カルシウムが手軽に摂取できる飲み物と言えば。
もちろん、牛乳です。
牛乳について、今さら知るべきことなどない、と思う人が多そうですが、意外なことに、牛乳には興味深い雑学がいろいろあります。
今回は、我々の生活に最も身近な食品の一つであるミルクに関する、新常識の数々をご紹介しましょう。
牛乳は総合栄養食品だと信じて日頃から積極的に飲むようにしている人は、その考えを改めた方がいいかもしれません。
〈originally posted on September 23,2015〉
1 牛乳の飲み過ぎはキケン
骨を作るにはカルシウムが必要。
そして、牛乳はカルシウムを豊富に含んでいる。
となれば、毎日牛乳を飲むことが骨を強くする、と考えるのはごく自然なことでしょう。
しかし、話はそう単純ではないのです。
近年、スウェーデンのアプサラ大学が、男女合わせて約10万人を対象に行った調査によると、牛乳を飲むことは「死亡率」と「骨折率」の両方を高めるそうです。
この驚きの発表について、イギリスの国営放送であるBBCが、この研究の主任を務めたカール・マイケルソン博士にインタビューを行いました。
そこで明らかにされたのは、牛乳を大量に飲むと、それに含まれる「ラクトース」と「ガラクトース」が体の老化を早める可能性があるということ。
興味深いことに、同じ乳製品でありながら、ヨーグルトはこの傾向が弱いのです。
その理由は、ヨーグルトを作る際の「発酵」過程がラクトースを激減させるからだとか。
また、ハーバード大学の25年に渡る研究結果が示す所によれば、牛乳の摂取によって骨粗しょう症が抑制できるという確かな根拠は無いのだそうです。
さらに、多量の牛乳を日常的に飲むことは、前立腺ガンや卵巣ガンのリスクを高めるとも言われています。
同大学の結論としては、毎日グラス1杯程度の牛乳を飲むのは、カルシウムの補給源としては悪く無いが、それ以上の量を摂取することは、かえって健康上のリスクを高めるということです。
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2 大人は牛乳を飲むのに向いていない
先ほどの記事を読んだ方の中には、こういう疑問を感じた人もいるかもしれません。
牛乳が体に悪いのなら、なぜ赤ん坊は母乳を飲むのか、と。
実は、赤ん坊の体内では、母乳の中に含まれるラクトースを消化する酵素が作られるのですが、離乳期を過ぎてしまうと、この酵素が作られなくなるのです。
ということは、大人は基本的に牛乳の中のラクトースを消化することが出来ず、そのラクトースが身体に色々な悪影響を及ぼす、というわけ。
別の言い方をすれば、大人は牛乳を飲むのに向いていないということになります。
しかし、これには大きな例外がありまして、ヨーロッパやアフリカ、インドに住む人たちは、遺伝的にラクトースを消化する酵素が、大人になっても作られ続けるのだそうです。
3 母乳を飲んで筋肉増強?
最近、海外において一部のボディビルダーの間で静かな流行になりつつあるのが、母乳を飲むこと。
ボディビルダー達は、効率良く筋肉を付けるために、「プロテイン」を飲むわけですが、母乳はプロテインよりも効果的だという説があるのです。
それを信じている人たちが、毎日母乳を飲んでは筋トレに励んでいるのですが、ではその母乳は一体どこから手に入れるのか。
実は、カリフォルニアに住む夫婦が運営している、母乳を売買できるサイトから購入しているそうです。
しかし、専門家によれば、母乳には確かにビタミンやミネラル、タンパク質などが含まれているものの、あくまで赤ん坊が成長するためのものなので、大人が飲んだ場合の効果については疑わしいとしています。
4 音楽で牛乳の生産量アップ
2001年にイングランドのレスター大学で行われた研究によれば、ゆったりとしたテンポの音楽を流した状態で牛の搾乳を行うと、作業効率が3%も上がり、より多くの牛乳が得られるのだそうです。
その理由としては、音楽が牛をリラックスさせるからではないか、と考えられています。
ただし、この点に関しては異議を唱える専門家もいまして、音楽の効果というよりは、単純に搾乳機械の不快な音がかき消されることが原因ではないか、とも言われています。
5 赤ん坊の性別で母乳が変わる
アメリカのミシガン州立大学が行った研究によれば、母乳は、男の子を出産した場合と女の子を出産した場合とで、その成分が変わるのだそうです。
具体的には、男の子の場合の方が、脂肪分が多く含まれているのだとか。
さらに、母乳の中身は赤ん坊の性別だけではなく、母親の生活環境にも影響される可能性があると見られています。
こういった違いが何故生じるのかは学者の間でも意見が別れており、まだ定説は無いようです。
6 男が乳を出すのは可能か
おバカな見出しだと思われた方もいるでしょうが、実はそれほど馬鹿げた話でもないのです。
人間が乳を出すには「プロラクチン」というホルモンが一定量必要なのですが、男性の体にもこの物質は存在します。
問題はその「量」で、もう少しプロラクチンの量が多ければ、男性でも乳は出せるのです。
では、そのプロラクチンを増量させるにはどうすればよいかというと、「脳下垂体腫瘍を患う」「飢餓状態になって肝臓にダメージを与える」「薬物を使う」などがあるのですが、どれもこれも気軽に実行できる手段ではありません。
しかし、今からでもすぐに実行できる方法もあるのです。
それは、乳首を揉むというもの。
ウソのようですが、男性でも乳首をマッサージすることで、プロラクチンの量が増えるのだそうです。
とはいっても、やはり男性が乳を出すのは現実的ではないですね。
ちなみに、動物界でオスが乳を出す現象が確認されているのは、ダヤクオオコウモリやヤギ、モルモットなどです。
7 「魔女のミルク」とは
ごく稀に、生後3日以内の赤ん坊の胸から乳が出る現象が見られ、これは一般的に、
魔女のミルク(Witch’s Milk)
と呼ばれています。
妊娠中に母親の体内では大量の「エストロゲン」が分泌され、これが授乳に備えて乳房を大きくする役割を担っているのですが、まれにこのエストロゲンが胎児の体に流れ込んでしまうのです。
その結果、乳房が張った状態の赤ん坊が生まれ、乳が出ることがあるそうです。
これ自体は特に心配するようなことではなく、数週間もすれば元に戻ります。
では、なぜ「魔女のミルク」などといった物騒な名前が付けられたのか。
それは、魔女が恐れられていた中世では、赤ん坊から乳が出るのは、魔女が人間の赤ん坊を使って、使い魔に乳を与えるためだと信じられていたからです。
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