芸能人はイメージが大事。
よって、番組の収録中にどれだけイラッとしても、キレてはいけません。
イメージが台無しです。
もちろん、あくまで「芸」としてキレるのはアリですし、そういう芸人も少なくないですが、本気でキレるのはご法度です。
しかし、芸能人とて我々と同じ人間。
怒りを抑えきれず、カメラが回っていてもキレてしまうこともあります。
〈originally posted on May 3,2024〉
1 宮本浩次
エレファントカシマシのボーカリストである宮本浩次氏がTOKYO FMのラジオ番組でブチ切れたことは、ご記憶の方も多いことでしょう。
番組パーソナリティを務めていた女性が、エレカシの最新アルバムについて「食べにくい」というネガティブな表現を使ってコメントしたのが事の発端。
彼女としては、何度も繰り返し聴いているうちに良い曲だと思えてくる、といったニュアンスを込めていたようなのですが、しかし本人の前で「食べにくい」という言葉を使うのは明らかに無礼。
とは言うものの、最初は宮本氏もキレることなく自制していました。
ところが、その後も女性パーソナリティによる空気を読まないスットコドッコイ発言が連発され、遂に宮本氏がキレたというわけ。
この時のオンエアーの様子は僕も聴きましたけれど、キレても無理はない流れだったように思います。
というか、意図的にキレさせてるのでは、と疑いたくなるようなノリでした。
その後、両者ともに謝罪コメントを発表。
これで一応(?)、丸く収まったというわけです。
2 宮川花子
最近ではあまり見ませんが、昔の民放は、たちの悪いドッキリ企画番組で溢れていました。
騙される側を仕掛け人が単に不快にさせるだけという、視聴者としては笑うこともできず、ストレス発散にもならず、何をどうしたいのか、という低俗な企画が多かったのです。
その中の一つに、宮川大助氏へのドッキリが挙げられます。
とある番組で、若手の芸人たちが、楽屋で大助氏をこれでもかと弄り倒すというドッキリを企画。
大先輩を弄るという暴挙を視聴者に見せることで、ハラハラ感を醸し出そうとしたのかもしれませんが、師匠と呼ばれる地位の人が若手芸人に弄られるのは、見ていて不快感が募る一方。
どうせ最後にネタバラシをするのだから問題あるまい、という慢心が番組側にあったのでしょう。
しかし、その様子を傍から見ていた宮川花子氏が我慢ならずに乱入し、怒り爆発。
ひょっとすると、これは若手芸人に対する逆ドッキリなのではないかと思うほどのマジギレぶり。
ネタバラシの後、大助・花子の両氏が視聴者に対して笑顔でコメントし、何事も無かったかのように番組は終了しました。
はっきり言って視聴者は「ぽか~ん」状態です。
お粗末な内容のドッキリは、誰も得をしないという好例といえます。
3 やしきたかじん
関西を代表するシンガーの故やしきたかじん氏は、歯に衣着せぬ発言でトーク番組でも人気でした。
そんなたかじん氏が残した数々の伝説の一つが、かの有名な「味の素事件」。
ある番組の中で、たかじん氏が料理を作ることになっていたのですが、いざ調理を始めてみると、予めスタッフに頼んでおいたはずの味の素がどこにも無い。
これに対し、味の素も無しにどうやって料理しろというのか、とブチ切れたのです。
ADを殴り、セットを壊してもまだ怒りは収まらず、調理の途中でスタジオを後にしました。
これが生放送中の出来事というから驚きです。
この事実だけからだと、「味の素くらいでそこまで怒る?」と疑問に感じるかもしれませんが、実は、たかじん氏とスタッフとの間に、以前からギクシャクした関係があったのだとか。
普段からスタッフに対してたまっていた不満が、味の素をきっかけにして一気に爆発したということでしょう。
4 上岡龍太郎
故上岡龍太郎氏は、本番中だとろうと何だろうと、納得のいかないことはその場で意見をぶちまけることで知られていました。
特に、占いというものに強い嫌悪感を持っていたのは有名な話。
占いがいかにインチキであるかということを熱っぽく語るときもありました。
ある番組では、現役の占い師を相手に、「今から僕がアンタを叩くかどうか占ってくれ」と挑戦し、その占い師が「さすがに叩かないでしょう」と言った瞬間に頭を叩いたことも。
後にこの「事件」は、スポーツ紙の一面を飾っています。
そんな上岡氏は、番組スタッフに切れることもよくありました。
とある深夜番組の司会を務めていたときのこと。
番組オープニングで、上岡氏の話が盛り上がっている真っ最中に、フロアディレクターから「最初のコーナーに行って」との指示が。
ディレクターからすれば、番組の進行を考えた上での当然の指示だったと思うのですが、これで上岡氏のスイッチが入ってしまいました。
「今、話が盛り上がってるのに何で次のコーナーに行かなあかんねん!」と大激怒。
視聴者そっちのけで、姿の映っていないフロアディレクターへのガチ説教が始まったのでした……。
5 浜田雅功
ダウンタウンの浜ちゃんといえば、年をとるごとに優しいおじさん的な雰囲気が増している気がしますが、若かりし頃は今よりも遥かにとんがったオーラを放っていました。
ダウンタウンがデビューして間もない頃、関西で彼らの人気を不動のものにしたのが、毎日放送の『4時ですよ~だ』という番組。
月~金の帯番組で、タイトル通り夕方4時から1時間の生放送。
今田耕司、東野幸治、まるむし商店、非常階段などのレギュラー陣とともに、かつて存在した2丁目劇場を様々なコーナーで盛り上げていました。
それらのコーナーの中には、一般人が舞台に上がって一発芸を披露するようなものも。
ある日の放送で、ダウンタウンの見守る中、若い男が一発芸を披露したときのこと。
芸が終わり、舞台から去ろうとした瞬間、浜ちゃんの首元に手刀をブスッと突き刺したのです。
小声で「ブッチャー」と呟きながら。
これは、プロレスラーであるアブドーラ・ザ・ブッチャーの有名な技を真似たもの。
どういうわけか、当時、ブッチャーのこの技を真似るのが流行っていました(関西人だけ?)。
その素人は、是非ともこの技を浜ちゃんに決めたいと考えていたのでしょう。
おそらくは前日の晩からドキドキだったはず。
しかし、いきなり首を突かれて怒らない人間はまずいません。
ましてや、鬼のようなツッコミで名を馳せていた浜ちゃんです。
案の定、ブチ切れました。
命知らずの素人が舞台袖に消えた直後、浜ちゃんは無言でその後を追いかけ、舞台セットの一部に強烈な蹴りを一発。
セットがゆっくりと倒れていき、恐らくは素人を直撃したことでしょう。
番組スタッフも、その素人に怒り心頭だったとか。
浜ちゃん自身が語った後日談によると、「ブッチャー」をやられたとき、相手は素人だから軽く突っ込んでおしまいにしようと思ったものの、その突きが意外と痛かったため、思わず本気で切れてしまったのだとか。
それにしても、あの浜田雅功の首に手刀を突き立てるのは、無謀というほかありません。