新型コロナウイルスの影響で、多くの人の生活が一変しましたが、今後、ウイルスの影響が弱まるに連れ、生活も徐々に以前の状態に戻っていくことでしょう。
しかし、特に戻す必要が無いと思えるものもあります。
例えば、テレワーク。
海外の企業の中には、都市封鎖下で行っていたテレワークを、この先も、ウイルス感染とは無関係に続けていくことを決めたところもあるとか。
テレワークでも十分に業務が可能であることが分かったので、折角だからそれを維持しようというわけです。
日本でもこういう企業が増えれば、社員はプライベートの時間が増え、通勤時の混雑も緩和され、大きなメリットとなりえます。
一方で、一日も早く以前の状態に戻ってほしいものがあります。
それは、ウイルス対策に必要な各種商品の価格。
通常なら数百円で手に入る消毒液が、今でもAmazonでは5千円近くで売られていたりしますから……。
〈originally posted on May 16,2020〉
1 マクドナルドのストローが13万円
昨年の春、イギリスで、マクドナルドのプラスチック製ストローが、1000ポンド(約13万円)というボッタクリ価格で、オークションサイトに出品されました。
特別なストローというわけではなく、マックシェイクを注文すると付いてくる、普通のストローです。
ちなみに、未使用の新品。
何故こんなものが1000ポンドで売られていたのか。
実はこの時期、イギリスのマクドナルドは、エコフレンドリーを目指して、店内で提供するストローを、紙製のものに変更しました。
ところが、これがほとんどの客に大不評。
ドリンクを飲んでいるうちに、ストローが水分を吸収してグニョグニョになり、使いにくいことこの上ないからです。
そこで、ある男性が、マクドナルドに対する抗議の意と皮肉を込めて、激レアアイテムとなったプラスチック製ストローを出品したというわけ。
それにしても、ストロー1本に13万円は、いくら何でも高すぎです。
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2 食べかけのサンドイッチが235万円
2004年、米国フロリダ州在住の、ダイアン・デュイサーという女性が、食べかけのグリルチーズ・サンドイッチを出品しました。
価格は約2万2千ドル(235万円)。
驚くべきは価格だけではありません。
このサンドイッチ、出品された時点で、作られてから10年が経過していました。
とっくの昔に消費期限切れです。
ちなみに、ダイアンは有名人でも何でもなく、ごく普通のおばさん。
そんな人が齧った10年もののサンドイッチを、2万2千ドルで出品するのは、ちょっと狂っています。
ダイアンの主張によると、このサンドイッチは、表面の焦げ目が、ちょうど聖母マリアのように見えるのだとか。
それによって神秘的な力を宿しており、10年経ってもカビが全く生えていないとのこと。
さらに、このサンドイッチを持っていたおかげで、彼女はカジノで運気が炸裂し、日本円にして600万円近くもゲット。
要するに、そんじょそこらのサンドイッチとは訳が違うというのです。
ギャンブルで600万円を稼げる保証があるなら、235万円を出す価値はあるでしょうが、そんな保証は勿論ありません。
3 新鮮な空気が一瓶1万円
普通よりもちょっとキレイな水をボトルに詰めれば、それはミネラルウォーターとして売ることが出来ます。
それならば、普通よりもちょっときれいな空気も、ボトルに詰めれば売れるはず。
そう考えたのが、イギリス人実業家のレオ・デ・ワッツという男性。
彼は、イギリスが誇るキレイで新鮮な空気を580mlのボトルに詰め、イギリスとは逆に大気汚染に苦しむ中国の人たちに販売し始めたのです。
それぞれのボトルは、約10分間自然の中に放置し、細かい草や虫などが混入していないかをチェックした上で蓋をします。
気になるお値段はなんと、1本80ポンド(約1万円)。
イギリスの空気がいかにキレイだとは言え、所詮はただの空気。
こんな物に1万円も払う人が果たしているのか、と思ってしまいますが、2016年の時点で200本を販売したとか。
実際にこの瓶の蓋を開けると、都会暮らしでは絶対に味わえないような、清涼感のある香りが鼻腔をくすぐるそうです。
ただし、その感覚は、蓋を開けて数秒間で消え失せますが……。
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4 手指の消毒ジェルで一儲けを目論んで、人生終わった男
米国テネシー州在住のマット・コルヴィンという男は、筋金入りの転売ヤー。
かれこれ10年以上も、兄のノアと共に転売によって生計を立てていました。
そんな彼が、新型コロナウイルスの感染拡大を利用しないはずがありません。
今年の3月1日、アメリカ国内で初めて新型コロナウイルスによる死者が報告されたとき、彼はすでに、複数の州をトラックで移動し、薬局や雑貨店を巡って、手指の消毒ジェルを買い漁っていました。
そうやって集めた数は、なんと18000個。
流石に、10年のキャリアがある転売ヤーは、桁が違います。
国民の誰もが消毒ジェルを必要とする中、彼はそれを1個最大70ドル(約7500円)の値段を付け、とりあえずAmazonで300個を販売。
仮に、全てが70ドルだとしたら、21000ドル(約225万円)の売上げです。
この時点で、彼の倉庫には、消毒ジェルがまだ17700個もストックされている状態。
買い占めた18000個の全てが70ドルで売れれば、売上げ総額は126万ドル(約1億3500万円)。
恐らくコルヴィンは、ニヤニヤが止まらなかったことでしょう。
消毒ジェルの転売だけで億万長者。
真面目に働くのがアホらしくなる次元の話です。
しかし残念ながら、ここから彼の地獄が始まるので、今これを書いている筆者のニヤニヤが止まりません。
コルヴィンは、Amazonの他に、オークションサイトの「eBay」でも、日常的に転売を行っていました。
これらのサイトでは、彼のように、ウイルス対策の商品を法外な値段で売る転売ヤーが急増。
サイト側には、そういった出品者の得た利益の一部が入ります。
これにより、AmazonやeBayに対する世間の批判は日に日に強くなっていったのです。
そこで、両サイトは、新型コロナウイルスに関連した商品によって暴利を貪ろうとする出品者に対しては、出品を禁止し、悪質な場合はアカウント停止という措置を取る方針を打ち出しました。
この瞬間、コルヴィンの倉庫にある17700個の消毒ジェルは、もはやAmazonやeBayでは販売できなくなったのです。
さらに、悪辣な転売ヤーたるマット・コルヴィンの名はネット上で拡散し、”特定班”によって住所までさらされる始末。
彼の家には、脅迫文が届いたり、夜中に不審者が現れたりしたとか。
これだけでも踏んだり蹴ったりですが、コルヴィンの悪夢はまだまだ続きますので、筆者はニヤニヤが(以下略)。
数日後、テネシー州の司法長官を務めるハーバート・スラタリー氏が、コルヴィンの行為は、不当な価格釣り上げに当たり、同州の法律に違反する可能性があるという見解を発表。
違法だと認められれば、1000ドル以下の罰金に加え、懲役刑もありえます。
その法律によると、具体的には、
「災害の発生に便乗して、生活に必須である商品・サービスに法外な価格を付ける行為」
が、処罰の対象です。
「災害の発生」とは、この場合は緊急事態宣言が出されることと解釈できるので、宣言後の転売行為のみが違法となりえます。
しかし、テネシー州において緊急事態宣言が出された3月12日には、彼は既にAmazonから出品を禁止されていたので、「災害の発生に便乗した」という要件を満たさず、(残念ながら)この法律に触れることはありませんでした。
その後、コルヴィンは、ネットでの販売を諦め、地元住民に手ずから売りさばこうと考えたのですが、すでに「アメリカ国民の敵」となっていた彼に、それは無理な話です。
このままでは、17700個の消毒ジェルを死蔵することになるのは必至。
そこでコルヴィンは、せめて名誉だけでも挽回すべく、ストックされた大量の消毒ジェルを、教会のボランティアに無償で寄贈しました。
とは言うものの、このときの彼は、AmazonとeBayからアカウント停止処分を食らっており、転売ヤーとしての生活の手段を失った状態。
今頃は、就職活動を経て、まっとうな職に就いているのかも知れません。
それにしても、日本のAmazonやヤフオクに比べ、悪質な転売ヤーに対するアメリカのAmazonやeBayの対処の速さが羨ましい限りです。