いつの間にか町そのものが、町とは呼べない状態になっていた。
SF映画か何かの中でしか無さそうな現象ですが、実際にこういう事例はあるのです。
今回は、そんな珍しい話をご紹介します。
確かに、町がまるごと消えて無くなる、というのは常識的には考えにくいことです。
しかし、町から人が一人もいなくなり、町自体が消滅したというべき状態になった例は確かに存在します。
〈originally posted on February 15,2016〉
1 ニューシティ・ビレッジ
とは、1980年代にニュージャージー州ウェストマイルフォードに造られた住宅地で、元々は水道局の職員が住んでいました。
ところが、1992年になってこの地区は突然無人の町と化したのです。
自治体からの公式な説明も無しに、全ての住居は入り口や窓を板で塞がれ、道路も封鎖され、町は完全に外部とのつながりが遮断されました。
家の中にはTVや家具、その他の所持品などがそのまま残されてあったそうです。
この町が不可解な運命を辿った原因については様々な憶測が生まれ、一説には放射能汚染によるものだと言われていました。
さらに、そのような危険な状況を作ったのはカルト教団ではないかという噂まであったのです。
真相は未だに明らかになっていませんが、現在ではこの町に「悪魔の路地」というニックネームが付けられています。
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2 アンギクニ湖の村
カナダのキヴァリク地域にあるアンギクニ湖の近くには、イヌイットの住む小さな村がありました。
毛皮を獲る目的の猟師たちがここを通るときは、村人から温い歓迎を受けたそうです。
ジョー・ラベルという男性もそんな猟師の一人だったのですが、1930年に彼がこの村を訪れると、村全体が放棄されていました。
村の住人は、家の中に食べ物や調度品などを残したまま姿を消していたのです。
火にかけられたままの鍋もあったため、計画的に住居を移転したというよりは、突然消えたという感じだったようです。
奇妙なことに、村の墓地が何者かに荒らされた形跡があったとか。
カナダの騎馬警察隊の調査よれば、村人たちが消えたと思われる時期に、空に不思議な光を見たという報告が複数あったそうです。
3 オードリーズ・タウン
オードリーズ・タウンは、北アイルランドのキャッスルウォード領内にあった小さな町で、19世紀半ばまで約250人が住んでいました。
過去の文献を調べてみると、1834年の時点では地図にオードリーズ・タウンの存在を確認できるのですが、1859年になるとこの地域一帯が森林として記載されているのです。
人口の少ない町とはいえ、地図上から完全に消えてしまった理由は何なのか。
それは、領主の妻が景観を良くするために町の住人を全員追放したためと考えられています。
正式な記録には残っていないものの、全ての住人が「ローズ号」と名付けられた船に乗せられて町を出て行ったとされているのです。
オードリーズ・タウン消失の謎を追っている歴史研究家の中には、このローズ号は途中で沈没してしまった可能性が高いと指摘する人もいます。
4 ロアノーク島
ロアノーク島は、新世界(南北アメリカおよびその周辺諸島)において、16世紀にイングランドが最初に植民地化を試みた島です。
1587年に115人の入植者がこの島に到着したのですが、食料不足に加え、インディアンによる襲撃の危険などといった不安要素がありました。
この地の指揮官であったジョン・ホワイトは、入植者たちの強い要請を受けて食料などの調達のために一旦イングランドへ戻ります。
それから3年後、戦争のため当初の予定より大幅に遅れてホワイトがロアノーク島に到着すると、島にはもう誰もいませんでした。
完全に人の気配が無くなった島のなかで、入植者が消えた謎を解く唯一の手掛かりが、木に刻まれた「CROATOAN」という言葉。
これは、ロアノーク島の南に位置する島のことを指しており、入植者たちがそこへ移転した可能性も考えられたのですが、結局真相が明らかになることはありませんでした。
5 オエフ・ヴェルジ
町が消滅したという事例で最も謎に満ちているのが、オエフ・ヴェルジでしょう。
約600人が住んでいたとされるブラジルの町なのですが、1923年に全ての住人が姿を消しました。
警察が捜査を行ったところ、学校の中に一丁の銃が発見され、教室の黒板にはこう書かれていたのです。
この奇妙な現象に対してはこれまで様々な説明が試みられてきました。
その一つは、当時のブラジルの不安定な政治情勢を考慮し、ゲリラ戦に巻き込まれるのを避けるべく住民が他の地域へ避難したのではないかというもの。
しかしながら、この町が襲撃にあったという記録は残っていません。
他の説としては、黒板のメッセージをラテン語として解釈すると宗教的な意味合いを帯びることから、何らかの邪教から逃れようとしたのではないかとするものもあります。
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