運送業界では、ここ数年、人手不足が深刻になっています。
ドライバー職への就業者数が減っているというよりは、配達すべき荷物の量が増え続けているのが原因だとか。
日本の宅配業者は、そういった厳しい環境の中にあっても丁寧なサービスを提供してくれている印象があります。
それだけに、荷物を地面に叩きつけて蹴り飛ばすようなドライバーが目撃されると大きなニュースになるわけですが。
一方、海外の宅配ドライバーはどうなのか。
今回は、海外で実際に起きた、キケンなドライバーの事件をご紹介します。
〈originally posted on April 29,2019〉
1 毎朝荷物を蹴る男たち
数年前、日本のとある運送会社の配達員が荷物を蹴り倒している映像が公開され、問題になりました。
こういう配達員がいるのは、日本だけではありません。
2018年、北アイルランドのダウン州ダンドナルドで、ショッキングな映像が公開されました。
世界的に有名な運送会社であるフェデックスの従業員たちが、配達予定の荷物でやりたい放題やっていたのです。
地面に置いた荷物を助走してからキックしたり、キャッチボールよろしく荷物を投げ合ったり。
信じがたいことに、それらの荷物の多くには「こわれもの」という表示が。
動画を撮影した女性は、自分の職場の窓から毎朝このような光景を目にしていたので、警告の意味でその動画をネットに公開したのです。
動画は40万回以上再生され、怒りを顕にしたコメントが大量に寄せられました。
その後、フェデックス社は事態を重く受け止め、動画に映っていた従業員を全員解雇しています。
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2 ストーカー予備軍のピザ配達員
配達員が送り先の人物の電話番号を把握していて、さらにその人物が女性だったりすると、ごくまれに厄介な事が起きる可能性があります。
2016年、イングランド南西部エクセターに住む22歳の女性が、少々不気味な体験をしました。
ある日の晩、彼女はドミノ・ピザでピザを注文し、配達員からピザを受け取ります。
家の中に入ってピザを食べようとしたところ、彼女のスマホにメッセージが。
送信元は、さっきの配達員でした。
「君はとても美しい」などといった言葉で彼女を褒めちぎり、明らかに恋愛感情を抱いている様子。
それに対してその女性は、「30秒ほど私を見ただけじゃない。変な人ね」と、相手にしないようにしたのですが、その後も配達員からの愛のメールは数日間続きました。
いい加減気味が悪くなった彼女は、ドミノ・ピザに連絡。
それを受けて会社は調査を行い、彼女に謝罪した上で、その配達員を解雇しています。
また、2015年には、イギリスのウェスト・サセックス在住のアリーナ・フォークナーという24歳の女性が、配達員から同様のメッセージを送られるという被害に遭っています。
さらに、2018年にはミシェル・ミッドウィンターという33歳の女性が、夜中に彼女のファンだという男からメッセージを受信したのですが、送信元はやはり宅配員でした。
その男は、キスの絵文字などを使いながらミシェルに交際を迫るような内容のメッセージを送り続けたそうです。
3 チップをケチった代償
日本には客が従業員にチップを渡す習慣がありませんが、次にご紹介するのは、そんな習慣が無くて良かったと思えるような事件です。
2019年1月12日、あるフェイスブックのページに14秒ほどの動画が投稿され、それを見た人に衝撃を与えました。
動画に映っていたのは、米国テネシー州メリービル在住のハワード・ウェブ(31)。
彼は、フードデリバリー店の出前の車に乗っていました。
そして、客から注文を受けたメキシコ料理に自分の大事な部分を直に押し当てながら、
「30分の配達に89セントのチップしか払わねーヤツはこうなるのさ!」
と叫んでいたのです。
動画を撮影していたのは、そのデリバリー店の女性ドライバー。
この動画が拡散すると、そのドライバーはすぐに解雇されました。
その後ハワードは逮捕され、最長15年の刑を食らう可能性のある罪で起訴されることに。
問題のデリバリー店によれば、ハワードは同店の正式な従業員ではないのだとか。
チップ絡みの迷惑行為は他にもあります。
2017年、カリフォルニア在住のローレン・オリビア・レッドフォードという女性は、20ドルのピザを注文し、自宅にやって来た配達員に20ドルを手渡しました。
このとき、彼女はチップを渡さなかったのです。
その一週間後、レッドフォードが家に帰ってくると、ドアのところに手紙が。
手紙は4枚あり、それぞれに文章がびっしりと殴り書きされていました。
差出人は、件のピザ配達員。
手紙の内容は、レッドフォードがチップを払わなかったことへの怒りです。
4枚目の最後の方には、次にチップを払わなかった場合、力づくで金を奪うという笑えない一文が。
そしてトドメは、「実入りが少なく、不満を抱えた配達員は何をやらかすか分からんぜ」という脅し。
配達員は相手の住所を当然知っていますから、こういう脅しは本当にシャレになりません。
4 バイトテロで懲役18年の恐怖
2016年、トルコ北西部のエスキシェヒルで起きたバイトテロは、日本ではまず考えられない結果を生みました。
宅配ピザのバイトをしていた18歳の少年が、配達先のアパートの玄関口で、ピザの入った箱を開けるといきなりそこへ唾を吐きます。
そして、アパートの5階にいる注文者のもとへ「唾液入りピザ」を届けると、何食わぬ顔で帰っていきました。
彼としては、絶対にバレるわけがないという確信があったのでしょう。
しかし、彼が唾を吐く姿は監視カメラにばっちり映っており、悪事はあっさりバレました。
ちなみにその少年、自分が唾を吐いているところをスマホで自撮りしていたので、バイトテロの様子をSNSに投稿するつもりだったのかも知れません。
日本でもこの手の行為をやったことのあるバイト君はいるでしょうし、おそらく今後も出てくるでしょう。
ただ、日本とトルコとで明らかに異なるのは、刑罰の厳しさ。
その少年は、食物を汚染したことにより人の健康を害する危険を発生させたとして、懲役18年もありうる裁判にかけられることに。
バイトテロで懲役18年……。
日本でもこれくらい厳しくすれば、バイトテロが無くなる日が来るのでしょうか。
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5 模範的ドライバーの裏稼業
ドイツに本部を置き、イギリスやイタリアなどでも業務を展開するヘルメスという運送会社があります。
イギリス在住のリンドン・リントンという男は、同僚からの評価が高い模範的なドライバーとしてヘルメスに勤務していました。
そんなリントンが勤務する営業所で、2014年から2015年にかけ、彼の同僚たちが担当する荷物が一つまた一つと紛失していく謎の事件が発生。
それが原因で、同僚の中にはクビになる者も。
実は、荷物が紛失する原因となっていたのは、リントンでした。
彼は、同僚が配達すべき小包を盗んでいたのです。
盗んだ品物は、掃除機やフードプロセッサ、バスマット、調理器具など。
合計で700点近くの荷物を盗み、それらをオークションサイト「ebay」で売りさばいていました。
売上は総額36000ポンド(約520万円)。
リントンをよく知る人の証言では、彼は真面目で家族思いの男だったとか。
そんな男が、配達物を盗み、さらには同僚を退職に追い込んでいたのですから、自分の周りに「真面目で家族思いのヤツ」がいても油断できません。
リントンは、後の裁判で懲役2年8ヶ月を言い渡されています。