大学生に人気の頭脳労働アルバイトといえば、個別指導塾の講師だ。
大学からの帰りに、塾に寄って仕事が出来るので、時間的にもやりやすい。
しかし、塾講師としてデビューする上で、注意せねばならない点も色々とある。
今回は、個別指導塾にバイトを申し込む上で避けられない罠の数々をご紹介しよう。
〈originally posted on November 9,2014〉
1 科目選択で失敗するな!
アルバイトに申し込む際に、自分が指導できる科目を申告することになる。
塾側のホンネとしては、中学の科目であれば2~3科目以上、高校であれば1~2科目以上といった具合に、複数科目を担当してくれる方が有り難いのである。
よって、得意ではなくても、指導できる科目であればなるべく申告しておこう。
その方が仕事が入るチャンスも増える。
ただし、自分が苦手な科目まで頑張る必要はない。
それをやってしまうと、授業回数を重ねるごとに負担がどんどん増えていくので注意。
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2 ナメてはいけない筆記試験
ほとんどの塾では、採用の面接時に簡単な筆記試験を課す。
教科は数学と英語の2教科である場合が多いが、塾によっては数・英・国の中から2教科を選択させるようなところもある。
試験の難易度は高校入試レベルであることが普通だが、レベルの高い進学塾ではセンター試験レベルの問題が使用される。
この試験の点数だけで採否が決まるわけではないが、採用後に自分が担当を任される生徒の学年・レベルなどにはもろに影響する。
当たり前だが、高校入試レベルの問題が6~7割程度しかできていない者に、受験生の担当を任せようとする教室長はいない。
3 採用率はどうなのか?
個別指導塾のバイト採用率は極めて高い。
筆記試験がボロボロだったり、面接でひどく悪い印象を与えない限りは採用される。
基本的に、個別指導塾は大学生のバイト講師がいなければ経営が成り立たない。
ところが、大学生は、留学したいから、就職先が内定したから、などの様々な理由で突然止めてしまうことが少なくない。
そこで、そういう事態が生じても問題無く対処できるように、バイト講師は多いに越したことはないのである。
しかも、バイト講師には生徒を割り当てて初めて給与を支払う義務が発生するので、講師を採用しすぎたから経営を圧迫するなどといったことは無いのだ。
ちなみに、もともと自分が通っていた個別指導塾に、大学合格を機にバイトを申し込む人も珍しくない。
そして、この場合はほぼ100%採用される。
元生徒であれば塾のシステムはある程度理解しているだろうし、塾側もその人の性格や学力などは熟知しているので採用しやすいのだ。
これは僕の経験なのだが、ある高3生を指導していて、彼が無事に志望大学に合格した直後、講師として採用されたことがあった。
ついこの間まで、自分の「生徒」だった子がいきなり「講師」という同じ立場になるというのは、少し妙な感じがしたものだ。
4 最初のうちは稼げない
先述のとおり、個別指導塾の採用率は確かに高いのだが、良いことばかりではない。
生徒の授業を担当しないことには給与が入らないからだ。
もちろん、まともな教室長であれば、バイトとして採用した以上はなるべく授業が入るように配慮してくれる。
それでも、いきなり何人もの生徒を任されるということは、あまり無い。
最初のうちは数名の生徒を担当させてしばらく様子をみて、徐々に授業を増やしていくのが普通だろう。
当然、その講師が指導できる科目数も重要だ。
また、バイトを申し込む時期も大事で、大学卒業などで講師が多く辞めていく2~3月に申し込むのがタイミングとしてはベスト。
ちょうど辞めて行く講師の後釜に座る形になって仕事が入りやすい。
5 結局どれくらい稼げるのか
例えば、1コマ90分の授業で1800円の給与であれば、生徒を4人任された場合、1対2の授業で週2コマになるので、一月の給与は14400円である。
最初の月はそんなものだろう。
その後、順調に担当する生徒が増えて、10人になれば、週5コマの授業で一月36000円である。
ただ、実際は全てのコマがキレイに1対2にならない場合が多く、コマ数はもう少し増えると思うので、大体生徒10人で4万円弱と捉えるのがいいだろう。
真面目に仕事をして、生徒からの評判もそこそこ良ければ、比較的短期間で生徒数は10人くらいにはなる。
その状態で夏期講習に突入すれば、一気にまとまったお金が入るので、初めのうちが稼げなくても、それほど気にする必要はない。
6 自分に合った塾の選び方
単純に家や駅から近いから、という理由だけで選ぶと後悔することとなる。
塾選びで最も重要なのは、「時間外労働の多さ」だ。
ほとんどの個別指導塾の給与は、授業を何コマやっていくら、という計算方法で決まる。
つまり、授業以外の労働は給与にまったく反映されない。
それをいいことに、授業以外の種々雑多な作業をバイト講師に課す塾は極めて多い。
そして厄介なことに、時間外労働がどれくらいあるのかといった情報は、バイトの募集事項をいくら読んでもほとんど書かれていないのである。
よって、この点に関してはネットで口コミ情報を探すしかない。
さらに言えば、同じ塾でも教室によってかなり違いがある。
個別指導塾は教室長の方針が強く反映されるので、教室によってバイトに課される時間外労働の多さも異なりうる。
実際、僕が行っていた塾では、ある特定の教室だけやたらとバイトを扱き使うので、バイトがどんどん辞めていくことで有名だった。
7 中学生<<<<<高校生
ほとんどの個別指導塾で最も生徒数が多いのは、やはり中学生・高校生だろう。
小学生は、集団塾に通うケースの方が多いように思う。
そして、これはあくまで個人的な意見だが、高校生の授業を担当する方が中学生よりも数倍ラクだ。
それは何故か。
個別指導塾に通う中学生のほとんどは、「親がうるさいから仕方なく通塾している」場合が圧倒的に多いからである。
こういう生徒の場合、そもそも80~90分の授業には耐えられない。
よって、授業を成立させるだけでも一苦労なのである。
一方、高校生ともなれば、さすがに親に言われたから仕方なく……というような生徒は滅多にいない。
中学時代、親に無理矢理通塾させられていたような生徒は、そのほとんどが高校合格を機に塾を辞めてしまうからだ。
つまり、大抵の高校生は授業を受ける態度がそれなりに真面目で、講師としては純粋に勉強を教えることのみに集中できるのでラクなのだ。
極端な言い方かもしれないが、体感的には高校生の授業2コマと、中学生の授業1コマは、必要とする体力がだいたい同じ。
僕は、担当する生徒の9割が、運良く高校生だったので非常にやりやすかった。
逆に、もし9割が中学生であったなら…。
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