日本の少子化に歯止めがかからない現状を踏まえれば、学習塾の経営は、今後、厳しくなる一方だろう。
新型コロナウイルスの影響で、いくつかの教室を閉鎖せざるをえなくなった塾もあると思われる。
そんな中、個別指導塾は、比較的安定した需要がある。
人気があるのは悪いことではないが、しかし、本当に月に数万円の金を出す価値があるのか。
今回は、学生時代に個別指導塾でバイトをしていた経験から、保護者が注意すべきポイントについて解説しようと思う。
1 個別指導塾の講師はズブの素人ばかり
個別指導塾で生徒に指導を行うのは、そのほぼ全員が、現役大学生である。
彼らは、面接時に一応学科試験を受けるので、指導できるだけの学力を有しているか否かは、そこで判断される。
よって、計算が苦手な人が数学を教えるというようなことは、まず無い。
しかし、注意せねばならないのは、彼らは、こと指導方法に関しては、ほとんど何も教わることが無いということである。
どういうテキストを使って、どのように授業を進めるのか、といった大体の流れについてざっくりとした説明は受けるが、各教科をどう指導するのかは、講師本人に丸投げなのだ。
よって、教え方の上手い奴もいれば、下手な奴もいる。
親にとって、自分の子供を担当するのが、どちらのタイプの講師になるのかは、完全に運次第。
塾に通わせてから半年くらい経ち、一向に成績が上がらない状態になって初めて、講師の指導の下手さに気付かされるのである。
2 テキスト・問題集の貧困なラインナップ
学力を伸ばす上で最も重要なポイントの一つは、その生徒の実力にピッタリ合った問題集で練習を重ねることである。
学校の定期試験で平均点を割るような生徒に、ハイレベルな問題集を解かせようとしても時間の無駄。
逆に、学校のテストで8割以上を取れる生徒に、基礎問題ばかりやらせても、学力向上は望めない。
よって、講師としては、担当する生徒の実力をしっかりと見極めて、現時点で最も効果的な難易度の問題をやらせる必要があるのだ。
そのためには、講師が利用できる問題集は、多いに越したことは無い。
しかしながら、個別指導塾というところは、問題集のラインナップを充実させることは絶対にしない。
生徒の学力アップを真剣に考えているのであれば、良質の問題集を揃えることを最優先すべきなのだが、多くの学習塾は、そういう所には一切金を使わない。
その結果、どういう事態が起きるか。
塾に用意されている数少ない問題集を、生徒の実力に関係なく、何度も何度もやらせるのである。
講師にしてみれば、それしか問題集が無いのだから、他にやりようが無い。
生徒にしてみれば、同じことばかりやらされて、いい加減飽きてくる。
こんなことの繰り返しで成績アップを狙うことが、いかに滑稽なことか、詳述するまでも無いだろう。
3 夏季・冬季講習の無駄なスケジュール
夏休み・冬休みが迫ってくると、学習塾側から保護者に対し、夏期講習・冬季講習のスケジュールの提案が示される。
お宅のお子さんであれば、夏期講習でこれだけの授業を取らないと、志望校には行けませんよ、と脅すアドバイスするわけである。
保護者としては、普段から子供の成績を十分に把握している塾からの提案なのだからと、それを信じてしまうだろう。
しかし、このような提案を鵜呑みにしてはいけない。
学習塾は、夏期講習・冬期講習には、生徒の持つ能力以上のコマ数でもって親に契約させようとする。
各教室の教室長には、ノルマが課せられているからだ。
例えば、ある生徒には、合計30コマが妥当だと思える場合でも、それに10~20コマ追加して保護者に提示する。
多くの生徒にとって、自分の実力に見合わない過密スケジュールになってしまうのだが、そんなことは塾側は気にしない。
その結果、学力の低い生徒ほど、消化不良で終わる可能性が高い。
つまり金の無駄である。
学習塾にとって、最大の関心事は、生徒の成績アップなどではなく、あくまで会社の業績アップだということを、保護者としてはしっかり認識しておくべきだろう。
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