無罪を勝ちとるために、裁判官を唖然とさせる言い訳をした犯罪者たちをご紹介します。
犯罪を犯し、法廷に被告人として出廷した者は、ときに見苦しい言い訳を行うことがあります。
たとえそれが、どれだけ馬鹿らしい言い訳であったとしても。
万に一つの可能性のため、言わずにはいられないのです。
〈originally posted on April 17,2017〉
1 ネコが違法画像をダウンロード
2009年、米国フロリダ州出身のキース・グリフィンという男が、1000点を超える違法なわいせつ画像をパソコンに保存していたことで起訴されました。
これに対し、彼が放ったトンデモナイ言い訳が、「全てウチのネコがやりました」というもの。
ネコがキーボードをぺちぺちと踏みつけて、文字の羅列が画面に表示される、というのは、ネコを飼った経験のある方ならお馴染みかもしれません。
しかし、さすがにネコが違法な画像をパソコンでダウンロードするというのは、偶然でもありえないでしょう。
このおバカな主張をしたグリフィン本人も、あまりに無理があると悟ったのか、裁判の過程で「ネコ犯人説」を自ら取下げました。
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2 恐怖の殺人暴走車
2009年、米国マサチューセッツ州フレイミングハムの車道脇で、犬を散歩中だった男性が、反対車線を猛スピードで爆走する車を目撃。
彼はとっさに、「速度を落とせ」というジェスチャーをドライバーに向けて行います。
すると次の瞬間、暴走車はUターンをして男性目がけて突進。
彼は自分の犬を抱えて素早く身をかわし、間一髪で車を避けました。
しかし、ホッとしたのも束の間、暴走車はまたもやUターンして男性の方へと向かってきます。
このままでは轢かれる、と思った瞬間、意外なことに車は男性に激突する寸前で止まりました。
命拾いをしたその男性は、その後、事の一部始終を警察に話します。
それを受けて、そのイカれたドライバーに警察が事情を聞くことになったのですが、そこで飛び出した呆れた言い訳が、
というもの。
車の故障が原因で事故が起きることは、一般論としては十分ありうる話ですが、2回もUターンして通行人を狙う「故障」とは一体どんな不具合なのか……。
3 危険すぎるサラダ
2015年、米国ジョージア州で、リチャード・レリフォードという男が交通違反を犯し、警察官に車を止められました。
レリフォードから警察官が事情を聞いていると、車の中に怪しいバッグを発見。
中身を確認してみると、そこには大量のマリファナが入っていました。
この事実に関して追及を受けたレリフォードは、こう切り返したのです。
相手が素人ならいざしらず、薬物を見慣れている警察官に対してこの言い訳をした根性だけは評価できます。
当然ですが、こんな手に警察が引っかかるはずもなく、レリフォードは薬物所持により有罪となりました。
4 (リアル)狼男アメリカン
2011年5月、米国オハイオ州ブラウンヘルム・タウンシップで、トーマス・ストロープ(20)という男が、ウォッカをしこたま呷った挙句、周りの者を手当たり次第に殴るという事件が発生しました。
現場に駆けつけた警察官によって身柄を拘束されたとき、彼は嘘くさいロシア語訛りで暴言を吐いていたとか。
ストロープの酔いが覚めてから事情を聞いてみると、彼は何と「オオカミ男」でした。
と、本人が言っていただけですが……。
ストロープの話によれば、彼はかつてドイツへの旅行中に狼に引っ掻かれたことがあり、それ以来、夜中に月が出ているとオオカミに变化してしまうのだとか。
ちなみに、彼は逮捕されたとき、警察官の一人に対し、
と、いかにもサイコな犯人が言いそうな台詞を放ったのですが、残念ながらその警察官にキースという名の従兄弟はいなかったそうです。
結局、この「自称オオカミ男」の供述内容で、唯一信用できるのは「ドイツに旅行へ行ったことがある」という部分だけであることが、後の捜査で判明しました。
5 片目で運転してるから安全
2007年、スウェーデンで、かなり危険な蛇行運転をしている車が周りのドライバーを驚かせました。
その「蛇行」ぶりは凄まじく、全ての車線を右へ左へと横切りながら走っていたのです。
3kmにも及ぶ追跡の結果、ようやく警察がその車を停止させることに成功。
運転していたのは56歳の女性で、呼気検査をしてみると、何と基準値の10倍ものアルコールが検出されました。
しかし、超泥酔の状態で危険な運転をしていたそのドライバーは、警察官に平然とこう言ったのです。
彼女の(屁)理屈によると、飲酒運転が危険なのは物がダブって見えるからだが、自分はそれを避けるために片目をつむって運転していたので、安全運転である、ということ。
なるほど、それなら安全……と警察官が納得するわけはなく、後の裁判でこのドライバーには禁固2ヶ月が言い渡されました。
6 ダイエット殺人
2010年7月、アメリカ陸軍予備軍に所属していたラシャド・ヴァルモントは、上官であるペドロ・メルカドの勤務する部屋に入って行くと、いきなり彼に銃を発砲しました。
続いて彼は、同じく上官であるトレイシー・モズリーを殺そうとして彼女を探しますが、モズリーは銃声を聞いて既に逃げていたのです。
その後、ヴァルモントは警察へ自ら出頭。
この計画的殺人により、彼は刑事裁判を受けることに。
その裁判で、ヴァルモントを担当した弁護士は、驚くべき主張を展開しました。
彼が上官を銃撃した原因は「ダイエット」である、と。
殺人とダイエットとの間に、一体何の関係があるのか、と思ってしまいますが、流石は弁護士というべきか、そこには一応ちゃんとした理屈がありました。
ヴァルモントは上官からダイエットを半ば強要されており、それに従い彼はかなり強引に体重を落とそうとしたため、心身ともに疲労しきって正常な判断能力を失っていたというのです。
いわば、過酷なダイエットが元で「心神耗弱状態」に陥っていたということ。
ヴァルモントがダイエットに関して強いプレッシャーを感じていたのは事実ですが、それはある意味当然のことなのです。
彼は、陸軍に所属しているとは思えないほど太っており、兵士としての能力にも問題がありました。
それゆえ、上官からはそのタプタプの脂肪を何とかするように言われていたのですが、それに彼は逆恨みしていたというわけ。
さらに、夏季休暇を取ることを上官に拒否されたことで、遂にブチ切れて犯行を計画。
殺人の原因をダイエットに結びつけたのは画期的な弁護と言えるかもしれませんが、結局、ヴァルモントには仮釈放なしの終身刑が宣告されました。
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7 邪悪な双子
犯人を逮捕したとき、その人物に一卵性双生児の双子がいる場合は、少々厄介なことが起こりえます。
仮にその犯人が、やったのは自分ではなく双子の兄の方である、などと言ってきた場合、それがいかに馬鹿げた話であっても一笑に付すわけにはいきません。
見た目の区別がほとんどつかない容疑者が二人いる以上、本当に犯行に及んだのがどちらなのかを確定せねばならないのです。
どちらかが真犯人なのは間違いないが、どちらであるかを確定できない場合は、両方とも無罪にせざるを得ない可能性も出てきます。
この事実を利用して、双子であることを理由に罪を逃れようとした犯罪者はそれなりにいます。
2013年、米国コロラド州で、アーロン・ルーカスという男が、未成年者に対する性犯罪で起訴されたとき、彼は双子の弟がやったのだと主張。
ペンシルベニア州では、スティーブン・フェルトンという男が、10件に及ぶ窃盗の罪を双子の弟になすりつけようとしました。
そして、どちらのケースでも、双子を利用した言い逃れには失敗しています。
そもそも、この戦法はなかなか成功しません。
見た目がそっくりな双子とはいえ、それぞれ全く別の生活をしているわけで、アリバイが証明されれば終わりだからです。
ところが、ごくまれに成功する例もあります。
2009年、マレーシアで、大麻と阿片の密輸を行ったとしてイーサ・サティスという男が逮捕されたとき、彼は双子の弟が真犯人だと主張。
さらにその弟も、やったのは兄の方だと主張。
どちらかが犯人なのは確実であるにも関わらず、どちらが犯人なのかを確定できなかったため、裁判で二人とも無罪になっています。