コロナ禍の現在、多くの企業で、テレワークの必要性が高まっているのはご承知の通り。
休日の過ごし方も、外出をできる限り控えることが重要になってきています。
しかし、自宅で過ごす時間が長くなると、どうしても、気分が暗くなりがち。
そんなとき、気分を明るくしてくれるのが、お笑い番組です。
漫才やコントなど、多くのネタ番組を観ていれば、外に出かけずとも、笑って明るく過ごすことが出来るでしょう。
ただ、世の中には、少々のことではクスッとも笑えない、厄介な人間がいるのです。
その一人がワタクシ。
今年の正月は、ほぼ全てのネタ番組で、数多くの芸人さんのネタを見まくりました。
爆笑問題、サンドウィッチマン、ぺこぱ、ミルクボーイ、中川家、かまいたち、などなど。
正月くらい笑って過ごしたいので、笑う気満々で見たのですが、しかし笑えない。
こんなことを書くと、自分の笑いのレベルが高いという自慢でもしたいのか、と誤解されそうですが、そんなつもりは微塵も無いのです。
腹の底から笑いたい。
腹筋崩壊するくらい爆笑したい。
ただそれだけの願望なのですが、私の場合、これを実現するのが恐ろしく難しい。
そんな生活を送っている人間が、今回は、笑いの無い日常にまつわる話をご紹介します。
〈originally posted on January 10,2021〉
1 笑うことが出来ない少女
1907年、ニューヨークにある「パラダイス・ルーフガーデン」という劇場に、ソウバー・スーという芸名の少女がいました。
彼女に与えられた役割は、見物客たちの前で椅子に座り、ただじっとしていること。
これだけで、スーには週に20ドルの給料が支払われていました。
これは、現在の貨幣価値で、約63000円。
ただ座っているだけの少女が何故これだけの金額を稼いでいたのかというと、彼女には、何を見ても決して笑わないという特徴があったからです。
劇場側は、彼女を笑顔にすることが出来た者には100ドル、さらに、声を出して笑わせることに成功した者には1000ドル(現在の価値で約315万円)を進呈すると豪語していました。
この噂を聞いて、アメリカ国内のあらゆる地域から、腕に覚えのあるコメディアンやパフォーマーたちが劇場を訪れ、スーを笑わせようとしましたが、彼女が笑うことは遂に一度も無かったとか。
それもそのはず、スーは、顔面の神経マヒのため、物理的に笑うことが出来なかったのです。
劇場側はそれを承知の上で、彼女を見世物として利用していました。
その後、スーを見世物とすることについて、劇場に禁止命令が下されることに。
本名をケリー・スーザンというその少女は、こうして、見世物の生活から解放されたのです。
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2 笑う門には免疫力
笑わないことのデメリットは、逆から見れば、笑うことのメリットでもあります。
笑うことのメリットは山ほどありますが、我々の健康にとって重要なのが、免疫機能の向上です。
2003年に行われたある研究では、女性だけの被験者について、笑いが免疫機能にどういう影響を与えるかが調べられました。
被験者は皆、実験の過程でコメディ番組を観たのですが、単純にコメディを観たというだけでは、免疫機能に目立った変化は見られず。
しかし、コメディ番組を見て、それを面白いと感じた女性たちについては、免疫機能にとって重要な「ナチュラルキラー細胞(NK細胞)」が増加していたのです。
一方、コメディ番組をつまらないと感じた女性については、NK細胞の減少が見られたとか。
これらの結果を踏まえると、普段からお笑い番組を観て、よく笑う人は、そうでない人よりも免疫機能が優れていると言えそうです。
逆に、何を観ても笑えない人間は……。
3 男と女、面白いのはどっちだ
筆者のように、笑いの乏しい生活を送っていると、笑いに対して常に飢餓状態になります。
よって、テレビのお笑い番組は、なるべくチェック。
毎年放送される、『M-1グランプリ』のような大きなネタバトルの大会は、録画しておいて必ず観ます。
この番組で優勝の栄冠に輝くことは、全てのお笑い芸人にとって、いつかは達成したい目標の一つでしょう。
しかし、2001年から始まった『M-1』において、女性だけのコンビで決勝戦に残ったのは、執筆時点で、2005年のアジアン、2006年の変ホ長調、2009年のハリセンボンの3組のみ。
さらに、それぞれの最終順位は、8位、8位、9位となっています。
男性コンビの方が、女性コンビよりも数が多いのが一因なのは間違いないですが、それにしても、20年に及ぶ『M-1』の歴史の中で、決勝進出の女性コンビがたった3組(ここ10年ではゼロ組)というのは、何か他に原因があるのか。
日本のお笑い界には、男尊女卑の風潮があるのでは、と疑う人もいるかもしれませんが、少なくとも、科学的に見て、原因は別のところにあるようです。
イギリスのアベリストウィス大学とアメリカのノースカロライナ大学が行った研究によると、人を笑わせる能力は、男性の方が優れている面があります。
その研究で行われた実験では、男女の参加者に、予め用意された漫画の一コマに、面白いキャプション(説明文)を書いてもらいました。
その後、それらについて、書いた人の性別が分からないようにした上で、第三者に面白さを評価してもらったのです。
すると、全体の63%につき、男性の書いたものの方が、女性の書いたものよりも面白いという評価が。
女性にとってはちょっと不愉快な結論かもしれませんが、男性の方が、人を笑わせる能力は上ということになります。
しかも、この研究を行ったジル・グリーングロス博士によると、上記の結果は、国を問わず当てはまるとのこと。
もちろん、これはあくまで「平均的に見て」という話であって、男性の誰もが女性より面白いというわけではありません。
では、男性の方が、笑いのセンスに関してアドバンテージを持っているのは何故なのか。
その理由は、人類の進化の過程と関係があるそうです。
人類がまだ狩猟・採集の生活を送っていたころ、女性は、ユーモアのセンスが高い男性を好む傾向がありました。
ユーモアのセンスが高いことは、知性が高いという印象を与え、知性の高さは、生存率の高さに直結していたからです(頭の悪い男は危機を回避できません)。
つまり、少しでも面白い男と結ばれた方が、家族が生き残る確率も上がるということ。
その一方で男性は、自分のユーモアで笑ってくれる女性を好みました。
こうしたことから、男性は、女性の気を引くために、他の男に負けないように笑いのセンスを磨く必要があったのです。
これが、男性の方が、ユーモアの能力が高い理由。
さらに、女性の方が不利な点がもう一つあります。
2006年にアメリカのマイアミ大学で行われた研究によると、男性は、面白い女性よりも、その男性のことを面白いと思う女性を好むのだとか。
これが真実なら、いつもギャグが冴えまくって周りを爆笑の渦に巻き込む女性は、残念ながら、男性にはモテない可能性が高いということになります。
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4 不謹慎な笑いの恐怖
普通の人なら爆笑間違いなしのお笑い芸人たちのネタを、何本観ても笑えない人間は、一体何を観れば笑えるというのか。
そういう変わり者は、むしろ普通の人が絶対に笑わないようなことなら笑うのか。
例えば、不幸な事故のニュースとか。
人の不幸を笑うというのは、言うまでもなく、かなり不謹慎な行為です。
人前でそんなことをしたら、人間性を疑われかねないでしょう。
それだけではありません。
イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで行われた研究によれば、災害や事故など、不幸な出来事を報じるニュースを観て思わず笑ってしまう状態になったら、それは認知症の兆候かもしれないとのこと。
認知症の兆しとしてよく知られているのは、物忘れなどに現れるような、記憶力の減退です。
しかし、不謹慎な笑いが自然に出てしまうようになったら、脳が危険な状態にあるサインと言えるかも知れません。