クリスマスに子供がサンタに望む物と言えば、やはりおもちゃでしょう。
小学校高学年以上になると、ゲーム機やゲームソフトを欲しがる子も多いように思います。
そのくらいの年齢になれば、サンタを信じる子もかなり少ないと思いますが。
もちろん、クリスマスに子供たちが願うのは、おもちゃのような物ばかりとは限りません。
時には、実に切ない願いをする子供もいます。
今回は、そんな少し悲しいクリスマスの実話をご紹介します。
〈originally posted on December 13,2019〉
1 住む家と食べ物が欲しいと願う子供
2019年11月、イギリスのリヴァプールで労働党の議員を務めるジェラード・ウッドハウスは、仕事中に目を通していた一通の手紙に大きなショックを受けました。
それは、コミュニティーセンターに設置されているサンタ宛てのポストに投函された手紙で、差出人は7歳の女の子。
書き出しは、「サンタさん、助けてくれますか」。
その女の子がクリスマス・プレゼントとして望んでいたのは、家族みんなが一緒に住める家と食べ物、そして可愛い人形。
ウッドハウスがこの手紙の画像をツイッターに投稿したところ、多くの人から反響がありました。
「自分がどれだけ恵まれているか、再認識させられた」
「子供がサンタに家と食べ物を望むというのは、何世紀も前の出来事のようだ」
などのコメントが寄せられ、中には思わず涙ぐんでしまったという人も。
確かに、こういう子供が今のイギリスにもいるというのは、驚きと言わざるをえません。
【スポンサーリンク】
2 天国にいる父親への手紙を届けた郵便局員
2018年12月、イングランド南西部グロスターシャーに住むマディソン・ダンターという6歳の女の子は、亡くなってから2年になる父親に手紙を書き、投函しました。
手紙の中で綴られていたのは、父親のことが今でも大好きということ、直接会ってメリークリスマスを言いたくてしかたがないということ、そして、父親がクリスマスプレゼントに何が欲しいか、などです。
この手紙には宛先が書かれていませんから、本来なら自宅に返送されるだけのはず。
しかし、この手紙を手にした郵便局員は、代わりに次のような手紙をマディソンに送ったのです。
マディソンさん。
クリスマスカードの配達中に、あなたからの特別な手紙に気づきました。
この手紙を届けるためには、銀河の星々を避けながら進む必要があったので、かなり苦労しましたよ。
でも安心してください。
あなたの大切な手紙は、無事に天国のお父さんに届けられました。
マディソンの叔父であるシェインの話では、父親がいないことについて、彼女は周りの大人に色々と質問する機会が増えてきていたとか。
そんなときに、郵便局員の粋な図らいによって届いたこの手紙は、マディソンにとって大きな意味を持つだろうと彼はコメントしています。
3 父親の勤務時間をずらして欲しいと願う子供
亡き父親への想いを大切にしてくれる郵便局員がいるのは微笑ましいことですが、年末は郵便局員が忙殺される時期であり、そんな彼らの帰りをクリスマスに家で待つ子供も大勢います。
米国マサチューセッツ州スプリングフィールドに住むザドラ・マティアスもその一人。
2018年のクリスマスが迫ってきたとき、10歳の彼女がサンタに宛てて書いた手紙には、普通の子供が欲しがるような物は何も記されていませんでした。
それどころか、サンタが彼女の家だけスルーしても構わないと書かれていたのです。
その代わり、ザドラがどうしてもサンタに叶えて欲しいと願っていたのは、父親の勤務時間を2時間ずらすこと。
それによって、家族が集まってクリスマスを過ごせるというわけです。
手紙には、それを実現できるのは「サンタか、あるいはパパの上司だけ」であり、また、「パパが嬉しいと私も嬉しい」と書かれてありました。
父親のデイヴィッドは、この手紙の存在を知って、ダメ元で上司に掛け合ったとか。
ただし、年末の超多忙な時期だけに、シフトをずらしてもらえるかどうかは、「本当にサンタ頼み」だと語っていました。
【スポンサーリンク】
4 子供たちから父親への最後のビデオ・メッセージ
イギリスのノーサンプトンに住むカリ・ジェフォードは、2008年、クラブで偶然知り合ったジョン・ハルウォードという男性と恋に落ちました。
その後、二人は結婚し、3人の子宝にも恵まれ、幸せな家庭を築きます。
ところが、ジョンは「1型糖尿病」を患ってしまい、さらにその症状が徐々に悪化。
2015年には腎臓の機能が30%にまで低下し、かなり危険な状態に。
その結果、腎臓と膵臓の移植手術が急務となったのですが、あいにく、適合するドナーが見つからない日々が続きました。
2017年6月、糖尿病による血管へのダメージが原因で、脳への栄養供給が不足し、ジョンは50歳にして「血管性認知症」を併発。
このときの彼は、ときどき自分の子供の存在を忘れてしまうこともあったとか。
カリは、その年のクリスマスイブはジョンを病院から家に連れて帰り、家族全員で過ごすことを計画します。
最高のイベントにするために、気合を入れて家の中を飾り付け、ジョンが子供たち(それぞれ8歳、7歳、5歳)に手渡せるようにプレゼントも用意。
12月24日、全ての準備が整い、彼女は病院に夫を迎えに行きました。
しかし、そこでカリは、夫が集中治療を受けている最中であることを知らされます。
彼女が手術室の前にたどり着いたときには、ジョンはすでに帰らぬ人となっていました。
その日、帰宅した彼女は、息子たちに真実を伝えようとしますが、クリスマスイブを楽しみにしている彼らの表情を見て、口に出せずに終わります。
そして翌日、息子たちが父親に向けて、快復を願うメッセージを伝える様子を、彼女がビデオに録画。
このときの子供たちは、父親とはもう会えないという事実をまだ知りません。
9日後、カリはようやく息子たちに、父親がクリスマスイブに亡くなったことを涙ながらに伝えました。
それに加え、見知らぬ人に、彼が最高のクリスマスプレゼントを贈って、その命を救ったことも。
実は、彼女自身も夫の死亡後に初めて知らされたのですが、ジョンは臓器移植のドナー登録をしており、彼の肝臓は、臓器提供を待つ患者に移植されていたのです。