プレゼントを誰かに贈るのは、なかなか難しい面があります。
贈る側としては、プレゼントをもらって喜ぶ相手の表情が見たいわけですが、では一体どういうプレゼントがベストなのか。
相手が欲しいと思っている物を贈るのがベストであれば、何が欲しいのかを前もって本人に聞くのも手。
しかし、それではプレゼントを渡す際に何の意外性も無く、実に味気ないことになります。
では、本人の好みを度外視してサプライズを優先させるべきなのか。
贈る側も受け取る側も、双方が幸せになれるプレゼントというのは、意外とハードルが高いと言えます。
〈originally posted on December 3,2019〉
1 相手にサプライズになるような贈り物は避けるべき
アメリカにあるカーネギーメロン大学のテッパー・スクール・オブ・ビジネスでの研究によれば、入念に選んで用意したプレゼントが、時に相手にあまり喜ばれない理由は、贈る側と受け取る側が求めているものがそもそも異なっているからです。
プレゼントを贈る側は、相手がそれを受け取った瞬間に見せるリアクションに期待します。
一方、受け取る側は、そのプレゼントがいかに長く使えるか、などといった実用面を重視する傾向があるのです。
このズレの存在が、喜ばれないプレゼントが生まれる一因。
誰かにプレゼントを贈ろうとするとき、その相手にとってサプライズになるような物を選ぶ人が少なくありません。
映画やドラマの中では、そういったサプライズは微笑ましい光景として描かれがちですが、現実はむしろ逆と言えるかも知れません。
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2 プレゼントは一つより二つの方が相手は喜ぶ……とは限らない
自分にとって大事な人、あるいは特にお世話になっている人などに対しては、プレゼントは一個だけでは足りないと考える人もいるでしょう。
一気に大量の物を贈るのはどう考えてもマズイですが、プレゼントを1個から2個に増やすという選択は、それほど悪くないのではないか。
そう思ってしまいそうですが、これも実際には逆効果。
アメリカにあるバージニア工科大学のパンプリン・カレッジ・オブ・ビジネスのキンバリー・ウィーバー准教授によると、これは「贈り手のパラドックス」と呼ばれる現象です。
例えば、あなたが男性だとして、彼女の誕生日に5万円のアクセサリーと5千円のギフトカードを贈ろうと考えているとしましょう。
同教授の理論に基づけば、この場合、彼女はアクセサリーだけを贈られた場合の方が喜びます。
その理由は、プレゼントの贈り手と受け手とでは、そのプレゼントの価値を捉える観点が異なるから。
贈り手は単純に、数が多いことは良いこと、という観点で捉えます。
一方、受け手は、複数のプレゼントの全体的な価値を基準にして、個々のプレゼントを評価します。
5万円のアクセサリーと5千円のギフトカードを受け取った場合、それぞれの価値を全体の平均値(=2万7500円)として捉えてしまうのです。
よって、本来は5万円の価値があるアクセサリーを、2万7千円程度の物として捉えてしまうということ。
つまり、高価な物と安価な物をセットで贈った場合、高価な物の価値が引き下げられてしまうのです。
よって、気合の入ったプレゼントを一つ用意したのなら、オマケで余計な物を抱き合わせにするのは愚策と言えます。
3 感謝の言葉を額面通り受け取ってはいけない
電気シェーバーなどでお馴染みのブラウンが、2017年にイギリスで少し変わった調査を行いました。
それは、「気に入らないクリスマス・プレゼントをもらったときに人々がよく言う台詞は何か」というもの。
栄えある(?)1位に輝いたのは、「嬉しい!」です。
2位以下のものをいくつかご紹介しますと、
「ありがとう!ちょうど買おうと思ってたんだよ」
「素敵なサプライズだね」
「いいね、これ。どこで買ったの?」
「何で私の好みが分かったの?」
などとなっています。
また、プレゼントをもらった人の42%は、サプライズ的に贈られる物よりも、何が欲しいかを本人に確認した上で贈られる物の方が良いと思っていることが、同じ調査で明らかになっています。
さらに、23%の人は、プレゼントが原因でパートナーと口論になったことがあるとか。
この調査結果を知ってしまうと、プレゼントを受け取った人に感謝されても、贈った側としては素直に喜べなくなります。
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4 物よりも「体験」の方が良いこともある
恋人に何かプレゼントをする場合、物以外の「体験」をプレゼントに選んだほうが良いかも知れません。
カナダにあるトロント大学のシンディ・チャン准教授によると、テーマパークやコンサートなどで過ごす体験型のプレゼントの方が、贈り手と受け手との関係を深めるのに効果的とのこと。
単純に物をもらう場合よりも、お互いに感情を表に出す機会が増えるので、それが二人の絆を強めるのに一役買うというわけです。
同じ相手に何度も贈り物をしているという人は、時には物以外のプレゼントを選択してみるべきかも知れません。