滅多に耳にすることの無い、珍しい病気の数々をご紹介します。
発症例の極めて少ない病気にかかっている人には様々な試練が訪れます。
そのような病気は、まだ治療法が確立されていないことが多く、その場合は対症療法で凌ぐしかありません。
さらに、周りの理解を得るのが難しいため、偏見の目に晒されることもあります。
〈originally posted on November 3,2017〉
1 ボウンスロピー
ボウンスロピーとは、自分のことを牛だと思いこんでしまう精神疾患です。
四つん這いになって歩いて牛のような体の動きをし、実際に草を食べます。
初期の段階では、自分は夢を見ているのだと思っていることが多いのですが、やがて完全に目覚めているときでも牛として行動するようになります。
この病気に関して最も有名な人物は、紀元前に存在した新バビロニア王国のネブカドネザル2世。
彼は、野生の中で7年間も、動物に混じって牛として生活したと言われています。
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2 メビウス症候群
メビウス症候群にかかると、顔の筋肉が麻痺し、眼球も自由に動かせなくなります。
その結果、笑ったり、顔をしかめたりといった表情が一切作れなくなるのです。
遺伝的要因と環境的要因とが重なって起きる可能性のある病気とされていますが、正確な原因はまだ分かっていません。
表情が全く変わらないという点以外には特に障害は無く、普通に生活が出来ます。
ただ、非社交的な人間だと周りから誤解されることが多いので、なるべく身振り手振りを交えてコミュニケーションを取る人が多いそうです。
3 心臓転位症
心臓転位症は、心臓が体の外に出ている状態で生まれる病気です。
胎児の10万人に1人の割合でこの症状が見られると言われています。
多くの場合、胎児がこの病気を抱えていることは、超音波検査(エコー検査)によって出産前に判明します。
しかし、中には検査で発見されないまま出産が行われてしまうケースもあるのです。
心臓転位症を持って生まれた子供は、長くは生きられないことがほとんど。
例外として、クリストファー・ウォールという男性は、この病気を患いながら何と33歳まで生きていました。
4 ブルー・スキン病
別名メトヘモグロビン血症。
赤血球の中にあるメトヘモグロビンの数が異常に多いため、肌の色が真っ青に見える病気です。
肌の色が青いということを除けば健康上の被害はありません。
この症状を持つ人たちで最も有名なのは、米国ケンタッキー州に住んでいたフューゲイト一家でしょう。
〈注:メイクアップではありません〉
5 ミュージカル・イヤー症候群
歌や音楽などの幻聴が止まらず、周りの音が聞こえなくなる症状です。
イングランド東部のハルに住むロン・ゴールドスピンク(83)は、今から数ヶ月前にこの症状が現れました。
夜中に寝ていると、突然イギリス国歌『God Save the Queen』が大音量で聞こえてきたのです。
何度も何度も、しかも連日聴こえてくるので、彼はてっきり隣人の仕業だと思い込み、問題解決のため役所に協力を要請。
しかし、担当者がやって来て隣人に話を聞いても、その隣人は音楽などかけていないとのこと。
ここでようやくロンは、原因は自分であると悟ったのです。
彼の話によると、複数の男性による合唱として国歌が聴こえるのだとか。
歌い方は上手いのですが、音が大きすぎるために他の音が何も聞こえないそうです。
今年の11月16日、エリザベス女王がハルを訪れる予定なので、ロンはその際、自分が女王よりも頻繁に国歌を聞いていることを彼女に是非伝えたいと語っています。
6 ゼロ・ストローク
数字のゼロを書き続けずにはいられなくなるという精神的疾患で、ときに目眩を伴います。
1920年代、ワイマール共和政下で起きた超インフレの時期、ドイツにおける物価の上がる速さは異常で、給料をもらったらその足ですぐに必要な物を買いに走らねばならないほどでした。
多数のゼロが連なる価格の商品が世に溢れ、日用品ですら巨額の数字の値札が付くような状況だったのです。
そして、このような状況が、主にレジ係や銀行員を中心に、ゼロ・ストロークの症状を引き起こしたとされています。
7 アブロマニア
何かを選択・決定しなくてはならない場合に、一向に決めることが出来ず、生活に支障をきたす症状です。
優柔不断な性格が病的にこじれた状態と言えるかもしれません。
症状が軽いケースでは、日々の生活は概ね普通に送ることが出来ます。
しかし、症状が重くなると、「今から散歩に出かけるべきか否か」といった単純なことさえ決められず、そこで行動がストップしてしまうのです。
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8 フィッシュ・オーダー症候群
という物質が体内で正常に代謝されなくなり、それが過剰に蓄積される結果、魚の腐ったような臭いが全身から発せられる病気です。
汗や口臭が異常に臭くなり、シャワーを浴びたり香水を振ったりするくらいでは臭いをごまかせません。
この病気にかかったサンディという女性は、自宅の風呂場があまりに臭いので水道屋に来てもらい、職場に漂う悪臭にも文句を言っていました。
しかし、激臭を発していたのは他ならぬ彼女自身だったのです。
また、カミーユという女性もこの病気によって過酷な日々を送っていました。
学生時代はイジメに遭い、担任からはちゃんと風呂に入れと説教される始末。
学校を卒業した後は、念願だった教師になれたものの、彼女が教室にいるだけで悪臭が充満してしまいます。
生徒から暴言を吐かれ、毎日泣きながら家に帰っていたとか。
先生としてデビューしてわずか数ヶ月後にカミーユは学校を辞め、自宅に引きこもりがちに。
そんなとき、自分と同じ境遇の人がいるのかを調べるため、彼女は「魚臭い 体 臭い」といったキーワードでネットを検索してみました。
すると、自分と同じ症状を抱えたある女性が、この病気で悩む人たちを支援する組織を立ち上げているのを発見。
その女性こそ、先ほどのサンディだったのです。
それ以来、カミーユは、この病気に詳しい専門家の指示を受けながら、治療に専念する日々を送っています。