多くの人に夢を与える、ドリームジャンボ宝くじ。
一等前後賞あわせて5億円。
仮に5億円が当たったとして、いきなり見ず知らずの男から、その金を俺と山分けしろと言われたら……。
信じがたい話ですが、そんな無茶苦茶なことを言われた人も、世の中にはいるのです。
人に夢を与えるのが宝くじなら、人に悪夢をもたらしうるのも宝くじ。
今回は、宝くじにまつわるダークな話をご紹介します。
〈originally posted on April 19,2019〉
1 会ったこともない人物に当選金の山分けを要求された男性
1991年の夏、米国マサチューセッツ州サウス・ボストンにある酒店で、マイケル・リンスキーという男性が宝くじを購入したところ、1400万ドルという超高額当選を果たしました。
これだけの金があれば、どんな問題も全て解決。
悠々自適の生活が死ぬまで保証されます。
しかし、リンスキーが当選を果たしてから数日後、一人の男が彼のもとを訪ねてきました。
男の名はホワイティ・バルジャー。
リンスキーが宝くじを買った酒店のオーナーであり、そして……。
ギャングのボスでした。
ここからのリンスキーとバルジャーとのやり取りは飽くまで憶測になりますが、リンスキーの当選金の半分をバルジャーが要求したと見られています。
自分の店から一等の当選者が出たというだけで、その当選金の半分を要求するという強引さ。
そこには合理的な理由など必要ないのです。
言うまでもなく、リンスキーに選択の余地はありません。
彼は、自分一人で宝くじを購入したにも関わらず、バルジャー(および他数名)との共同購入だったということにして、当選金を山分けしました。
700万ドルで自分の命が助かったと考えれば、安い代償だったのかもしれません。
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2 当選してないのに金を使いまくった女性
2016年、フランス東部の都市ブサンソンに住むある女性が、「ユーロミリオンズ」という宝くじを購入し、その当選番号が発表されるやいなや、湯水のごとく金を使い始めました。
短時間のうちに香水や服、貴金属などをカードで買い漁り、その総額は3000ポンド(約43万円)に。
明らかに、高額当選を果たした人の行動パターンです。
しかしながら、彼女は当選していませんでした。
当選番号を読み違えて、大金をゲットしたものと勘違いしていたのです。
家族に誤りを指摘され、ようやく彼女は悲しい現実に気づきます。
その後、彼女は支払いを免れるために一計を案じ、何者かが彼女のバッグを盗んでカードを不正に使用したのだと言い始めました。
これにより彼女は、詐欺の疑いで逮捕され、執行猶予付きの判決を受けることとなったのです。
3 悪夢をもたらす「仮面」をつけた当選者
もし宝くじで一等が当たっても、なるべく他人に知られないようにするのが無難です。
日本ではあまり見られないですが、海外では一等の当選者がメディアで大きく取り上げられることがよくあります。
大金を手に入れたことを世間に知られるわけですから、その金に興味を示す連中も出てくるでしょう。
ずっと連絡を取っていなかった家族から急に連絡があったり、「学生時代の友人」を自称する者から突然の訪問を受けたりする可能性も。
2019年、ジャマイカで超高額当選を果たしたある男性は、賞金を受け取るために会場に現れたとき、有名なホラー映画『スクリーム』の仮面を付けていました。
その目的は、顔を隠すことで、その賞金を目当てに誰も寄って来られないようにするため。
何故『スクリーム』を選んだのかは謎ですが、恐らくは彼の家族ですら一等当選の事実は知らないことでしょう。
4 宝くじを買うために強盗犯になった男
米国マサチューセッツ州在住のティモシー・エリオットという男は、宝くじで一獲千金を狙うことに執着していました。
何度宝くじを買っても一向に当選する気配は無く、にも関わらず彼は毎回のようにくじを購入。
次第に貯金も減っていき、宝くじの購入資金を得るために、ついに彼はコンビニ強盗を働くまでになりました。
2006年、彼は強盗の罪で裁判にかけられますが、「分裂病質人格障害」であると診断されたことから、服役は免れ、保護観察に付されることに。
その際、遵守すべき事項として、州外に出ないこと、薬物を使用しないこと、ギャンブルをやらないことなどが定められました。
2007年11月、エリオットは相も変わらず宝くじを買っていたのですが、このとき、彼の執念がついに積年の願いを叶えます。
見事、一等100万ドルを当てたのです。
しかし、ここで忘れてはならない大問題が。
保護観察中に彼が守らねばならないことの一つに「ギャンブルに手を出さない」というのがありますが、厳密には宝くじを買うこともそれに含まれるのです。
100万ドルに当選してから48時間以内に、エリオットは逮捕されました。
そして100万ドルも一時の夢として消えることに。
……なるはずだったのですが、彼は当選金のほぼ全額の保持を裁判所から許可されたのです。
自分の犯した罪に関してあまり反省していないエリオットは、悪運だけは抜群に強いと言えるかもしれません。
5 命がけの宝くじ購入
宝くじ当選に人生の全てを賭ける人はまずいないでしょう。
宝くじなんて多分当たらないけど、でもひょっとしたら……くらいの気持ちで買うのが、宝くじとの健全な付き合い方と言えます。
では、本当に宝くじに人生を賭けたらどうなるのか。
タイのパタヤ市在住の52歳の男性は、借金で首が回らなくなり、高額当選を狙って大量の宝くじを購入しました。
しかし、結果はすべてハズレ。
2018年10月11日早朝、彼は仏寺の前で自分の体に火を放ちました。
消防隊が現場に到着して消火作業を終えたときには、彼はすでに絶命しており、その服からは焼け焦げた何枚もの宝くじが。
それらの宝くじのうち、一枚でも高額当選していれば、彼が火を放つことは無かったのでしょう。
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6 億万長者になった女子高生が味わった地獄
イギリス人女性のキャリー・ロジャースは、16歳のとき、イギリス国内で最年少の高額当選者となりました。
その賞金の額は、180万ポンド(約2億6千万円)。
女子高生が手にするお金としては、無限の夢が広がる金額です。
その彼女が、後に死ぬことを考えるようになるとは、周りの誰も想像しなかったでしょう。
宝くじに当たってからのキャリーは、生活が一変。
それまでは大して興味の無かった高級車を次々と購入し、家を購入し、ドラッグに散財し、とどめは豊胸手術。
台風が直撃したかのように、大金はあっという間に吹き飛んでいきました。
高額当選から15年が経ち、現在、イングランドのカンブリアで暮らす彼女は、時給8ポンド(約1000円)の仕事をしながら、家賃400ポンド(約6万円)の借家で4人の子供を育てています。
2017年7月、彼女は知人二人から激しい暴行を受け、鼻の骨と肋骨、歯を折られた上に、目には生涯残るダメージを受けました。
彼女の話では、おそらく高額当選に対する妬みが原因だろうとのこと。
宝くじに当選したのが原因で、うつ状態になり、死ぬことまで考えたことのあるキャリーですが、現在は、当選金をすべて失ったことで、むしろ前向きに、楽しく人生を送っているとか。
キャリーは、もともとお金に執着心が無く、賞金を使い果たしたことも気にかけていないのですが、一つだけ後悔していることがあります。
その原因は、彼女の6歳の息子であるブレイク。
ブレイクは、生まれながらに脳性まひを患っており、日々の生活の様々な面で周りのサポートが必須。
180万ポンドという大金のうち、一部でも残していれば、ブレイクのためにもっと充実したサポートを実現できたであろうことを、彼女は悔やんでいるのです。