昔のお父さんたちは、トイレでよく新聞を読んでいました。
今ではスマホが新聞に代わってトイレのお供となっています。
トイレの中というのは何となく気分が落ち着きますし、スマホで情報をチェックしつつ、思索にふけるにはピッタリでしょう。
しかし、この行為、果たして衛生面で大丈夫なのでしょうか。
〈originally posted on October 25,2018〉
1 所詮トイレはばい菌だらけ
トイレの中で人の手が触れる場所は、基本的にばい菌が付着しています。
例えば、ドアノブや便ふた、トイレットペーパー・ホルダー、水を流すレバー、温水洗浄トイレの操作パネルなど。
よって、トイレに入り、便座に座ってスマホをいじると、ある程度はトイレの中のばい菌が、手からスマホに移動します。
ということは、この時点ですでに衛生的にはあまりよろしくないわけです。
では、なるべくスマホに被害が及ばないようにしながら用を足すにはどうすればいいのか。
衛生学が専門のリサ・アッカーリー博士によると、便座に腰掛けて、まず利き手でスマホを操作し、そしてもう一方の手にスマホを持ち替えてから利き手でお尻を拭き、後は利き手以外でトイレ内の物に触れないように注意しつつ、手を洗えばよいとのこと。
多少ツッコミ所のあるアドバイスですが、スマホにトイレ内のばい菌をなるべく付着させないようにするには、それくらいしか手段が無いようにも思えます。
ちなみに、お尻をペーパーで拭いてから、その手でスマホを触ると、ばい菌が大量にスマホに付いてしまうので、そのあと手を洗ったところで、そのスマホを掴んだ瞬間に手がばい菌だらけになります。
よってこの場合、手を洗う意味があまりありません。
ロンドン大学クイーン・メアリーのロン・カトラー教授によれば、ばい菌が気になるなら、そもそもトイレでスマホをいじるべきではないとのこと。
まあ、これに関しては教授に言われなくても分かります。
トイレでスマホをいじらない場合でも、バッグをどこに置くかということも、公衆トイレでは問題になります。
最も危険度が高いのは、言うまでもなく地べたです。
公衆トイレでは、便ふたを閉めずに水を流す人がいますが、そのときの水しぶきはミクロのレベルで見るとそこら中に飛び散っており、当然ながら床は汚染されています。
意外なことに、荷物を置くための棚やトイレットペーパーにも細かい水しぶきはかかっているそうです。
2 ばい菌の生存期間
先ほどのロン・カトラー教授によると、スマホを使用して本体が温かくなっている場合、ばい菌が繁殖するのに最適の条件が整うので、トイレで付着した菌は2~3日は生きているのだとか。
お菓子を食べた手でそのスマホを触れば、それが栄養源となり、さらにばい菌は増殖します。
それを考えると、トイレでいじったスマホは、かなり危険と言えるかもしれません。
一方、トイレでのスマホなど恐るるに足らずという人もいます。
ロンドンスクール・オブ・ハイジーン&トロピカル・メディスンで環境衛生チームの主任を務めるヴァル・カーティス氏によれば、所詮ばい菌なんてそこら中に溢れているのだから、トイレでスマホをいじったときのばい菌だけを特別視する必要など無いとのこと。
しかも、自分の菌であれば、それで病気になることもありません。
ただし、他人の菌となると話は別ですから、公衆トイレではそれなりに衛生面に気を配るべきでしょう。
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3 便座にペーパーを敷くのは無意味
トイレでスマホを使うにせよ、使わないにせよ、身の周りのばい菌を気にしすぎると日々の生活に支障を来しかねませんし、場合によってはかえってばい菌まみれになります。
公衆トイレで用を足す際、色んな人が使用した便座に座ることに抵抗があるという人は多いでしょう。
そういう人たちの中には、トイレットペーパーをちぎって、それを便座カバーの代わりにする人がいます。
実はこれ、完全に逆効果なのです。
公衆トイレの便座は、意外なほどばい菌が少なく、一般家庭のキッチンシンクやまな板、台所用スポンジの方がはるかに汚染されているそうです。
そして、先述のように、公衆トイレに備え付けてあるトイレットペーパーには、便器内の汚水が飛び散っています。
よって、そのペーパーを便座の上に敷くのは、わざわざ自分のお尻や太腿に菌を擦りつけているようなもの。
資源の無駄遣いでもありますし、良い所は何もありません。