昭和33年に誕生したチキンラーメンは、日本の食卓に革命をもたらしたと言っても過言ではない。
それ以降、カップヌードルや、どん兵衛、焼きそばUFOなど、数多くのヒット商品を出し続けている日清。
そんな日清には、ある変わった「会議」があるそうだ。
しかもそれは、相当に精神面がタフでないと耐えられないらしい。
その会議とは、「解剖会議」である。
〈originally posted on December 10,2014〉
1 「解剖会議」とは何なのか
日清では、ある商品開発が結果的に失敗だと判断されたとき、開発の責任者について「解剖会議」なるものが開かれるらしい。
そこで一体何が行われるのかというと、その商品が失敗に終わったことで会社にどれくらいの損害を与えたのかを具体的に算出するのである。
本人の目の前で。
もちろん、その損害額を支払わせるなどといったことは無いようだ。
この会議の意図するところは、一つ一つのプロジェクトについてそれ相応の責任感や緊張感をもって臨ませるというものなのだろう。
しかし、普通に考えればほとんど「吊し上げ」と言えるのではないか。
なかなか「えげつない」慣例である。
そして、日清の商品開発に関してもう一つ特徴的なのが、「チーム対抗制」だ。
「カップヌードル」や「どん兵衛」などの人気商品を開発するメンバーは別々のチームに別れており、それぞれがお互いをライバル視して売り上げを競っているのだそうだ。
つまり、
日清のライバルは日清
ということ。
他のメーカーなど眼中に無いという不遜な印象を受けてしまうが、実際に人気商品を次々と生み出しているのだから、これはこれで効果があるのだろう。
何だか日清についてやたらと批判的な論調になってしまったが、僕自身は日清の大ファンである。
即席麺は一人暮らしの強力な「相棒」であるが、優秀な相棒を提供し続けてくれるのは日清くらいなものだ。
2 超問題児の出現
しかし、今までに一度だけ、「おいおい日清どうしたんだ?」と言いたくなるようなトンデモ商品に出会ったことがある。
「カップヌードルごはん」がそれ。
カップヌードルのしょう油味といえば、長年にわたり不動の人気を誇るカップヌードルだ。
それとご飯をミックスさせたというのだから、不味いワケが無いと思っていた。
ところが……。
始めて一口食べたときのガッカリ感は今でも忘れられない。
念のために言っておくと、作り方を間違えたりはしていない。
パッケージに書いてある通りに作ったのである。
それにしても、何とも微妙な味だった。
決して不味くはない。
ただ、美味しくもない。
例えるなら、普段料理をまったくやらない人が、チャーハンに挑戦してみたらこうなりました、といった味だ。
美味しくない原因は、やはりご飯の部分だろう。
フリーズドライされた米に水を注ぎ、レンジで暖めたご飯は、辛うじて「ご飯」だなと分かるレベルでしかない。
おそらく、この商品の開発担当者は、カップヌードルとご飯を合わせるという絶妙のアイデアに満足してしまい、ご飯のクオリティにはそれほどこだわらなかったのだろう。
しかし、即席麺では麺のクオリティにこだわるのがどのメーカーでも当たり前になっているのに、ご飯がメインの商品でご飯にこだわらなかったのは失敗ではないだろうか。
結局、カップヌードルご飯を食べたのはそれ一回限りとなってしまった。
個人的に、この商品は「解剖会議」モノである。
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