学校の先生が授業を行う上で重要なのは、生徒にとって魅力的な授業を心がけること。
砂を噛むような説明ばかりで面白みに欠ける内容だと、生徒の関心は薄れ、その教科自体が嫌いになっていくでしょう。
では、生徒が驚くような奇抜な内容であればいいのかというと、それも微妙なところ。
奇抜すぎる内容は、どえらい結末になることもありますから……。
〈originally posted on October 30, 2022〉
1 小学生にゴリゴリのホラー映画を見せる授業
2013年、フランスのとある小学校で行われた算数の時間での出来事。
授業を担当していた教師は、唐突に生徒たちに対し、
「今日は、君たちにとって最初のホラー映画を観てみよう」
と言い放ちました。
算数とホラー映画。
一体なんの関係があるのか。
それは、この教師以外、誰にも分かりません。
ホラー映画と一口に言っても、荒唐無稽な展開で笑えるものから、リアル過ぎてトラウマになりそうなものまで色々あります。
そして、その教師が子供たちに見せた映画が、よりにもよって、あの『ソウ(Saw)』。
登場人物が「ゲーム」の一環として次々と拷問にかけられ、ゲームをクリアしなければ生きては還れないというえげつない設定の映画です。
僕も観たことはありますが、始めて観終えたときは、
「よくこんな残酷なシナリオを考えつくな……」
と驚いたものです。
そんな映画を小学生に見せるというのは、マトモではありません。
この教師は、後日、停職処分を受けています。
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2 生徒が(本当に)燃える授業
生徒の心を燃やす指導者といえば、修造さんが有名ですけれど、比喩的な意味ではなく、本当に生徒を燃やしてしまった授業があります。
2014年、米国ネバダ州にある「ディスカバリー・ミュージアム」において、子供たちのために科学の実験が行われていたときのこと。
その実験では、小さな炎のトルネードを作ることが予定されていました。
手順は、まず球状の綿にアルコールを染み込ませ、それにホウ酸を加え、最後に点火、という流れ。
ところが、実験を行っていた女性の教授は、先にホウ酸を加えて点火。
綿が燃えるだけで何も起こらないので、おかしいと思っていると、ようやくアルコールを忘れていたことに気づきました。
明らかにここで彼女がやるべきことは、最初から手順をやり直すこと。
しかし彼女は、燃えている綿の上から、アルコールをドバっとぶっかけたのです。
その瞬間、まるで火炎放射器のように、炎が勢いよく飛び出しました。
これにより、実験を見守っていた13人が負傷。
そのうち、子供7人と大人2人が病院に搬送される事態に。
一人の女の子は、ごく僅かな時間とはいえ、上半身が炎に包まれていたとか。
幸い、命に別状のある人は無く、全員が回復しました。
一方、実験を大失敗した教授は、これを機にしばらく休職することにしたそうです。
3 恐怖の「アーモンドチョコ」
教室で問題を解くだけが授業ではありません。
時には学校の外へ出て、自然の中で様々なことを学ぶのも重要です。
それを実現するためのイベントの代表例は、キャンプ。
しかし、2012年、カナダのマニトバ州にある学校で、中学生たちが参加したキャンプはほとんど悪夢です。
校長と教員数名が引率していたそのキャンプでは、生徒たちに「お菓子」が配られました。
そのお菓子は、一見するとどこにでも売っていそうなチョコレート菓子。
丸くてコロコロした形状は、アーモンドチョコそっくり。
しかしその実体は、なんとヘラジカの……。
実は、ヘラジカの糞は、その形状がアーモンドチョコに似ているのです。
「チョコ」をもらった生徒が、それを口に放り込んで噛みはじめると、教師たちは爆笑しながら、その「チョコ」が何なのかをネタばらし。
それを聞いた生徒は、洗面所に走っていきました。
同じく「チョコ」を食べてしまった別の女子生徒は、歯のブリッジに「チョコ」が挟まって取れなくなるという悲惨な結果に。
案の定、それを見て教師たちはまたもや爆笑。
もうお分かりでしょうが、これは教師が考えたタチの悪いイタズラ。
当然ながら、後日この事実を知った親たちは学校側に説明を求めました。
4 保育園で「赤い液体の授業」
2013年、ノルウェーのとある保育園で、女性の保育士が信じがたい物を教室に持参しました。
それは、自分の血。
小瓶に入れて持ってきていました。
そして、子供たちの前で少量を皿に注ぎ、よく見えるように提示。
興味を持った子供たちは、その赤い液体を指で触りました。
するとその保育士は、
「指に付いたものを拭き取るにはこうするのよ」
といって、自分の指を口でパクッ。
当然、子供たちもそれを真似て、赤い液体の付いた指を口に入れました。
冷静に考えれば、かなり危ない授業です。
後でこれを知った親たちは、言うまでもなく激怒。
幸い、この保育士には、感染症の疑い等は無かったとされています。
5 ハイヒールの履き方を教える授業
今の時代、女性だけ、男性だけ、という区別の仕方で授業をするのは大いに問題があります。
その点、2017年にイギリスのガートン・グラマースクールで計画されていた授業はちょっと普通ではありません。
女子生徒だけに向けられた、礼儀作法を教える授業において、「ハイヒールの正しい履き方」なる項目が含まれていたのです。
この授業を受ける予定の生徒は、当日、ハイヒールを持参するように求められました。
しかし、一部の生徒がこの内容に猛反発。
「今は2017年であって、1950年ではない」
ある生徒が学校に提出した抗議文にはこう書かれてありました。
日本でこんな授業が行われたら、やはり「昭和かよ!」と非難されるのは間違いないでしょう。
保護者からも苦情があったため、この授業はキャンセルされたそうです。
6 凍えるような冷たさの水にダイブ
どーでもいい話ですが、僕は体育の授業が苦手でした。
体力が無い上に運動神経も鈍いので、毎回憂鬱だったのです。
そんな僕にとって、スウェーデンで冬になると行われるという体育の授業は、まさに地獄。
凍った湖などでスケートをする際の水難事故を防ぐため、凍えるような水の中に飛び込み、自力で脱出するという訓練を行うのです。
しかも、実際に事故に遭ったときを想定して、私服のまま飛び込みます。
一応、命綱はあるものの、脱出するために使える道具は、小型のアイスピックだけ。
教師たちが見守っているわけですから、命の危険は無いですが、考えただけで恐ろしい授業です……。
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7 「教員殺害事件」の謎を解け
突発的に予想外の事が起きたとき、それに適切に対処し、問題を解決できる能力は、数学や国語といった勉強よりも重要な面があります。
生徒たちのそういった能力を鍛えるべく、イギリスにあるブラックミンスター・ミドルスクールでは、画期的すぎて危険な手段を思いつきました。
生徒たちの目の前で、教師が殺害されるという事件をでっち上げたのです。
ある日、特別授業を行うということで、400名弱の生徒がグラウンドに集められました。
生徒たちが授業開始を待っていると、いきなり目出し帽を被った男が校内に侵入し、一人の教師に銃を発砲。
撃たれた男性に周りの教師たちが駆け寄り、何とか命を救おうとしますが、彼は絶命(のフリ)。
この恐るべき光景を目の当たりにした生徒の多くは、泣きながらうずくまりました。
衝撃の発砲から約10分後、生徒全員が体育館へ誘導され、今しがた起きた出来事が全てドッキリであると教師が暴露。
続けて、「この事件の謎をみんなで解こう」と呼びかけたのですが、リアル『名探偵コナン』など出来る雰囲気ではありません。
気分が悪くなってその場で嘔吐する生徒や、うなだれる友人を必死で慰める生徒などがそこかしこにいて、体育館は阿鼻叫喚。
最悪の授業になりました。
後日、校長が謝罪したのですが、その内容に多くの保護者が唖然とさせられることに。
校長はこう語ったのです。
このような事態を招いたのは、撃たれたのが当校で一番人気のある教師だったからだ。
他の教師にしておけば、ここまでの騒ぎにはならなかっただろう。
校長先生、問題なのはそこじゃない……。