学校の先生といえど、間違ったことを教えてしまうことは珍しくないでしょう。
僕自身、中学、高校時代の英語の授業で教わった知識が、後になって完全なデタラメであったことに気づいたことは、何度もあります。
そのような専門知識に関して、教える側が勉強不足なのは、教員の多忙さを考えれば、ある意味仕方のないこと。
しかし、それほど専門的ではない知識についても、間違って教えられるものがいくつかあるのです。
今回は、誰もが学校で教わる「間違った知識」の数々をご紹介します。
〈originally posted on Audust 12,2015〉
1 酸素を含まない血液は「青い」
心臓から送り出された血液は、身体の各部に酸素を送り届け、再び心臓に戻るときには青みがかった血液になる。
そして、これが「静脈」が青く見える原因である。
このように教わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、「青い血液」などといったものを見たことがある人はまずいないでしょう。
つまり、上記の内容は誤った見方なのです。
では、静脈が青く見える理由は何なのかといいますと、これは単純に光の「波長(周波数)」の問題。
赤い色の光はその波長が原因で皮下脂肪で屈折する傾向が強く、結果的に人間の目に届く波長は、灰色のそれに近くなります。
これがさらに、目の錯覚によって青く見えているというわけです。
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2 リンカーンの奴隷解放
は「奴隷解放の父」とも呼ばれ、奴隷制度に強く反対していたイメージがありますが、これは事実とはかなり異なっているようです。
リンカーンは奴隷解放に関して自身の言葉でこう語っています。
もし、奴隷を解放することなく連邦軍を救えるのなら、私はそうする。
しかし、全ての奴隷を解放せねばならないとしたら、やはりそのようにする。
また、一部の奴隷のみを解放するだけで済むのなら、それで済ませる。
つまり、リンカーンの奴隷解放は、人種差別撤廃の意識に根ざしたものではなく、南北戦争時に連邦軍を勝利に導くための「軍事的な決断」に過ぎなかったという側面があることになります。
3 ダイヤモンドは石炭からできる
ダイヤモンドも石炭も言うまでも無く「炭素」から出来ているわけですが、それに関連して、ダイヤモンドは石炭が高い圧力で圧縮されてできたもの、と言われることがあります。
しかし、これは自然界で起きている現象とは異なります。
石炭は地表に近い所で形成されるのに対し、ダイヤモンドは地球の中心部である地核付近で形成され、それが火山の噴火によって地表に運ばれてくるのです。
確かに、実験的には炭素に摂氏約1100度の高熱と高圧力を加えればダイヤモンドを作ることは可能ですが、自然界では石炭に由来した炭素からダイヤモンドが出来るなどといったことは無いということになります。
4 ゴッホは自分の耳を切り落とした
という画家について、何か知っていることを誰かに尋ねたら、高確率で返ってくる答えが、
「自分で自分の耳を切り落とした狂人画家」
というものでしょう。
さらに、その耳を恋人に郵送したというマニアックなことまで知っている人もいるかもしれません。
しかし、自分で耳を切り落としたという話はウソのようです。
ある歴史研究家がゴッホに関する記録や手紙を細部に至るまで調べた結果、判明した事実はこうです。
ゴッホは、同じ画家仲間だったポール・ゴーギャンと口論になったことがあるのですが、その際、手元のワイングラスをゴーギャンの恋人に向けて投げつけました。
それを見たゴーギャンが激昂して、自分の剣でゴッホの耳を切り落としたというわけ。
その後、ゴーギャンは自分が逮捕されるのを恐れて、ゴッホは気が触れて自分で耳を切り落とした、という話を捏造したそうです。
5 人間はサルから進化した
小学校の授業などで生物の「進化」について先生が説明する際、人間はサルから進化したのだいう話に触れる可能性は高そうですが、これも正しくはないようです。
「進化」というのは、ある「種」よりも優れた「種」が現れることにより、前者が淘汰されて後者が生き残る過程を指します。
この定義に従えば、人間がサルから進化したというためには、サルはとっくの昔に絶滅していなければなりません。
よって、人類がサルから進化したという表現は、必ずしも正確ではないのです。
では、どのように捉えるのが適切なのかというと、人間や、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンなどは、皆共通の祖先を持ち、それぞれが別の進化の経路を辿ったということ。
こう捉えれば、上記のような「進化」の定義に従った場合でも、整合性があります。
ちなみに、生物の進化は今も続いているのかという点については、少なくとも動物の世界では続いていると見るのが正しいようです。
例えば、ゴリラは今から約100万年前にその種が2つの大きく異なる方向へと分かれて進化したと見られています。
そして、その進化は今もなお続いているのだとか。
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