日本であれば、刑罰の種類は法律で定められているので、予想外の変な刑罰が課されることなどありえないが、海外では事情が異なる。
実にユニークな刑罰が科されることもあるのだ。
そもそも、刑罰を科す目的は、罪を犯した者に、自らの行いを反省させ、二度と犯行に手を出さないようにさせることである。
そう考えると、刑罰は、相手によって、その内容を柔軟に決めるべき場合もあるだろう。
今回は、海外で実際にあった、珍しい刑罰の数々をご紹介する。
〈originally posted on January 12,2015〉
1 「私はバカです」の刑
オハイオ州クリーブランドに住むシェナ・ハーディン(32)は、車を運転中、スクールバスが停車している所に出くわした。
まともなドライバーであれば、バスが発進するまで待つのが常識だが、彼女は横の歩道を走ってバスを追い抜いて行ったのだ。
この交通違反に対して、裁判所はやや特殊な刑を言い渡した。
自分がいかにおバカであるかを書いた紙を持って、2日間、ラッシュ時に交差点の角で立っているように命じたのだ。
ちなみにその紙には、
「スクールバスを避けて歩道を車で走るのはバカだけ」
と書かれてあった。
2 「聖書で勉強」の刑
サウスキャロライナに住むカサンドラ・トーリーは、法定許容量の3倍ものアルコールを摂取した状態で車を運転し、逆走したあげくに対向車とぶつかり、2人の男性に怪我を負わせた。
これに対し裁判所は、懲役8年、執行猶予5年に加えて、旧約聖書の「仕事」の章を読んで内容を要約するように命じたそうである。
3 「仕事しろ!」の刑
スペイン南部のアンダルシアに住む25歳の男性は、仕事に就かずに親と同居していたのだが、親が毎月の小遣い(約400ユーロ)をくれなくなったことに納得がいかず、両親とともに裁判所を訪れた。
しかし、彼は逆に裁判所から「30日以内に親元を離れて自活する道を見つける」ことを命じられてしまった。
日本の常識で考えると、25歳にもなって親から金を貰っていることがあり得ない話なのだが、実はスペインでは少々事情が異なる。
この国では、30代になっても親と同居してスネかじり状態にあるのは珍しくないのだ。
ちなみに、スペインの若者の失業率は約43%と、EU諸国の中では最も高い(2015年現在)。
4 「コットン収穫」の刑
では、コットンの収穫時期になると、ショップやカフェなどは夜の7時まで開店出来ない。
これは、国民に対し、買い物などよりもコットンの収穫に意識を向けさせるため。
そして、交通違反者に対しては1週間の収穫作業を命じられる。
同国がここまでコットンの収穫に必要な人手の確保に躍起になるのは、子供を労働力として使うことへの国際的な非難が高まってきていることが一因となっている。
5 「クリスマス禁止」の刑
オハイオ州に住むベッティーナ・ヤングは、免許証を偽造した罪に問われた。
そして、彼女が言い渡された刑罰の内容が実に変わっている。
向こう5年間は、クリスマスの日を含む3日間を刑務所で過ごすことを命じられたのだ。
その3日間以外の日は自由に過ごして良いのだが、保護観察下に置かれる。
そして、もしクリスマスに刑務所に姿を現さなかったら、懲役15年が待っている。
この奇妙な刑を言い渡した裁判官の意図としては、刑務所での生活がどのようなものかを垣間見ることで、罪を犯さないようにする意識が強まるはず、との思いがあったようだ。
6 「クラシック音楽」の刑
イリノイ州シャンペーンに住むアンドリュー・バクター(24)は、カーステレオでラップ音楽を爆音で聴いていたことにより罰金$150を言い渡された。
しかし、ここで裁判官は彼にある面白い条件を出す。
20時間、ベートーベンや、バッハ、ショパンといったクラシック音楽を聴けば、罰金を$35に減額するとしたのだ。
それを聞いて、彼はクラシックを聴き始めるのだが…。
15分ともたなかった…。
しかし、理由はクラシック音楽に耐えられなかったからではなく、大学のバスケの練習に参加したかったから途中で止めてしまったそうだ…。
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