幽霊
が人の人生を大きく変えてしまった珍しいケースをご紹介します。
「幽霊」と言うと、必ず夜中に半透明で現れて人々を恐怖させ、それ以上は特に何もせずに消えてしまうイメージがあります。
しかし、時には人の運命を左右するような強い影響力を持つこともあるのです。
幽霊に救われる人もいれば、逆に人生を破滅させられる人も……。
〈originally posted on May 16,2016〉
1 自分の名誉を挽回した霊
1913年5月27日、イギリス陸軍航空隊に所属するデズモンド・アーサー中尉がスコットランドにあるモントローズ飛行場の上空で飛行訓練を行っていました。
しかし、突然右翼にトラブルが発生して機体が制御不能となり、墜落事故を起こして帰らぬ人となったのです。
アーサーは非常に有能なパイロットだっただけに、当初はこの事故が彼の人為的ミスによるものだと考える人はおらず、飛行機の整備不良が原因だと思われていました。
ところが、政府の公的機関が調査を行った結果、これはアーサーの操縦ミスによる事故だと断定。
そしてこの頃から、モントローズ飛行場に超自然的現象が発生します。
1916年8月からパイロットの姿をした霊を見たという報告が出始め、やがてそれはアーサー中尉の霊であると信じられるようになります。
隊員の中には恐怖のあまり異動を願い出る者も少なくなかったとか。
この騒動の最中、航空雑誌の編集者をしていた男性が政府に働きかけ、再度の事故調査を強く要請。
これを受けて調査が開始され、その結果、事故の原因はアーサーのミスではないことが改めて確認されました。
それと同時に、このパイロットの霊が目撃されることも無くなったそうです。
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2 住民を守るグレイ・マン
米国サウスカロライナ州に位置するポーリーズ・アイランドは海岸に面した小さな町なのですが、ここでは1822年から不気味な人影が頻繁に目撃されるようになりました。
やがてその人影は「グレイ・マン」と呼ばれるようになります。
このグレイ・マンの正体については諸説ありますが、最も有名なものは、恋人へのプロポーズを遂げる前に災害に遭い、流砂にのまれて亡くなった男性の霊がこの地をさまよっているという説。
これだけだと「よくありそうな幽霊話」で終わってしまいますが、グレイ・マンには他のゴーストには無い特徴があるのです。
それは、この霊は必ずハリケーンが来る前にその姿を現す、というもの。
グレイ・マンはハリケーンの接近を住民に警告するために現れると言われており、さらに彼の姿を見た者は自宅が何ら被害を受けないそうです。
いや、それは流石に無いだろ、と思いたくなりますが……。
実は少なくとも一つ「実例」が確認されています。
1989年、ジム・ムーアとクララ・ムーアという老夫婦が散歩中にたまたまグレイ・マンと遭遇し、その直後にハリケーンが通過。
近所の家屋が無残な状態になっている中、ムーア夫妻の自宅だけは無傷だったのです。
3 コック・レーンの亡霊
1759年、ウィリアム・ケントと妻のファニーがロンドンのスミスフィールド区にあるコック・レーンという通りに引っ越して来ます。
しかし、金銭を巡る言い争いから二人の関係が破綻。
さらに、二人の家主であるリチャード・パーソンズとも賃料のことでトラブルに。
それからしばらくしてファニーが天然痘で亡くなりました。
その3年後の1762年1月、ウィリアムはある雑誌の記事を見て驚愕します。
その記事によれば、ファニーは天然痘で死んだのではなく、夫のウィリアムが殺したという仮説が立てられていたのです。
実はこの記事の発端になったのが、かつて二人の家主だったパーソンズ。
彼の話によると、ファニーの霊が度々パーソンズの前に現れ、自分は天然痘ではなく、夫のウィリアムの盛ったヒ素によって死んだと訴えてきたとのこと。
やがてこの話は「コック・レーンの亡霊」として街中に知れ渡ることに。
ところが……。
最初にご紹介したゾーナのケースとは異なり、ファニーの幽霊の話はパーソンズがウィリアムを陥れるためにでっち上げた作り話であることが判明したのです。
ウィリアムは早速パーソンズと彼に協力した仲間に訴えを起こします。
その結果、パーソンズには短期間ながら禁錮刑が下されました。
つまりはこの男、自分が作り上げた幽霊によって刑務所行きとなったのです。
4 遺言書の在り処を告げに来た霊
1921年、米国ノースカロライナ州モックスヴィルで農家を営むジェームズ・チャフィンが亡くなったとき、法定相続人である妻と4人の息子のうち、ジェームズの遺言書により三男のマーシャルが農地をすべて受け継ぐことになりました。
しかし、その翌年マーシャルが他界。
法律的にはマーシャルの妻が農地を相続することになるわけですが、ここでジェームズの次男が異議を唱えます。
彼は夢の中で父親の霊に何度か会っており、ある時オーバーコートを羽織った父親から、新しい遺言書がコートのポケットの中にあると告げられていたのです。
半信半疑で父親の遺物であるオーバーコートのポケットを調べると、メモが一枚発見されました。
そのメモには、
という一文が。
果たして、祖父の聖書の該当ページを開いてみると、そこには新しい遺言書が挟んでありました。
後の裁判でこの遺言書はジェームズの直筆によるものと確認され、その内容は、遺産の農地は4人の息子で均等に分割せよというものでした。
これに対してマーシャルの妻は反論せず、最終的に農地の所有権は4人の息子が受け継ぐことで決着。
父親の霊のおかげで遺産を巡る泥沼の争いは避けられましたが、それにしても何故このような回りくどい遺言書の残し方をしたのかは謎です。
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