一体なぜこんな奇妙な刑罰が存在したのか。
今となっては理解に苦しむ刑罰の数々をご紹介します。
現代において刑罰と言えば、罰金刑や懲役刑が一般的です。
しかし、昔の欧米では、こんな罰をよく考えついたなと思わせる奇抜なものが存在しました。
そういう変わった刑罰は罪人の羞恥心に着目したものが多いのですが、中には命の危険が伴うものもあります。
〈originally posted on May 19,2016〉
1 酒樽コスプレの刑(ドランカーズ・クローク)
から17世紀にかけて主にイングランドで実施されていた刑罰。
公衆の面前で常習的に迷惑行為を繰り返す酔っぱらいに対して行われていました。
どういう刑罰かと言いますと、上の画像のようにでっかい樽を頭から被り、顔と手足だけを出した状態で街中を歩かされるのです。
さらに、貧しい人たちに小銭を配ることも要求されました。
厄介なことに、排泄もこの格好のまま済まさねばならず、食事をするには親切な人を探して食べさせてもらう必要があったそうです。
2 無限階段の刑(トレッドミル)
毎週ジムに通ってランニングマシンで汗を流すという方もいるでしょうが、何と19世紀のイギリスでは、囚人に課す刑罰としてランニングマシンもどきの装置が既に導入されていました。
といっても、今のものとはかなり違っており、水車のような装置に連結された回転する足場をひたすら登っていくようなものでした。
下りエスカレーターを登り続けるような感じでしょうか。
一言で言えば「無限階段」ですね。
この装置はもちろん囚人の健康を維持するためではなく、犯罪を抑止する目的で使われていました。
毎日8時間、途中休憩を挟みつつ脚を動かし続けねばならないので、体力的に相当キツイ刑罰だったことでしょう。
ちなみにこの装置、囚人が足場を回転させる動力を利用して、一部の刑務所では小麦を精製するのにも利用されていたそうです。
3 足つぼ刺激の刑(ピケット)
たまにバラエティ番組でタレントが強烈な足つぼマッサージを受けて悲鳴を上げる姿を見ますが、あれと原理的に同じようなことが中世のヨーロッパで行われていました。
まず、罪人の片手に巻きつけたロープを天井の滑車を使って引っ張り上げ、その人を宙吊りにします。
次に、先端を尖らせた杭を罪人の片足の下にあてがいます。
自分の体重で杭の先端が押し込まれ、足の裏に激痛が走るというわけです。
もちろんこの刑罰に足つぼを刺激する目的は無かったでしょうが、しかし恐らくは、足つぼ刺激と同様の効果があったと見てよいでしょう。
4 魔女スタイルで村八分の刑(ライディング・ザ・レール)
これは公的機関による刑罰ではなく、いわゆる「村八分」です。
18世紀から19世紀にかけてアメリカで行われていました。
コミュニティのルールを破った者を長い木の棒に跨がらせ、ちょうど魔女がホウキに乗っているような体勢にします(魔女の格好はしません……念のため)。
そして棒の両端をそれぞれ男が担ぎ、駕籠かきのようにして町外れまで運んだ後、その場に投げ捨てます。
「何という地味な刑罰……」
と思われた方もいるかも知れませんが、実はこの刑罰、地味な割には生命の危険度が高く、ほとんど死刑に近いものでした。
というのも、町外れの森の中には人間を襲う猛獣が潜んでいることが多く、そんな場所に置き去りにされた者は格好のターゲットにされたからなのです。
5 完全放置の刑(フィールド・パニッシュメントNo.1)
から1920年ごろまでイギリスの軍隊内部で課せられていた刑罰。
戦場で規律を犯した兵士がいれば、その辺のポストやフェンス、あるいは車などにその者をロープで縛り付けてそのまま放置します。
一日のうち数時間はこの辱めに耐えねばならなかったとか。
恥ずかしいだけならまだいいのですが、第一次世界大戦中にこの刑罰が実施されていたときは、いつ敵の襲撃があるか分からない戦場に放置されたので、死の危険もあったそうです。
敵と戦って戦死することに比べると、体を縛られて身動き出来ないところをアッサリ撃たれて死ぬのは悲し過ぎますね。
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