裁判所
で発生した奇妙な出来事の数々をご紹介します。
僕は過去に一度だけ刑事裁判を傍聴したことがあります。
といっても、新聞に載るような大きな事件ではなく、ごく一般的な詐欺事件です。
裁判官、検察官、弁護人との間で淡々とやり取りが進み、1時間も経たないうちに判決が下されました。
そこには、TVドラマのような法廷劇の要素は微塵もありません。
考えてみれば、日本の裁判所で、何かが起きるのを期待する方が無理なのかもしれません。
〈originally posted on January 20,2017〉
1 大あくびで刑務所行き
2009年、米国イリノイ州シカゴの裁判所で、クリフトン・ウィリアムズという男性が裁判官より禁固6ヶ月を言い渡されました。
しかしながら、彼は被告人ではありません。
クリフトンは、薬物犯罪で起訴された被告人の従兄弟であり、単に傍聴人として出席していたのです。
ところが、裁判中に大あくびを連発していたために、それが法廷侮辱罪となってしまいました。
その結果、2年間の保護観察を言い渡された被告人よりも重い刑を食らってしまったのです。
検察官の話によると、クリフトンのあくびは明らかに裁判の進行を阻害するほどの騒音だったとか。
そうは言っても、あくびをしただけで禁固刑というのは厳しすぎる気がしますが、ダニエル・ロザックというこの裁判官は、法廷内のマナーに恐ろしく厳しい人で、裁判中に携帯が鳴っただけでも禁固刑を科すほどの鬼裁判官なのです。
2 スマホで刑を宣告
2005年、イギリスのサフォークにある裁判所で、裁判官のキャロライン・ラドロウが開廷しようとしたところ、被告人の弁護士に電話が。
電話の主は被告人で、酷い渋滞に巻き込まれて遅刻するとのこと。
それを聞かされたキャロラインは、ある意味画期的(?)な手段をとります。
その弁護士を通じて被告人が運転中ではないのを確認してから、彼女は直接被告人にスマホで電話をかけ、判決内容として140時間の社会奉仕と750ポンドの罰金を伝えたのです。
電話で判決を伝えるなどということは通常ありえないのですが、キャロラインのとった措置は、裁判が延期されることによる経済的損失を避けるためだったと見られています。
3 「分身」を利用していた裁判官
イタリアのマジェンタ出身のガブリエラ・オディシオは、弁護士でありながらパートとして裁判官の仕事もこなしていました。
当然ながらかなりハードな毎日で、両方の仕事のスケジュールが重なることもしばしば。
そんなとき、彼女がとっていた奥の手が、一卵性双生児の妹パトリツィアに自分の代役を頼むというもの。
法服を身にまとったパトリツィアが裁判所に現れても、疑いの目を向ける者は誰一人いません。
二人は互いに相手の生活について熟知しているので、職場仲間との会話で素性がバレることもありませんでした。
「なんちゃって裁判官」であるパトリツィアの法律知識が怪しまれることもなく、二人はこんな生活を何年も続けていたのです。
しかし、あるときガブリエラがパトリツィアと替え玉の相談をしていると、迂闊にもそれを依頼人に聞かれてしまい、遂に全てが明るみに出ました。
その結果、二人は長きに渡る詐欺行為について、起訴される側に立たされたのです。
4 恨まれていた法廷画家
アメリカの裁判では、日本とは違って裁判中に自由に撮影ができるイメージがありますが、実は全ての州でそれが可能になったのは2014年になってからで、それまでは日本と同様に法廷画家が裁判の様子を伝えることもありました。
2004年、アメリカ人の実業家で、文筆業やテレビ番組の司会などでも活躍しているマーサ・スチュワートが、不正取引に関わった罪で裁判にかけられました。
このとき、悲愴の面持ちで被告人として出廷していたマーサの姿を描いたのが、シャーリー・シェパードという法廷画家。
この裁判から3年後、マーサは自身が司会を務める番組の収録中、観客席にいる一人の女性を突然指差したのです。
その女性こそ、裁判でマーサの残念な姿をリアルに描いたシャーリーでした。
シャーリーをしっかりと見据えたまま、マーサは大声でこう言い放ちます。
「あなたのこと覚えてるわ!」
「法廷で私を見ながらヒドい絵を描いた下手クソなアーティストよ!」
いきなりブチ切れられて面食らったシャーリーは、
と切り返すのがやっとでした。
常識的に考えて、法廷画家の描く人物はたいてい冴えない雰囲気を漂わせていますし、シャーリーはプロとしての仕事をこなしただけですから、これは逆ギレもいいところ。
しかし、マーサ側からこの件に関するコメントは、その後一切ありませんでした。
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5 自己完結な裁判官
かなり時代を遡りますが、1874年、カナダのウィニペグでフランシス・コーニッシュという裁判官が少し変わった裁判を行いました。
被告人は、公共の場で泥酔したことにより裁判にかけられていたのですが、この「被告人」というのが、コーニッシュ本人だったのです。
つまり彼は、自分が被告人である裁判の判決を、自分で自分に言い渡したというわけです。
ちなみにその判決内容は、「5ドルの罰金」。
さらに、裁判記録にはこう記載されていました。