学校
に関して、おそらく誰もが一度は抱いたことがあると思われる謎について検証してみます。
そもそも、学校という場所はかなり特殊です。
性格や考え方、人生の目標など、何から何までバラバラな集団が一つの施設で共同生活を送らねばならないわけですから。
イジメや非行、学級崩壊が起きるのもある意味当然かもしれません。
しかも、ダントツの離職率を誇る教員は、激務ゆえに身体も精神も疲労が限界を突破しており、そういった問題に十分に対処できていないのが現状。
一見マトモに思える学校でも、その実態はけっこうカオス状態だったりするのかもしれません。
〈originally posted on August 12,2016〉
1 宿題は多いほど良いのか
授業に熱心な先生ほど毎回の授業で宿題を多めに出す傾向があります。
特に、夏休みや冬休みともなると鬼のような量の宿題を出す先生もいますが、山盛りの宿題は果たしてどれほどの意味があるのでしょうか。
実は、分量の多い宿題は、生徒にとっては学習効果よりもストレスの方が大きいことが分かっています。
さらに、アメリカのエール・ストレス・センターが100人を対象に行った研究によると、ストレスは大脳の「前頭前皮質」という部位に悪影響を与え、学習効果を下げる可能性があるのです。
多めに宿題を出せば、それだけ生徒もよく勉強して実力アップにつながる、というのは完全に幻想だということになります。
もちろん、大量の宿題をそつなくこなして、テストで高得点を取る生徒も中にはいます。
しかし、多くの生徒に関していえば、宿題の量と学習効果は決して比例しません。
実際、世界的に見て国民の平均学力が高い国では、ほとんど宿題を出さないところが多いのです。
考えてみれば、宿題を多くするだけで生徒の学力が上がるのであれば、学校や塾などに大した存在意義は無いということになるでしょう。
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2 少人数クラスは効果的か
と少人数とでは、授業を受ける上でどちらの方が好ましいのか。
直感的には少人数の方が学習効果が高そうな気がしますし、世の中には「少人数クラス」というのを売りにした塾や予備校も存在します。
ところが、一つの教室内の生徒数と学習効果との間には特に関連性は無いのだそうです。
これに関しては、人数の問題というよりは、そもそも集団で勉強を行うこと自体に問題があるのです。
アメリカのヴァージニア・テック・カリリオン研究所が行った実験において、ある知能テストを一人ずつ個別に受けさせた場合と集団で一斉に受けさせた場合とで結果に違いが出るかを調べました。
その結果、集団で受けた方がスコアが下がってしまうことが分かったのです。
その理由は、我々は集団でいるとき、無意識的にその集団内での自分の役割に注意が向いてしまうため、目の前のことに集中し切れないからではないかと見られています。
3 校則が厳しいと生徒は真面目になるか
学校が荒れ始めると、規律を厳しくしたり、威圧的な指導をしたりといった手段が取られることがありますが、一見効果的に思えるこの方法も、実はさほど有効ではないようです。
教育心理学者のデヴィッド・C・バーライナーによると、校則や罰則の多い学校では、生徒に対する教育的効果よりも悪影響の方が大きいのだとか。
また、そういった厳しい規律があることで生徒の生活態度が根本的に改善するという因果関係も認められないそうです。
素行の悪い生徒に必要なのは、職員室に呼び出して怒鳴りつけることでも停学処分にすることでもなく、社交的なスキルを身につけさせることだと言われています。
ちなみに、「体罰」というのは教育の手段としては論外。
問題を解決するには暴力に訴えるのが一番手っ取り早いということを教師自らが身をもって教えているようなものなので、体罰を受けた生徒は攻撃的な性格をより一層強めるだけなのです。
体罰を肯定的に捉えている人は、絶対に教員を目指すべきではありません。
4 午後からの授業はなぜキツイのか
アメリカのメイヨー・クリニックに勤めるジェイムズ・レヴィーン医師が行った研究によれば、人間は一日2時間以上座っていると体の新陳代謝率が大幅に下がってしまうそうです。
それにより脳のエネルギー源となる「グルコース」が作られる量が減り、結果的に認識能力も下がります。
ということは、午前中に3~4時間座って授業を受けたあと、午後から再び机に向かう時の生徒たちの脳は、およそ勉強には向かない状態になっている可能性が高いと言えます。
特に、「5時限目」に関しては、昼食をとった直後で眠くなりやすいことに加え、自分の嫌いな教科だったりすると、授業を聞いていてもほとんど知識が頭にインプットされないでしょう。
学校では無理ですが、家で勉強しているときに集中力が無くなってきたと感じたら、気分転換を兼ねて適度に体を動かすのが良いかもしれません。
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5 学校の勉強は将来役に立つのか
ある調査によれば、学者や研究者など、学問の分野で成功を収めた人たちにとって、学校における授業が貢献している割合は、30%にも満たないのだそうです。
そういった成功者にとっては学校での勉強よりも、本人の社会経済的地位やコミュニティ、家庭環境などの影響の方がはるかに大きいと考えられています。
ということは、学校の授業を真面目に聞いていないからといって、学問の分野で成功できないとは限らないということになります。
余談ですが、自分の高校時代を振り返ってみると、僕の周りではデキる奴ほど授業を聞いていなかったように思いますね。
こんなことを書くと、
と反論されそうですが……。
残念ながらあります。
アメリカのエモリー大学で行われた実験によれば、我々は「専門家」の講義を聴くと、その内容を盲目的に信用してしまい、自分独自の論理的な判断が出来なくなる傾向があるのです。
その専門家が完全に正しい内容を講義している限りはそれほど問題はないですが、もし誤った内容を生徒に伝えてしまった場合には大きな弊害となりえます。
そして、ここでの大きな問題は、学校の先生の中で一点の誤りも無いような完璧な授業をしている人がどれほどいるのかということなのです。
恐らく、この弊害が最も出やすい科目は、英語でしょう。
例えば、
などといった誤ったルールを真面目に学校で教える教師が、今も現実にいるのです。