたのです。