本当に危険な物
というのは、一見してそれが危険だと分からないことがあります。
何の問題も無いと思って使ってきたものが、実は非常に危険だったと判明したとき、運が悪いと、すでに深刻な事態が生じているかもしれません。
危険度ゼロのように思える物は、それを扱う者が油断しているだけに、非常に危険な要素をはらんでいるとも言えます。
今回は、そんな油断ならない意外なモノをご紹介しましょう。
〈originally posted on October 17,2018〉
1 鼻ピアス
耳にピアスをしている人は珍しくはないですが、耳以外にピアスをしている人とは滅多に遭遇しません。
しかし、ピアスが好きな人は、鼻や口、瞼などにピアスをすることもあるでしょうし、特定の業界では鼻ピアスが常識ということもあるかもしれません。
ピアスの場所が耳だろうと鼻だろうと、同じピアスなのだから、鼻ピアスが何か問題を生むということも無さそうですが……。
実は、そうとも言い切れません。
鼻や口にピアスをすると、顔面の三叉神経にダメージを与えるという報告があるのです。
三叉神経は、顔の感覚などに関係している神経で、ここにダメージが与えられると、小脳と前庭神経核が影響を受けます。
で、早い話、何が起きるのかと言うと、目が「寄り目」になり、その結果、体のバランス感覚がおかしくなります。
鼻ピアスをすれば誰でも必ずそうなるというわけではないですが、しかし、その危険性は確実にあるのです。
2011年、フランスで行われた研究において、顔にピアスをした被験者がめまいや頭痛、そして、体のバランスがおかしいといった症状を訴えていたのですが、ピアスを外してみたところ、それらの症状があっさり無くなりました。
しかし、その数分後に再びピアスをしてみると、症状も復活。
ピアスを外せば症状が改善するという意味では、危険度は低いということになりそうです。
しかし、顔面にピアスをしまくって道を歩いているとき、なぜか千鳥足になることが多くなったら、早めにピアスを外すべきでしょう。
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2 ネクタイ
会社勤めの男性なら、ほとんどの場合にネクタイは必須アイテムです。
ネクタイを締めると、気持ちも引き締まる感じがするという人もいるでしょうし、ビジネスマンがお洒落にこだわることのできる数少ないポイントの一つでもあります。
しかし、ネクタイにも危険は潜んでいるのです。
単純に考えて、ネクタイを締めるということは、首回りが圧迫されるということ。
その結果、頭部への血流が阻害されます。
そしてそれが、眼球の内圧を上昇させることにつながります。
その状態が、一日に8時間、9時間、10時間…と続くとどうなるか。
緑内障の原因になります。
ご存知のように、緑内障は、治療が遅れると失明の可能性がある深刻な病気。
2003年にイギリスの学術誌で発表された研究では、健康な男性20人と、緑内障の傾向がある男性20人に対し、3分間だけネクタイを「ほんの少しだけ強く」締めるように指示しました。
すると、健康な男性の70%、緑内障の傾向がある男性の60%について、眼球の内圧上昇が見られたのです。
少し強めに締めただけで、これだけの変化が眼に現れます。
もちろん、普段ネクタイをしている人は、それだけで緑内障予備軍になる運命が待っているということではありません。
しかしながら、ネクタイをキツく締めた状態で一日の仕事をこなすといった生活を何年も続けていると、眼に悪影響を与えるのは避けられないと考えた方がいいでしょう。
3 美容室(の洗髪)
1990年代、アメリカで、63歳の女性が美容室にいるとき、突然めまいや吐き気を感じ、その場で嘔吐するという出来事がありました。
医師たちは、彼女の胃腸の調子が悪かったのだろうと推測したのですが、彼女の症状は数日間続き、体を動かすときに違和感を覚えるまでになったのです。
実はこの症状、「美容室発作症候群」という極めて珍しい症状でした。
美容室で洗髪してもらう際、頭がシンクの上になるように首を後ろに傾けますが、このとき、首の動脈が引き伸ばされ、それにより脳への血流量が減少します。
そしてこれが、めまいなどの症状を引き起こすのです。
ただし、専門家によれば、この症状が見られるのはかなりレアなケースとのことなので、美容室に行って洗髪中に気分が悪くなり始めたら、むしろ激レアイベントに遭遇したと思った方がいいでしょう。
4 照明
仕事を終えて帰宅すると、毎日のように頭痛が襲ってくる。
仕事に関して何か悩みを抱えているわけでもないのに、どういうことなのか。
こういう場合、ひょっとすると職場の照明が頭痛の原因かもしれません。
特に、社屋が古い場合は要注意です。
というのも、昔のビルは、夜でも昼と変わらないくらい、あるいはそれ以上の明るさを保つように照明器具を設置していることが多かったのです。
そして、必要以上に明るい人工の光は、人体に色々と悪影響をもたらします。
具体的には、頭痛を始めとして、疲労感、ストレス、不安、心疾患、勃起不全など。
最後のものは決して笑い事ではなく、例えば、職場で過度の疲労やストレスを感じ、さらに、奥さんとの夜の生活が上手くいかず、それがまたストレスになるという悪循環になる危険性があります。
このような健康被害が生ずる原因は、我々の体は基本的に太陽光だけに反応するように出来ているからなのだとか。
太陽光よりも明るい人工的な光を浴び続けると、どういうわけか人間の脳は、逆に暗闇の中にいるのだと勘違いし、それが不規則な睡眠時間につながり、さらには体調の乱れを生むのです。
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5 「ポジティブに考えよう!」と言う人
今ここに、プロのテニス選手を目指して頑張っている学生がいるとします。
しかし彼(彼女)は、努力してはいるものの、なかなか良い結果が出せないでいる。
本人も、このままではプロになるなど夢のまた夢であると薄々気づいている。
と、そこへ「熱すぎる男」が登場して、その学生を励まし始めます。
「お前の力はそんなものじゃない」
「お前が本気を出せばトップに立つのも夢じゃない」
「だからもっとポジティブになれ!!!」
このような熱い激励は、多くの人に勇気を与えるでしょう。
しかしその一方で、全く逆効果になってしまうタイプの人がいることも忘れてはなりません。
それは、自己評価が低いタイプの人です。
自分の能力の限界を知っている(あるいは知ったつもりでいる)人とも言えます。
こういうタイプの人に、ポジティブに考えれば何事も上手く行く、などと諭すと、かえって気分が落ち込む可能性が高く、最悪の場合はうつ病や自殺につながります。
何故なら、ポジティブに考えれば困難な状況を打開できる、などというのは完全な嘘っぱちであり、本人が誰よりもそれをよく理解しているから。
ポジティブになれ、と励まされることで、ポジティブになっても何も変わらないという現実をかえって再認識させられるのです。
では、こういうタイプの人は一体どうすればいいのか。
『ハピネス・アット・ワーク』などの著書がある、作家・組織コンサルタントのスリクマー・ラオ氏によると、自分の身に起きたことに対し、いちいち「良い」「悪い」の評価を加えないことが重要なのだそうです。
例えば、横断歩道を渡っているとき、信号無視の車に衝突されて、脚を骨折したとしましょう。
これは、普通に考えれば「悪い」出来事です。
しかし、この事故が「良い」か「悪い」かは別にして、自分のやるべきことは決まっています。
病院で治療を受けて、加害者に損害賠償請求する。
それだけです。
この事故を「良い」と評価しようが「悪い」と評価しようが、それは変わりません。
ところが、「悪い」という評価が頭から離れないでいるとどうなるか。
「何で自分だけがこんな不幸な目に遭うのか」
「いつも悪いことばかり起きる」
「自分の人生は呪われているのか」
こういったネガティブな思考が脳内を占拠し、それは重い負担となって自分を苦しめ続けます。
これを避ける方法は、最初から「良い」「悪い」の評価をしないこと。
事故に遭ったことをポジティブに捉える必要も無ければ、ネガティブに捉える必要もありません。
自分の身に降りかかったことを踏まえて、次にどういう行動を取るべきかだけを考えるのです。
「ポジティブに考えよう」という言葉は、確かに聞こえは良いですが、誰にでも効果のある特効薬ではありません。
時には、言われた者をネガティブのどん底に突き落とす可能性があることに注意すべきでしょう。