夫を亡き者にしたいと常日頃から思っている妻は、少なくないのかも知れません。
結婚前に付き合っていた頃と比べると、見た目も、言動も、価値観も、何もかもが変わってしまった夫を横目で見ながら、
「コイツさえいなければ……」
などという危ない思考が脳内に居座っている……。
今回は、そういう妻の話です。
〈originally posted on January 22,2020〉
1 夫を殺すつもりが夫以外の15人を犠牲に
パキスタンのパンジャーブ地域在住のアーシア・ビビという女性は、自分の意思に反して、好きでもない男性と、両親によって結婚させられ、不満を抱えながら日々を過ごしていました。
2017年、当時21歳だったアーシアは、2ヶ月の結婚生活で不満が頂点に達し、夫であるアムジャド・アクラムの殺害を計画。
彼女は、夫に隠れて付き合っていた恋人から毒物を受け取り、それを牛乳に混ぜたのです。
そして、夫の家族や親戚が集まっているとき、アーシアは、その牛乳をグラスに入れ、夫に手渡しました。
ところが、どういうわけか、夫はそのグラスに口を付けなかったのです。
彼女がしきりに牛乳を勧めても、彼はそれを頑なに拒否。
計画は失敗です。
しかし、ここで予期せぬことが起きました。
夫の母親が、毒入りとは知らず、その牛乳を使って、ラッシーと呼ばれる乳飲料を作り、家族に振る舞ったのです。
それを飲み干した者は、次々と嘔吐し始め、30人近くが病院に搬送される事態に。
そのうち、少なくとも15人が死亡したとされています。
殺そうとした相手である夫が無傷で、無関係な人間だけが何人も亡くなるという結末は、アーシア自身、予想だにしていなかったでしょう。
警察から取り調べを受けたアーシアは、毒殺の容疑を否認しました。
ちなみに、パキスタンでは、親が子に強制結婚させる例が非常に多く、特に、パンジャーブ地域では、望まない結婚生活から生じる殺人事件が珍しくないそうです。
2 死を招くパンツを夫に穿かせる妻
妻が夫を毒殺しようとしたら、その毒の影響が妙な所に出てしまった事件があります。
2016年、中国の杭州市に住む、チャンという名字の男性が、妻と激しい口論になってから数日後、体に異変を感じるようになりました。
ときどき呼吸が苦しくなることに加え、股間に強烈な違和感があったのです。
具体的に言うと、彼の大事な部分が、「腐って」きていました。
そして、この妙な症状の原因を作っていたのは、彼の妻。
彼女は、夫のパンツを、毒性の強い除草剤に浸け置きし、それを乾燥させたものを彼に穿かせていたのです。
その除草剤は、「パラコート」と呼ばれるもので、ごく少量でも致死量になり、摂取すると肺線維症を引き起こします。
当時50歳のチャン氏は、病院で2週間ほど集中治療を受け、命に別状はありませんでした。
その後、「毒入りパンツ」を仕込んだ妻は逮捕されています。
3 毒入り歯磨き粉で、元妻の殺害を企む弁護士
夫婦間で毒を盛るのは、妻の側ばかりとは限りません。
米国テネシー州コリアヴィルに住むステイシー・ワートマンは、2016年、夫のフレッドと離婚し、3人の子供と生活するようになってから、歯磨きをする度に、妙な頭痛に襲われるようになりました。
同じ歯磨き粉を使っていた子供たちも、やはり同じ症状に。
後日、警察官が彼女の家を訪ね、衝撃的な事実をステイシーに伝えます。
普段は弁護士として仕事をしているフレッドが、パソコンを使って、殺し屋を探していたこと、また、毒薬を入手しようとしていたことが発覚したため、ステイシーに警告しに来たのです。
この時、彼女は、例の歯磨き粉のことを思い出し、それを警察に証拠として提供。
後の検査で、歯磨き粉からは、強力な毒物が検出されました。
実は、フレッドは、離婚が成立してから、こっそりステイシー宅に侵入し、歯磨き粉に毒を混ぜていたのです。
驚くことに、彼は、3度も侵入し、その度に毒を仕込んでいました。
フレッドは、殺し屋を装った警察官に、おとり捜査とは気づかずに金を払い、別れた妻の殺害を依頼したことで逮捕され、毒入り歯磨き粉の一件でも起訴されることに。
裁判で、彼は、懲役30年が言い渡されています。