期待に胸を膨らませて、ゲームを買った者を襲う、非情なワナ。
それが、クソゲー。
現在は、ネットでのレビューや評判などをチェックしてからゲームを購入する人が多いでしょうから。実際は、クソゲーを掴まされてしまう危険度はそれほど高くありません。
とは言え、その恐れが全く無いとも言い切れない。
仮に、これからご紹介するようなゲームを買ってしまったら、数日間は立ち直れないほどのダメージを食らうかも知れません。
Amazonでゲームのレビューを見ていると、「こんなのはクソゲーだ!」とバッサリ切り捨てている文章をよく目にしますが、『デザート・バス』を知った後では、そう簡単には「クソゲー」という言葉を使えないでしょう。
〈originally posted on December 12,2014〉
1 ただひたすらバスを運転するだけ…
日本ではほとんどその名前が知られていない「デザート・バス」。
これは、1995年にSega CD(日本名:Mega CD)からリリース予定だった、
「Penn & Teller’s Smoke and Mirrors」
というゲームの中に収録されていたミニゲームです。
Penn & Teller というのは、1970年代から活動しているアメリカの人気エンターテイナーで、次々と奇抜なマジックを繰り出し、人気を博していました。
そんな彼らのゲームだけあって、内容も一筋縄ではいきません。
それらのミニゲームの中でも、特に常軌を逸しているのがこの「デザート・バス」。
どのようなゲームかは、タイトルがほとんど物語っている気がしますが、早い話、砂漠の中でバスを運転するゲームです。
アリゾナ州のツーソンからネバダ州のラスベガスまでを走り続けるのですが、目の前に広がる景色はだだっ広い砂漠と一本道だけ。
乗客は一人もおらず、対向車も無し。
時々、小さな岩と標識が通過するだけです。
操作は、ゲームコントローラのAボタンでアクセル、Dパッドの左右でステアリング。
時速45MPHで進むこのバスが目的地に到着するには、実時間で8時間もかかります。
しかも恐ろしいのは、途中でトイレに行きたくなったりしてSTARTボタンを押してもポーズはかからず、代わりにクラクションが鳴るだけ。
つまりこのゲーム、中断が出来ません。
しかし、冷静に考えれば、Aボタンさえ押しておけばバスは勝手に進んでいくわけだから、ボタンの上に重しでも乗せておけば放置プレイでクリアできるようにも思えます。
ところが……。
実はAボタンを押しっぱなしにしているだけだと、徐々に車体が右にずれていくのです。
そして、道路から外れてしまうとレッカー車でスタート地点まで戻されます。
しかも、そこまで来るのと全く同じ時間をかけて…。
ということは、無事にラスベガスまでたどり着こうと思えば、どうあってもモニターの前に座って8時間バスを運転し続けねばならないのです。
こんな鬼畜なゲームが他にあるでしょうか。
↑ ↑ ↑
コレを8時間続けねばならない!
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2 で、8時間かけてゴールすると…
そして、なんとか目的地にたどり着くと何が待っているのかというと、「1ポイント」もらえるのみ。
繰り返しますが、「1ポイント」もらえるだけです。
その後は、またツーソンまで戻って再びラスベガスを目指すことの繰り返し。
ちなみにポイントは最大で99まで貯まりますが、それを実行しようとうすると、実に33日間もぶっ通しでゲームを続けねばならないという…。
実に恐ろしいゲームです。
3 このゲームの真の意図とは…
そもそも、Penn & Teller の二人は、何故このような奇妙なゲームを企画したのか。
実は、当時アメリカでは、リアリティを追求したゲームが社会的に問題視され始めていました。
暴力的な内容のものが多かったためです。
その風潮に対する彼らなりの見解が、この「デザート・バス」なのだとか。
リアリティを追求したからといって、それが取りも直さず「暴力的」であるとは限りません。
その証拠に、リアルそのものと言える「デザート・バス」には、何の暴力性も無いのです(面白さも無いけど)。
結局は、ゲームの作り手の意識が問題なのであって、ゲーム自体が非難されるのはおかしい、ということのようです。
ちなみにこのゲーム、現在では「Desert Bus for Hope」という名前で、毎年チャリティー企画として利用されています。
4 最凶のクソゲー『クレイジー・バス』
鬼畜ゲームの王者はこの「Desert Bus」でほぼ確定といっていいと思いますが、奇しくも同じ「バスゲー」で、「最凶のクソゲー」の称号を与えるべきゲームがあります。
それが、
「Crazy Bus」
です。
2004年にセガの「ジェネシス(日本名:メガドライブ)」というハードで発売されたゲーム。
どういうわけか、変なゲームはセガのハードから出ることが多いですね。
開発したのはベネズエラの会社。
ソフトのパッケージ裏の説明にはこう書かれてあります。
クレイジーバス!
それは、クレイジーにバスを運転できるゲームだ!
バスってクレイジー?
あなたはクレイジー?
そんなこと気にせず、とにかく運転しようぜ!
右から左へ、左から右へ、自由に動かせるぞ!
クラクションだって鳴らせる!
まさにクレイジー!
〈サイコなBGMにまず戦慄を覚えます〉
そして、ゲームをスタートさせるとバスが現れ、コントローラーを使って前進またはバックさせるだけ。
パッケージの説明の通り、クラクションも鳴らせます。
これを「ゲーム」と呼んでいいのなら、間違いなくクソゲーのラスボスといっていいでしょう。
ところで、このゲームが発売された2004年というと、日本では、
ドラゴンクエストVIII
ピクミン2
メタルギアソリッド3
Halo 2
などがヒットした年。
その時代にこのクオリティのゲームを開発していたのだからスゴイ。
ちなみにこのゲームは、現在チャリティーにも何も利用されてはいません。
ただのクソゲーとなっています。
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